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元ノンキャリ刑事の大学教授・小早川一郎(こばやかわ いちろう)と少数精鋭の今時女子大生達が挑むのは、継続捜査案件、詰まり「未解決事件(コールド・ケース)」。キャンパスで起こる様々な事件は、軈て、或る大事件に結び付き・・・。
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「元ノンキャリの刑事で、警察学校の校長を務めていた小早川一郎は、知人の引きも在って、定年後に三宿女子大学人間社会学部の教授となり、現実の継続捜査案件を題材にゼミを行っている。」というのが、今野敏氏の小説「継続捜査ゼミ」で在る。
設定としては「面白いな。」と思った。然し、実際に読み進めて行くと、余りに粗が多く、興醒めしてしまった。
幾ら元警察関係者、其れも警察学校の校長を務めた人間とはいえ、現在は民間人で在る小早川。そんな彼に対し、現警察関係者が捜査情報をこんなにも提供するというのは、現実的とは思えない。況してや、警察関係者でも何でも無い女子大生を交えてだなんて。
継続捜査ゼミに参加している女子大生達が、其れ其れ“捜査に適した才能”を有しているというのも、非常に御都合主義な感じがする。今野氏の人気シリーズ「ST 警視庁科学特捜班」を意識した設定なのだろうが。
そして、何よりも粗を感じるのが、肝心の“謎解き部分”だ。色々言われてはいるが、日本の警察は優秀。そんな日本の警察が、此の程度の事件で犯人に辿り着けなかったとは思えない。普通に聞き込みをしていれば、“犯行に結び付く動機”は容易に得られた事だろう。「未解決事件となり、犯行から15年後に女子大生達が動き出した事で、解決に到る。」というのは、此れ又御都合主義。
ハッキリ言って駄作。総合評価は、星2つが良い所だろう。