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「阪神大震災、夜明け前の追悼『限界。』取り止め相次ぐ」(1月13日、産経新聞)
17日で発生から24年となる阪神大震災の追悼行事を取り止める動きが、兵庫県内で相次いでいる。背景には被災者の高齢化が進んだ事に加え、夜明け前の行事に出席する身体的負担も。行事の減少傾向は近年続いており、関係者からは「震災の風化に繋がる。」と懸念する声も上がる。
「百万ドルの夜景」を一望出来る神戸市中央区の諏訪山公園・ヴィーナスブリッジで、震災翌年から毎年行われて来た「早朝追悼の集い」。実行委員会は昨年11月、震災24年となる今回での終了を決めた。
集いでは毎年、震災発生時刻の午前5時46分に追悼の鐘を鳴らし、遺族等が黙祷。トランペット奏者、松平晃さん(76歳)=川崎市=が犠牲者に向け追悼の音色を響かせて来た。平成19年の十三回忌で一旦終了となったが、存続を望む市民の声を受け、翌20年以降も被災者等、有志の実行委で続けて来た。
然し、実行委のメンバーの多くが80~90代と高齢になり、健康面に不安を抱える人が増加。冬は路面が凍る事も在る暗い山道を登る事も危険な事から、今回で区切りとする。実行委の委員長を務める安田秋成さん(93歳)は「街の明かりと共に、犠牲者を偲ぶ貴重な式だった。追悼の場が減るのが残念だ。」と肩を落とす。
高齢化等を理由に取り止めるケースは、兵庫県内で相次いでいる。神戸市の市民団体「市民による追悼行事を考える会」の調査によると、今年1月17日前後に予定される追悼行事は、昨年12月時点で計53件。昨年よりも3件減り、震災20年の節目だった平成27年の110件からは半減した。
1月17日に鐘を鳴らす寺院等も此処10年で半減し、近年は正午に遅らせるケースも目立つ。同会の世話人、計盛哲夫さんは「此の傾向が、震災の風化に繋がらない様にしたい。」と話している。
夜明け前の追悼行事は身体的な負担が大きいとして、開催時間を見直す動きも在る。
神戸市長田区の復興住宅「フレール・アスタ若松」では毎年、震災発生時刻に合わせ、敷地内の復興記念碑前で追悼行事を開催して来た。然し、参加者の大半が80歳を超え、数年前から「寒さの厳しい夜明け前に集まるのは、体力的にきつい。」との声が上がった。自治会は昨年11月、役員会で行事の取り止めを提案し、全会一致で承認された。
一方で、復興住宅内で毎月開いている交流会「ふれあい喫茶」を、初めて17日朝に開催する。住民や若い世代に向け、震災当時や復興の道程を語り継ぐ内容と言う。実行委副委員長の船引康義さん(53歳)は「時刻に拘るので無く、彼の日を思い出し、犠牲者を偲ぶ事が大切だ。」と強調している。
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記憶が風化して行くというのは、止むを得ない事なのかも知れない。阪神・淡路大震災を体験した方の中に、「あんな辛い記憶は、もう忘れたい。」と思う人が居たとしても、体験者では無い自分がああだこうだ言える話では無いし。
又、震災発生時刻が「1月17日午前5時46分」と“寒さ厳しい夜明け前”で在る事から、「追悼行事に参加するのは、身体的にきつい。」という事が上がるのも理解は出来る。
とは言え、あんなにも苛烈な自然災害をリアル・タイムで見聞した身からすると、「震災の記憶の風化に繋がらなければ良いが・・・。」という思いは在る。元記事で船引氏が語っている様に、「時刻に拘るので無く、彼の日を思い出し、犠牲者を偲ぶ事が大切だ。」と、自分も思う。