昨日、クライマックスシリーズ(CS)のファースト・ステージが、セ・パ共に開幕となった。此のステージでは“原則として”、先に2勝を上げたチームがファイナル・ステージへと駒を進める事になる。
パ・リーグではファイターズとライオンズが闘い、「2対5」でライオンズが勝利。「2対1」と勝っている状態で9回表を迎えたファイターズは、抑えの武田久投手を投入して逃げ切りを図ったが、1点を失って延長戦に突入。11回表にライオンズが3点を奪い、ファイナル・ステージ進出に王手を掛けた。
大エースのダルビッシュ有投手を先発に立て、勝利を掴み取れなかったファイターズ。非常に痛い一敗では在るが、追い詰められてから大反撃し、ワールド・シリーズの頂点に立った今季のセントルイス・カージナルスの例も在る。今日の試合が楽しみだ。
そしてセ・リーグではスワローズとジャイアンツが闘い、「3対2」でスワローズが勝利を収めた。得点機会で言えばジャイアンツの方が多く、「勝ち試合を落とした。」とは言わない迄も、「勝てそうな試合を落とした。」という感じは在る。
過去に何度か書いているけれど、「レギュラー・シーズンで優勝したチームこそが、日本シリーズに進出すべきで在る。」と思っているので、CSは「単なる御負けの試合」という認識。唯、そうは言っても、実際に勝負が始まると、応援しているジャイアンツが負けるのは正直悔しい。
「『ジャイアンツが勝てそうな試合』を結果的に落とす事になったのは、1つのプレーが流れを変えたから。」という気がしている。5回に1点を失って「1対1」の同点にされるも、ジャイアンツの先発・澤村拓一投手は素晴らしい投球を見せており、5回で交代させたのは納得出来なかった。「ファイナル・ステージに進めば、ドラゴンズに強い澤村投手を、第1戦を含む2試合で先発させたい。」という思惑がジャイアンツの首脳陣には在り、其れ故の早い降板だった様だが、先に2勝したチームが勝ち抜けという“超短期決戦”では、目先の勝ちを確実に拾うのが鉄則ではないか?「取らぬ狸の皮算用」とは、正に此の事か。
6回裏、澤村投手の後を受けて、二番手としてマウンドに上がったのが高木康成投手というのも理解に苦しむ。当ブログで何度か書いたと思うが、今季は「高木投手の登板。→打ち込まれて、致命的な失点を喫する。」というシーンを何度見せられた事か。案の定と言うべきか、ピンチを作り上げての降板となってしまった。
でも、自分が考える「流れを変えた1つのプレー」は、澤村投手の降板や高木投手の登板に非ず。「0対1」とジャイアンツの1点リードで迎えた5回表、即ちジャイアンツの攻撃時の「寺内崇幸選手のプレー」が、ジャイアンツに向いていた勝利の流れを、スワローズへと向かわせた様な気がしてならない。
4回表に1点を先制し、5回表には先頭打者の坂本勇人選手が2塁打を放ち、無死2塁というチャンスを作ったジャイアンツ。澤村投手の調子が良かっただけに、確実に追加点を取りに行く展開で、次打者の寺内選手には送りバントの指示が。しかし彼はスリー・バント失敗し、後続も凡打でチャンスを潰してしまった。勝負事に「たられば」を言っても仕方無いけれど、確実にバントで送って1死3塁にしていれば、次打者が今季首位打者のタイトルを獲得した長野久義選手だったから、外野フライ位は打てたと思う。「何とかヒットで走者を返さないと。」という思いが強過ぎたからこその、長野選手の大振り&三振だったのではないかと。
誰しもミスはする。寺内選手もミスをしたくてした訳では無いし、「何とかバントを成功させよう。」という強い思いは在った事だろう。だから彼を責めるのは酷なのかもしれないが、「状況判断が出来ていなかった。」という点で、彼のプレーは御粗末だった。
中継で解説を務めていた今中慎二氏が「何が何でも3塁側にバントするというのでは無く、此の状況では1塁方向にバントしても進塁させられるし、バントをする寺内選手も楽な筈。」と何度か指摘していたが、自分も全く同じ事を感じていた。「原則」は飽く迄も「原則」で在り、状況に応じては「例外」がベターなケースも在るのだ。
原則に捉われ過ぎて、結果として成功を収められず、勝利の流れを変えてしまう。1軍で244試合も出場しているのだから、経験不足を言い訳には出来ない。寺内選手には猛省して貰い、失敗を糧にしての奮起を期待している。