8年前の記事「届いた年賀状は1枚だけ」の中で書いた事だけれど、自分が幼かった頃の「正月」と言えば、“特別な存在”で在った。「正月の為だけに用意された御節料理や御屠蘇の飲食。」、「三箇日は殆ど全てと言って良い位店が閉まっていて、街中は静寂に包まれていた。」、「和服姿の人を、少なからず目にした。」、「普段は全くしない百人一首や凧揚げを、多くの子供達がしていた。」等々、“非日常的な光景”が彼方此方で普通に見掛けられた。
御節料理や御屠蘇の飲食は結構されていると思うが、24時間営業のコンヴィニエンス・ストアが普及して以降は、元日にですら開いている店は珍しく無くなり、街中から静寂さが消失。街中で和服姿の人を見掛ける事は殆どと言って良い程無くなり、初詣の場ですら普段の日と変わらない格好で訪れる人が普通となった。室内で行われる百人一首は判らないが、少なくとも近所の公園とかで凧揚げをする子供の姿は、見掛けなくなって久しい。
我が国には「ハレ(晴れ)とケ(褻)」という世界観が在り、「日常生活がケ」で、「儀礼や祭、年中行事等の非日常な面はハレ」とされる。正月はハレの場の最たる物で在ったけれど、ケの場へと移り変わって行っている様に感じる。近年、「減っているなあ。」と感じている松飾りを施す家も、今年はより減っていたし。
「元日にしてはいけない事」というのが、昔から幾つか存在する。自分は祖父母や両親から教えて貰ったが、其の内の6つが理由と共に、此方で紹介されている。
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「元日にしてはいけない事」
1.元日に掃除や洗濯をしてはいけない。
2.元日に御金を使ってはいけない。
3.元日に刃物類を使ってはいけない。
4.元日に火を使ってはいけない。
5.元日に水に触れてはいけない。
6.元日に喧嘩をしてはいけない。
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「『してはいけない。』と言われても、現実的には無理だろう。」と思ってしまうのは、2~5の項目だろう。実際、自分も守れていないし。1及び6に関しては、ずっと守っているのだけれど、今年の元日、外を歩いていると「洗濯物をどさっと干している家」が結構在り、「えー。」と驚いてしまった。
共働き等の理由で、元日も洗濯をしなければいけないのかもしれない(洗濯自体は大晦日とかにしたのかもしれないけれど、其れにしても元日に干す事自体が、昔は無かった。)が、「元日が年々、“普通の日”になって行く。」というのを、改めて痛感させられた次第。
知人の自営業者にもやはり大みそかの昼間まで仕事して後は旅館に移動し、一泊。で1日の昼から3日まで旅行!を楽しみにする人がいます。12月に非常に忙しい業種でずっと夫婦で働きづめですから、これを楽しみに生きてるような人たちです。
>1日
珍しく晴れてたので、うちも近所もフトン干していました。
年初めから晴天続きで、元日も「あれ?」と思い乍らも、「天気が良いから、洗濯物を干してるのだろうな。」と感じもしました。
御節料理を家で作るのが面倒という人が増え、全て購入する家庭が増えたと聞きます。斯く言う我が家も数年前から“購入組”となりました。最初は“手抜き”といった心苦しさが無かった訳では在りませんが、「年初め位、そこそこ良い値段の物を取り寄せて食すのも、自分達への御褒美として良いかな。」と思う様に。正月に家族旅行が増えたというのも、「正月位、上げ膳据え膳でゆったりしたい。」という思いを持つ人が増えたからかもしれませんね。