4月1日、「新札の肖像画に意外な人物が決定!」という記事を書いた。此れはエイプリル・フールのネタ記事だったが、アメリカ合衆国ドル紙幣は本当に、肖像画が変わるそうだ。
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「新20ドル札に黒人女性 米紙幣120年振りの女性起用」(4月21日、朝日新聞)
米財務省は20日、「新たな20ドル紙幣の肖像画に、自らも奴隷出身で、南北戦争前に南部の奴隷州の黒人を救った、黒人女性ハリエット・タブマンを起用する。」と発表した。米国紙幣に女性の肖像画が使われるのは、1896年迄流通した1ドルの銀兌換券に描かれた初代大統領夫人マーサ・ワシントン以来、約120年振り。ルー財務長官はタブマンに付いて、「彼女の驚くべき勇気が、民主主義の理想を具現化した。」と話した。
現在の20ドル紙幣の表に描かれている第7代大統領のアンドリュー・ジャクソンは裏側に移る。新10ドル紙幣の裏には、19世紀に女性の選挙権の為に活動したルクレシア・モット等5人の女性が、5ドル札の裏には人種差別撤廃を訴えたマーティン・ルーサー・キング牧師等が描かれる。新紙幣のデザインは、女性の参政権が憲法で認められて100周年となる2020年に公表される。
財務省は昨年、「10ドル紙幣の表に描かれている初代財務長官アレクサンダー・ハミルトンに代えて、女性を起用する。」と発表していたが、ハミルトンは「残留」となった。米国ではハミルトンをモデルにしたミュージカルがヒットしており、今年のピューリッツァー賞にも選ばれた。
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今回の新肖像画のポイントは、「女性」と「黒人」の起用という事だろう。女性や黒人が肖像画として起用されるのは、個人的に良い事と思っているが、こういう事がニュースとして取り上げられる事は、アメリカでの差別問題が今も根深く残っているという証左でも在ろう。
“自由と平等の国”を高らかに謳い乍ら、実際には“不自由さ”や“不平等”が根強く残る国でも在るアメリカ。人種差別や赤狩り(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E7%8B%A9%E3%82%8A)等は、そういった表れで、嘗て程の露骨さは無くても、今もそういう部分が見え隠れする。と言うか、近年はそういう風潮が再び強まりを見せており、此れは我が国にも同じ感じが在りますね。
“美しい国”とは、主流を最大限に尊ぶ一方、マイノリティーを徹底的に排除する国では無い筈。寛容さという日本の美点が、どんどん失われている様に感じます。