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「山田川村・津々井法律事務所」に勤める弁護士・美馬玉子(みま たまこ)。事務所の1年先輩で在る剣持麗子(けんもち れいこ)に苦手意識を持ち乍らも、ボス弁護士・津々井(つつい)の差配で麗子とコンビを組む事になってしまう。
2人は、“会社を倒産に導く女”と内部通報されたゴーラム商会経理部・近藤まりあ(こんどう まりあ)の身辺調査を行なう事になった。ブランド品に身を包み、身の丈に合わない生活をSNSに投稿している近藤は、会社の金を横領しているのではないか?然し、其の手口とは?
ところが調査を進める中、ゴーラム商会のリストラ勧告で使われて来た“首切り部屋”で、本当に死体を発見する事になった彼女達は、予想外の事件に巻き込まれて・・・。
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小説「元彼の遺言状」で、第19回(2020年)「『このミステリーがすごい!』大賞」の大賞を受賞した新川帆立さん。単行本として上梓された第2作目が、今回読了した「倒産続きの彼女」だ。
有名なアパレル企業「ゴーラム商会」が倒産の危機に瀕しているという事で、「山田川村・津々井法律事務所」内の倒産法を専門とする部隊“倒産チーム”が対応を模索している中、ゴーラム商会内に設けられている内部通報窓口に不可解な通報が届けられた。同社が「山田川村・津々井法律事務所」を外部弁護士としての窓口に定めている事から、此の通報が回されて来たのだ。「ゴーラム商会の経理部に勤務する近藤まりあは、過去に勤務した3社全てが潰れている。彼女が不正行為をして、潰し捲っているに違い無い。今度は内が潰れるだろうから、何とか処罰して欲しい。」という内容。実際に調べてみると、確かに彼女が過去に勤務した3社は、彼女の入社から2~3年で全て潰れていた。そして、調査を進めて行く中、関係者の1人が亡くなり・・・というストーリー。
**********************************************************もともと、投資家と呼ばれる人たちは嫌いだ。事業をして、お金を生み出す事業家が一番偉いはずだ。それなのに、その事業家を競馬の馬のように見比べて、お金を儲け、勝った、負けたとわめいている連中が、投資家だ。自分は事業を起こす勇気もないくせに、事業家に対して、「あいつはいい。」とか「あいつはもうだめだ。」とか、勝手なことを言う。
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「倒産続きの彼女」の中に記されていた、印象的な文章。自分も投資家に対して同様の事を常々思っていたので、「其の通り!」と頷いてしまったのだが、善く善く考えてみると「小説を自分で書いた事も無い癖に、『此の作品は駄目だ。』なんぞと偉そうに評価している自分(giants-55)も、同じ穴の狢だな。」という気がしてしまった。
「醜い家鴨の子の定理」が盛り込まれる等、ストーリーとしては面白さが在る。でも、「ああいう状況で人が死んだのに、誰も気付かないっていうのは、少し無理を感じるなあ。」等、幾つかの点で“設定の不自然さ”も感じられ、興醒めしてしまう面も。
現役の弁護士で在り、元プロ雀士でも在るという異色の経歴を持つ新川さんだけに、もっと打っ飛んだ、けれど「設定に不自然さを感じない。」様な作品を、今後は期待したい。
総合評価は、星3つとする。
袈裟のワイドショー内で、「余分なお金があると日本人は貯蓄に回すがアメリカ人は投資に使う」と、お金に対する文化の違いみたいな話題を取り上げていました。
経営者や会社の将来性を見込んで出資し、応援の意味も込めて長いスパンで見守るのが投資、利益を見込んで短期間の売買を繰り返すのは投機。
昔中学校で習った記憶があります。
なので「投資」には悪いイメージはありません。
「投資」と「投機」、こういう分け方をすると、確かに自分が嫌いな対象は「投機」という事になりますね。
大なり小なり、人間は「金」という物に目が眩んでしまい勝ちですが、目先の儲けに捉われるのでは無く、“社会のより良い発展”に資するべく、投資に励むというので在れば、其れは其れで意味が在る事ですね。