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「21年前の子供取り違え判明」(1月6日、共同通信)
北京市で都市部住民と農村部住民が21年前に病院で新生児を取り違えていた事が判明したが、都市部で育った青年は生みの親の元に戻る事を渋り、都市と農村の地域格差が実の親子の関係にも暗い影を落としている事が中国各紙の6日迄の報道で判った。
北京市通州の農村部に住む潘秀華さんは1986年、通州の病院で双子を出産したが、2人の背格好や容姿が全く似ていない事が気になっていた。昨年友人から「御宅の長男と似た男性を街で見掛けた。」と聞き、向南さんという青年に会ってみると長男と瓜二つで、血液鑑定の結果、実の子と判明した。向南さんは都市部に住む鐃秀栄さんが、21年間育てて来た青年だった。一方、潘さんが次男と思って農村で育てて来た義武さんは鐃さんの息子と判り、赤ちゃんの時に病院が取り違えていた事が判明した。
血縁重視の農村部で暮らす潘さんは向南さんに戻って来て欲しいと願うが、向南さんは北京市の大学を卒業して自家用車も在る都会っ子。飲料水は全てミネラルウォーターで育った。農村暮らしは望んでいない。当初は血液鑑定も嫌がった。一方、農村部で育った義武さんは高卒後、都市部で出稼ぎ労働者となった。鐃さんは実子と知った後、「資金を出すから運転免許を取ったら。」と勧めたが「免許を取っても車が買えないよ。」と断り、実母とは距離を置いているという。
病院は双方の家庭に慰謝料約50万元(約750万円)を支払う事になったが、取り違えで入れ替わった2人の命運の差は埋めようが無い。唯、子供3人は仲良しになり、一緒に旅行したりしているという。
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マーク・トウェイン氏が著した児童文学作品「王子と乞食」。生年月日は全く同じなれど、片や時の国王の世継ぎとして、そして片や貧民窟の子として生まれた2人の子供。容姿が瓜二つの彼等が或る日、宮殿の門前で偶然出逢い、その余りに似た容姿から互いの衣服を取り替えた事から始まるこの波乱劇は余りに有名だが、何となくそれを思い浮かばせる今回のニュース。3年前の記事「産みの親、育ての親」でも取り上げた様に、我が国でも赤ちゃんの取り違えによる複雑な問題は起きている。今回のケースでは3人の子供達が仲良くやっているというのが救いだが、いみじくも中国の都市部と農村部の貧富の差を感じさせるニュースだ。
1月6日付け東京新聞サンデー版に「急速な経済発展のひずみ 揺らぐ中国農業」という特集が組まれていた。彼の国の国土面積はアメリカのそれ(約963平方キロ)に匹敵する約960平方キロだが、作付け可能な面積は全体の僅か10分の1しかなく、それも優良な農地は沿海部の平野に多く限られているそうだ。そんな中国の農業は現在、3つの大きな問題を抱えており、それは「農業の低収益性」、「農村の荒廃」、「農民の低所得と高負担」。
中国は全国に経済開発区を設け、大規模な工場や工業団地を次々に建設し、急速な経済成長を遂げているが、それに伴い農民は農地や住居を僅かな補償金で強制収用されている。生活基盤を失った農民達による抗議行動は、年間8万7千件にも上るとか。人口が2001年から3年間で2,400万人も増えている彼の国なのに、耕地は逆に515万ヘクタールも減っている。近年は食料生産量が4億5千万~5億トンの間で推移している中国は2001年の食料輸出入量が「輸出量:1,738万トン、輸入量:903万トン」だったのに、2006年には「輸入量:3,186万トン、輸出量:643万トン」と輸入量がほぼ倍増し、食料の輸出大国から輸入大国へと変化。低所得や高負担、公害による土壌や河川の汚染等も相俟って、中国の農村部の貧しさはかなりのものの様だ。
彼の国では国民を「農村戸籍」と「非農村戸籍(都市戸籍)」に分けており、戸籍は出生時に決められる。戸籍を変える事、取り分け農村戸籍から都市戸籍への変更には厳しい制限が設けられているとか。低所得者の多い農村戸籍者は、医療保険や年金等の社会保障も充分受けられない等の差別も在るという。
昨日放送された「NHKスペシャル 激流中国 5年1組 小皇帝の涙」。野暮用が在った為自分は見ていないのだが、実際に見た家人によると「非常に考えさせられる内容だった。」という。一人っ子政策を採り続けている中国では、「我が子を少しでも良い企業に入れたい。」と従来以上に教育熱を上げる親が激増。これは都市部の親に顕著な様だが、”小皇帝”とも呼ばれる子供達の中には心に”大きな闇”を抱えている者も少なくないと言われている。
都市部では激しい受験戦争、農村部では厳しい生活苦。我が国の嘗ての様相の様でも在り、これから以降の様相の様でも在る。
「21年前の子供取り違え判明」(1月6日、共同通信)
北京市で都市部住民と農村部住民が21年前に病院で新生児を取り違えていた事が判明したが、都市部で育った青年は生みの親の元に戻る事を渋り、都市と農村の地域格差が実の親子の関係にも暗い影を落としている事が中国各紙の6日迄の報道で判った。
北京市通州の農村部に住む潘秀華さんは1986年、通州の病院で双子を出産したが、2人の背格好や容姿が全く似ていない事が気になっていた。昨年友人から「御宅の長男と似た男性を街で見掛けた。」と聞き、向南さんという青年に会ってみると長男と瓜二つで、血液鑑定の結果、実の子と判明した。向南さんは都市部に住む鐃秀栄さんが、21年間育てて来た青年だった。一方、潘さんが次男と思って農村で育てて来た義武さんは鐃さんの息子と判り、赤ちゃんの時に病院が取り違えていた事が判明した。
血縁重視の農村部で暮らす潘さんは向南さんに戻って来て欲しいと願うが、向南さんは北京市の大学を卒業して自家用車も在る都会っ子。飲料水は全てミネラルウォーターで育った。農村暮らしは望んでいない。当初は血液鑑定も嫌がった。一方、農村部で育った義武さんは高卒後、都市部で出稼ぎ労働者となった。鐃さんは実子と知った後、「資金を出すから運転免許を取ったら。」と勧めたが「免許を取っても車が買えないよ。」と断り、実母とは距離を置いているという。
病院は双方の家庭に慰謝料約50万元(約750万円)を支払う事になったが、取り違えで入れ替わった2人の命運の差は埋めようが無い。唯、子供3人は仲良しになり、一緒に旅行したりしているという。
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マーク・トウェイン氏が著した児童文学作品「王子と乞食」。生年月日は全く同じなれど、片や時の国王の世継ぎとして、そして片や貧民窟の子として生まれた2人の子供。容姿が瓜二つの彼等が或る日、宮殿の門前で偶然出逢い、その余りに似た容姿から互いの衣服を取り替えた事から始まるこの波乱劇は余りに有名だが、何となくそれを思い浮かばせる今回のニュース。3年前の記事「産みの親、育ての親」でも取り上げた様に、我が国でも赤ちゃんの取り違えによる複雑な問題は起きている。今回のケースでは3人の子供達が仲良くやっているというのが救いだが、いみじくも中国の都市部と農村部の貧富の差を感じさせるニュースだ。
1月6日付け東京新聞サンデー版に「急速な経済発展のひずみ 揺らぐ中国農業」という特集が組まれていた。彼の国の国土面積はアメリカのそれ(約963平方キロ)に匹敵する約960平方キロだが、作付け可能な面積は全体の僅か10分の1しかなく、それも優良な農地は沿海部の平野に多く限られているそうだ。そんな中国の農業は現在、3つの大きな問題を抱えており、それは「農業の低収益性」、「農村の荒廃」、「農民の低所得と高負担」。
中国は全国に経済開発区を設け、大規模な工場や工業団地を次々に建設し、急速な経済成長を遂げているが、それに伴い農民は農地や住居を僅かな補償金で強制収用されている。生活基盤を失った農民達による抗議行動は、年間8万7千件にも上るとか。人口が2001年から3年間で2,400万人も増えている彼の国なのに、耕地は逆に515万ヘクタールも減っている。近年は食料生産量が4億5千万~5億トンの間で推移している中国は2001年の食料輸出入量が「輸出量:1,738万トン、輸入量:903万トン」だったのに、2006年には「輸入量:3,186万トン、輸出量:643万トン」と輸入量がほぼ倍増し、食料の輸出大国から輸入大国へと変化。低所得や高負担、公害による土壌や河川の汚染等も相俟って、中国の農村部の貧しさはかなりのものの様だ。
彼の国では国民を「農村戸籍」と「非農村戸籍(都市戸籍)」に分けており、戸籍は出生時に決められる。戸籍を変える事、取り分け農村戸籍から都市戸籍への変更には厳しい制限が設けられているとか。低所得者の多い農村戸籍者は、医療保険や年金等の社会保障も充分受けられない等の差別も在るという。
昨日放送された「NHKスペシャル 激流中国 5年1組 小皇帝の涙」。野暮用が在った為自分は見ていないのだが、実際に見た家人によると「非常に考えさせられる内容だった。」という。一人っ子政策を採り続けている中国では、「我が子を少しでも良い企業に入れたい。」と従来以上に教育熱を上げる親が激増。これは都市部の親に顕著な様だが、”小皇帝”とも呼ばれる子供達の中には心に”大きな闇”を抱えている者も少なくないと言われている。
都市部では激しい受験戦争、農村部では厳しい生活苦。我が国の嘗ての様相の様でも在り、これから以降の様相の様でも在る。
本年ものぞかせていただきます。
中国関連の話はひどいものが多く、時には失笑するのですが、これほど悲しい話はありません。
昨年末、袋インスタントラーメンを食べた小学生児童4人が亡くなった事件は、麺やスープではなく袋に含有されていた「ねずみ取り」だったんです。
正直、北京オリンピックに日本人選手を行かせたくない気持ちがあります。
未曾有の好景気を謳歌していた1920年代のアメリカ。しかし好景気に拘わらず庶民の給料は上がる事無く、当然乍ら購買力も上がらず、商品がダブつく事態に。そして1929年10月24日、ニューヨークの証券取引所で株価が大暴落し、バブル経済は弾け去りました。世に言う「世界恐慌」の始まりで、”世界の銀行”たるアメリカの不景気風は一気に世界に伝染し、これが第二次大戦へと向かわせる第一歩に。アメリカや中国の最近の動向を見ていると、一寸不安を感じます。
大分前に読んだ本には、「中国は上海や北京といった大都市が在る一方で、貴州省(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%B4%E5%B7%9E%E7%9C%81)の様に住民達が原始人の如き生活を送っている所も在る。」といった件が在りました。事実の程は定かでは無いものの、貧富の差がかなり開いているのは確かでしょうね。
http://homepage1.nifty.com/dorama/chikyou.htm
>アメリカの20年代
いつの時代でもそういう例はあるのでしょうが、パリス・ヒルトンやブッシュ・クリントンの娘、ブリトニー・スピアーズらの乱行振りを20年代の上流階級の女性や映画スターの乱行になぞらえる記事を読んだことあります。
大映ドラマのあの独特なテイストが好きでした。”赤いシリーズ”から始まって、「ポニーテールはふり向かない」辺り迄結構見ていたもの。前にも書いたと思うのですが、伊藤麻衣子さんや伊藤かずえさんが好きだったし、名古屋章氏や石立鉄男氏、中条静雄氏といった個性的な脇役が最高でした。
流行や世相って、一定間隔で繰り返されている様に感じますね。時代がそういった物を求めるのか、はたまた人間とは結局同じ様な事を繰り返す生き物という事なのか・・・。
今年も楽しく拝見させて頂きます。
中国の子供取替え事件、親の気持ちも複雑だと思いますが、これほどまでに地域格差があり…やはり21年という年月は永過ぎたように感じます。
しかし、もしこれが自分だったら…難しい
中国の“小皇帝”という言葉を聞いて、我が息子もそうかも…と思ってしまいました。親の期待を一身に背負ってしまうのですから、子供も大変だろうな~と思いつつも、中国の親と同じ事をしてしまいそうです。
でも、この親にしてこの子ありですから期待も少々ですけど
それでも、子供の気持ち(心)を見失わないように心掛けたいと思います。