ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「固い食べ物」が嫌い

2011年05月01日 | 其の他

脚本家内館牧子さんが、週刊朝日連載しているコラム暖簾ひじ鉄」。4月29日号は「日本の子 中国の子」というタイトルで、「固い物を食べない日本の子供達」に付いて記している。

 

内館さんがスーパーで買い物をしていた所、30代前半と思われる母親が幼稚園の制服を着た娘に「ゼリーを作って上げようか?沢山入れて。」と優しく話し掛けている場面に遭遇。「最近は子供に朝御飯すらも作らない親が少なくないというのに、手作りの御八つなんて偉いなあ。」と内館さんは思ったが、幼い娘は拗ねた様にゼリー、固いからと答え、其れに対して母親は「そうね。じゃあ寒天にしようか?寒天なら柔らかいから良いでしょ?」と微笑んで応じたのだとか。「『何言ってんのッ。ゼリーの何処が固いんだ。』と一喝すべきだろうが。親がガツンと遣らないと、行く行くは娘が酷い目に遭う可能性が在るのだ。」と記す内館さん。朝青龍明徳氏をもビビらせた?彼女だけに、そんな事を言われたら、親子も相当怖い事だろう。それにしても、ゼリーを固く感じるというのは驚き。

 

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日本人が、特に子供が固い物を食べない傾向に在る事は、十年以上も前から問題になっている。固い物を食べない、噛む力がどんどん失われて行き、其れは脳の働きにも影響すると、随分言われて来た。此れ勿論、大人にとっても大きな問題で在り、老化が早まるとか、病気の治癒が遅くなるとか、誰しも聞いた事は在ろう。、「固い物をしっかり噛んで食べよう。」という事は、ダイエットの話題の様には関心を持たれなかったと思う。

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今時の子は、概して顔が小さい。自分の様に「巨顔組合」に属している人間からすると、其の小顔が羨ましくも在る。同年代以上では“寅さん”の様にの張った顔をしている者が少なからず居た様に感じるが、今の若い子には余り見掛けない気がする。小顔が増えた要因には幾つか説が在るけれど、一番大きいのは「固い物を食べなくなった。」というのが在るのではないかと思っている。固い物を食べくなくなった事で様々な弊害生じているとされ、そうなると「小顔」という見掛けの良さを得た一方、「健康」を減じさせてしまったとも言えるのかも。

 

内館さんは、12年前の或る経験を記している。

 

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ところが或る時、私はゾッとさせられる事に出会った。1999年の秋だと記憶しているが、私はNHK朝のテレビ小説私の青空」を準備していた。小学校の給食調理現場もテーマになる為、スタッフと其の取材を続けていた時の事で在る。小学校1年生だったか2年生だったかの教室を訪ね、子供達と色んな話をした中で、何気無く質問した。「皆にとって、固い食べ物ってナーニ?」。忘れもしない。子供達は答えたのだ。パンえーとね、御豆腐。私もスタッフも混乱した。もしかして「柔らかい食べ物」を問うたかと思ったのだが、そうでは無かった。パンが固いというのは「食パン」の事で、が在るから。又、「御豆腐」は木綿豆腐の事だ。

 

栄養士に聞くと、牛蒡や芋等の根菜類元より、野菜の大半、茹でを「固い」とする子供は少なくないと言う。

 

私は教室で、子供達に又質問してみた。「じゃあ、皆にとって柔らかい食べ物は?」。子供達は力一杯に答えた。「プリン!」。「アイス。」。「綿菓子!」。口に入れれば溶ける物が「柔らかい食べ物」の様だ。そう考えると、食パンや豆腐も「固い」訳だし、じゃが芋や南瓜もスープやペーストにしない限り、固い食べ物になる。

 

此の教室からの帰り道、私もスタッフも重い気分になっていた事を、今でも良く覚えている。日本の将来は大丈夫か・・・と。

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食パンの耳や木綿豆腐を「固い」と感じるというのは、此れ又驚き。ウン十年生きて来たけれど、此れ等を「固い」と感じ様も無かったから。「柔らかい食べ物を好み、固い食べ物を忌避する子供が増えている。」という話は大分前から聞き及んではいたけれど、よもやそんなに迄酷い事になっていたとは・・・。

 

唯、「固い食べ物を忌避する子」自体は、もっと大昔から少しずつ増殖していたのかもしれない。50代の知り合いは、昔から「固い食べ物」が苦手と言う。食パンの耳や木綿豆腐を「固い。」と言ったのを聞いた事は無いが、「玄米は固くて嫌。」と言って食べなかったのを考えると、今時の子と余り大差無いのかもしれない。聞けば彼は「元祖鍵っ子」といった存在で、親から「夕食用に。」と与えられた金銭で、カップ麺や菓子パンといった柔らかい食べ物ばかり購入&食していた様だ。其れじゃあ「より柔らかい食べ物が好き。」という事になるのも判らないでは無い。

 

驚きの経験をする1年程前、内館さんは医学博士だった島田彰夫氏と対談し、彼から「噛む事をしなくなると、全身的な色んな影響が在る。」と、次の具体例を示されたのだとか。

 

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① 先ず歯列不正が起こる。

② 次に其の物が小さくなる。(其の為、歯の数が足りない子が出て来た。)

③ 脳の働きとの関係。

④ 肩凝り、腰痛の原因。

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「5歳位の子供の中には、乳歯が生えたの状態で綺麗に揃い、全く擦り減っていないケースが出て来ている。」と、約13年前に島田氏は指摘。「ちゃんとした物を噛んでいれば、自然に減って行く訳です。幼稚園児の中に、たまにきちんと擦り減っているのが居まして、此れは噛む力を測定すると50kg近い力を出しているんです。ところが、酷いのは1kgも出ないんですよ。」とも。「噛む力としては、少なくとも自分の体重以上のkgが出ないといけない。」そうだ。

 

記事の最後で内館さんは、島田氏との対談から数年後に取材で訪れた中国の雲南省での出来事に付いて触れている。路上で遊び回る子供達が皆、1本10円程で屋台で売られている焼きトウモロコシを食べていたのを目にしての話だ。

 

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余りに美味しそうで、私も1本買って食べてみた。吃驚した。固いの何のって、算盤玉の様。日本のスイートコーンとは別物で在る。

 

をバリバリと齧って遊ぶ中国の子、「ゼリーは固いから嫌。」と拗ねる日本の子。そりゃ、勝負にならないでしょう。

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1 コメント

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さかなっぱカルタ (おりがみ)
2011-05-04 10:48:36
この点は内館さんにもろ手を上げて賛成です。
ドラマとしての「私の青空」は伊東四郎さんがよかったなぁ・・宝田明さんがステキだったナァ、あと氷屋のおじさんも・・(けっきょく若い俳優よりもおっさん達が光っていた)
簡単にくっつき離れてまたつく主人公のストーリーよりも「食育」に心惹かれました。
さかなっぱカルタというグッズもでてきました。
実物を入手し、今でも保育所でつかっております。

食は命。保育の原点です。
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