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「末期癌少女、遺体冷凍保存=「生き返る為。」、裁判所容認-英」(11月18日、時事通信)
末期癌を患っていた14歳の英国人少女が、死後に自身の遺体を冷凍保存する権利を求めて提訴し、裁判所が10月6日に此れを認める判決を下した。担当裁判官によれば、同種の訴訟は恐らく世界で初めてと言う。11月18日付の英各紙が報じた。
少女は判決から11日後に死亡し、遺体は米国の保存施設へ運ばれた。保存費用は推定3万7,000ポンド(約500万円)と言う。
ロンドンに住んでいた少女は昨年、癌と診断された後、インターネットで人体冷凍保存に付いて調べ、将来治癒が可能になった段階で「生き返る。」為、遺体の保存を希望。母親は同意したが、父親が反対した為、訴訟に持ち込まれ、「遺体の処置は、母親が決めるべきだ。」との判決が下された。両親は離婚し、父親は過去8年間娘と会っていなかった。
少女は裁判官に宛てた手紙で「私は、たった14歳です。死にたく無いですが、そうなる事は判っています。冷凍保存すれば、仮令数百年後でも、回復して目覚める機会が得られます。」と訴えていた。
人体冷凍保存は、難病や加齢で死亡した人の体を、医療が進んだ将来、解凍・蘇生させる事を目的に、超低温で冷却し、保存する技術。報道によれば、米国とロシアに施設が在る。米国では此れ迄300人以上が凍結保存されたが、蘇生の成功例は無い。
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此のニュース、11月22日付け東京新聞(朝刊)にも報じられている。其処から補足し乍ら、記して行きたい。
先ず「遺体冷凍保存」とは「死亡直後、体液を不凍液と入れ替え、零下196度の液体窒素で冷凍し、保存する技術。」を意味する。何年前から始まったのかは知らないけれど、“メジャー最後の4割打者”と言われたテッド・ウィリアムズ氏が2002年に亡くなった際、「自分の遺体を冷凍保存して欲しい。」とする遺言を残し、遺族間で揉めた結果、「遺体の頭部だけを冷凍保存。胴体以下は火葬。」となった事が大きく報じられていたのを覚えている。
遺体冷凍保存、アメリカでは此れ迄に300人以上が行っているそうだが、毛沢東やレーニン等の様に「遺体を一定期間“防腐処理”する技術」で在るエンバーミングを行う人は、年間1万人程度居るそうだ。
生命科学に詳しい近畿大学講師の榎木英介医師は、「人間の脳等の細胞は、亡くなって数分で死んで行く。仮令直ぐに凍らせる事に成功したとしても、解凍する事で更にダメージが広がる。」と指摘した上で、冷凍保存された遺体を蘇らせる事に付いては「数百年後でも難しいだろう。」と疑問視している。
人の考えは十人十色で在り、明々白々に違法だったりしない限り、他人が「間違っている。」と、考えの変更等を強いらる事は出来ない。況して今回の場合、14歳の少女は彼女なりに考え抜いた上で出した結論だろうから、「間違っている。」と言う気は毛頭無い。飽く迄も「自分が、彼女の立場だったら。」という前提での私見に過ぎないのだが、自分だったら「自身の遺体を冷凍保存したい。」とは思わない。「“数年後”、完全な形(病気も治癒した上)で生き返る事が出来る。」というのなら未だしも、数十年後だったり数百年後に蘇生した所で、「周りは、誰1人知らない人間。」なんて事になろう。そんな状況で生き返っても、果たして嬉しいだろうか?又、「“冷凍人間”として、ずっと晒され続ける。」のというも、個人的には抵抗感が在る。
1つ気になるのは、遺体冷凍保存費の約500万円に付いて。此れって、所謂“手付金”なのだろうか?蘇生が数年単位で可能なら未だしも、極端な話、数百年単位になるならば、約500万円では無理な気がするからだ。「手付金が約500万円で、毎年相当額の費用を払い続けなければいけない。」というのならば判るのだが、そうなると今回の彼女の場合、母親が亡くなった後、誰かが支払いを引き継がなければならないという事になるだろう。又、受け容れたアメリカの保存施設が潰れた場合、冷凍保存された遺体はどうなるのだろうか?
その冷凍人間になって100年後に蘇生して病気治療するとしてです。超低温で100年冷凍する為の電気代は幾らなの?
怪しいっすよ!
機械や施設には経年劣化は避けられませんから、メンテナンスは必要でしょう。その費用に目を瞑るとしても、メンテナンス中にその死体を何処に置いておくのでしょ?
ぶっちゃけ、デブリと宇宙線以外なら物質的な環境が「停止」してる宇宙空間にでも収納施設を作り、AIとロボットにでも管理させるしかないでしょう。
実は今の科学って、永続性と いうか数世紀の経年劣化に耐えうる技術こそ弱点です。ナノテク、バイオ、AI…凄いのですけど、時間に耐える技術ってのがない。
冷凍人間を入れておく函の継続性か怪しい以上、とても本気の事業とは思えません。
一人10億円くらいもらっても、数世紀に渡るメンテナンス、施設の維持管理、とても採算に合わないと思います。
矢張り「遺体冷凍保存費が約500万円。」というのは、安過ぎますよね。電気代だけでも、可成りの金額が発生すると思うし。
「今の科学って、永続性と いうか、数世紀の経年劣化に耐え得る技術こそ弱点。」というのは知らなかったので、勉強になりました。死んだ人間を生き返らせるというのは、太古の昔から人類が夢見て来た事ですが、こういうのは人間が触れてはいけない領域の様に思います。生きている内は様々な“差”が生じる生き物にとって、“死”は等しく受け容れざるを得ない、唯一無二の事柄で在り、そういう意味では「死こそが人を、平等たらしめる。」と考えます。