ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ロスト・シンボル」

2010年03月27日 | 書籍関連
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キリスト聖杯を巡る事件から数年後。大学での静かな生活を送っていたロバート・ラングドンに、旧友から連絡が入る。フリーメイソンの最高幹部のピーター・ソロモンからで、急遽講演を頼みたいと言う。会場の連邦議会議事堂に駆け付けるが、其処でラングドンを待ち受けていたのは、切断された右手首・・・薬指には見覚えの在る金の指輪。フリーメイソンの紋章あしらったそれは、ピーターの物に間違いない。彼を人質に取ったというマラークと名乗る謎の男は、ラングドンに“の神秘”に至る門を解き放てと命じる。そして、切断された手のひらには第一の暗号が記されていた・・・。古来、人類が求め続けて来た究極の知恵“古の神秘”の真実とは?
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天使と悪魔」では“ヴァチカンの闇”を暴き出し、「ダ・ヴィンチ・コード」ではモナ・リザ潜むキリストの秘密を描き上げたダン・ブラウン氏が、ロバート・ラングドン教授シリーズの第三弾として世に送り出した「ロスト・シンボル」。この作品では、「世界最大の秘密結社」とも言われるフリーメイソンを題材としている。

「会員相互の特性と人格の向上を図り、良き人々を更に良くしようとする団体。」とされるフリーメイソン。こちらで紹介されている様にジョージ・ワシントン初代大統領ダグラス・マッカーサーナポレオン・ボナパルトヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテアーサー・コナン・ドイル鳩山一郎首相等々、この結社に所属していたとされる著名人は多いのだが、その実情は厚いベール覆われている。それが故に「フリーメイソンは世界転覆企図する危険な集団。」等の噂が飛び交い、この結社を巡る様々な都市伝説も少なくない。「1ドル札とフリーメイソンの関係」というのも有名な話だが、この小説の中ではこの秘密結社に付いて次の様に記している。

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「いいかい、フリーメイソンは秘密結社ではなく・・・秘密を備えた結社にすぎない。」。「同じですよ。」ひとりが言う。「ほう?」ラングドンは反撃した。「きみはコカ・コーラが秘密結社だと思うか?」。「思うわけがありません。」。「では、もしきみがコカ・コーラ本社のドアをノックして、クラシック・コークレシピを教えてくれと言ったら?」。「ぜったい教えてくれないでしょうね。」。「そうだ。コカ・コーラの最も深い秘密を知るためには、会社にはいり、何年も働き、自分が信頼に足る人物だと証明し、そういった情報を知りうる幹部まで昇進しなくてはならない。そして、秘密を守ると誓う必要がある。」。「つまり、フリーメイソンは企業に似ているとおっしゃるんですか?」。厳格階級制があって、守秘義務を非常に重んじるという点について言えば、その通りだ。

中略

「よろしい。では、あるイデオロギー宗教だと判断するのに必要な三条件は?」。「ABCです。」別の女学生が答える。「保証(アシュアランス)、信仰(ビリーヴ)、回心(コンヴァート)。」。「正解だ。宗教は救済を保証し、特定の神学を信仰し、信心のない者を回心させる。」ラングドンはをとった。しかしフリーメイソンは三条件のどれにもあてはまらない。フリーメイソンは救済を約束しないし、特定の神学を持たないし、だれかを回心させようともしない。それどころか、フリーメイソンのロッジでは、宗教論議が禁じられている。
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別の頁でラングドンはあらゆる偏見は、その文化特有の象徴を誤解することから生じるんです。と語っている。怪しげな事柄が好きという事も在って、自分も昔は「フリーメイソン=胡散臭い団体」という認識が在ったけれど、色々関連書物を読んで行く中で、「必ずしもそうではない様だ。」という認識に変わって行った。「あらゆる偏見は、その文化特有の象徴を誤解することから生じる。」というのも、その通りだと思う。

連邦議会議事堂や或る銅版画纏る意外な事実等、読んでいて何度「へー、そうだったんだ。」と驚かされた事か。そして同シリーズの前2作に比べると、格段に読み易い。前作は色々盛り込み過ぎた事による読み難さが少なからず在ったけれど、今回の作品はドンと“贅肉”を削ぎ落とした感が在る。良い意味でシドニィ・シェルダン氏の作風に似ており、先の展開が気になって一気に読み進んでしまった。

或る人物の意外な素顔には驚かされたが、驚かされた分、以降の展開に冗長さが感じられて残念。結果的にそれが、総合評価をやや下げてしまった。

この作品、自分の総合評価は星3.5個

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4 コメント

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Unknown (マヌケ)
2010-03-28 14:19:48
超訳ニーチェを読んで得した気分になっている自分がちょい恥ずかしいかなです。 愛は赦すす。 愛は情欲することすら赦す。 愛とは自分と似たような考えをもつものをめでることではなく、自分と正反対のものをも喜ぶこと。 今頃悟ったぞ。 トホホ。 ラングドンもシリーズものとなり映画化される要素満載ですね。 超訳シェルダンは愛好家や翻訳家の間で物議がかもされましたが、超訳ニーチェは多くの若者に読んで欲しい。
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>マヌケ様 (giants-55)
2010-03-28 20:36:53
書き込み有難う御座いました。

ネタバレになるので詳細は書けませんが、終盤の某シーンなんか「映画化を前提にして書かれた。」と言っても良い程、非常に迫力を感じさせる文章。前2作よりも良い意味でエンターテイメント性が高く、映画化は間違い無いと思います。

某出版社から刊行されているシドニィ・シェルダン氏の超訳シリーズ、個人的にあれはあれで在りだと思っています。確かにオリジナルの直訳では無いし、「意訳に過ぎてしまう。」というのもその通りとは思うけれど、著者本人がそのスタイルを納得している“ので在れば”、そして読み手が引き込まれてしまう訳“で在れば”、それは決して悪くないと思うからです。

「超訳 ニーチェの言葉」、あの装丁は書店に並んでいても可成り目立ちますね。気にはなっていたのですが、今度読んでみたいと思います。それにしても、今「ニーチェ」を敢えて選んだという出版社の眼力は凄い。大分昔になりますが、コミックでこの手の「カルチャー本」が矢鱈と刊行された時期が在りましたね。メインは赤塚不二夫氏がその火付け役だったと記憶していますが、「五輪書」や「葉隠」、「君主論」等を読み漁っていました。
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私も読みました。 (本のソムリエ)
2010-11-28 14:03:56
私も読みました。

「ダ・ビンチ・コード」「天使と悪魔」からフリーメイソンのピラミッドの謎と、よく続きますね。

映画化を意識したのか、最後のどんでん返しには、私も騙されました。

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>本のソムリエ様 (giants-55)
2010-11-28 20:46:55
初めまして。書き込み有難う御座いました。

様々な文献に当たった上で、ストーリーを組み立てていっているのが判る、非常に凝った小説ですね。自分の様な面倒臭がり屋には、とても無理な作業です。

今後とも何卒宜しく御願い致します。
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