大晦日の夜、TV番組を見乍ら新しい年を迎えるというのが、子供の頃からの習慣。一昨日も、先ずはテレビ東京系列の「第45回年忘れにっぽんの歌」で視聴開始。「ジェリー藤尾(氏)、老けたなあ。」とか「パンパンに太ってしまった麻倉未稀(さん)、二の腕太過ぎだろ。」等と独り言つ。
18時30分~0時30分迄放送の「ダウンタウンのガキの使い『絶対に笑ってはいけない熱血教師24時!!』」(日本テレビ系列)は予約録画していたが、マンネリ感は在るものの、馬鹿馬鹿しい面白さは変わらない。特に“新おにぃ”こと前島コーイチ氏と、“ジミーちゃん”ことジミー大西氏の“破壊力”は強烈。其の存在だけで笑ってしまう。
【前島コーイチ氏】
【ジミー大西氏】
教師役として登場した長州力&天龍源一郎両氏。尋常じゃ無い滑舌の悪さの2人が、報告書を読み上げるシーンは壺に嵌まったし、「上島組vs.出川組」の“御約束対決”も、余りの下らなさに抱腹絶倒。
習慣として見続けている「NHK紅白歌合戦」(NHK系列)も、近年はメインで見る事が無い。知らない歌手や曲が殆どという理由からで、他の番組を見乍ら、ザッピングで紅白を見るというのが専ら。
今回の紅白でどうしても見たかったのは、由紀さおりさんと美輪明宏氏。結局は此の2人に加え、(過激なステージが予想された)ゴールデンボンバーとMISIAさん、そして矢沢永吉氏だけ、歌っている場面をフルで見た。
由紀さんは、大好きな歌手の1人。ポートランドからピンク・マルティーニの演奏に合わせ、透明感の在る声で「夜明けのスキャット」(動画)を歌い上げる彼女の姿は、「此れぞ歌手!」と感じさせられた。(昨今、「歌の上手い歌手。」という表現をしなければいけない事に、残念さを感じている。歌手ならば歌が上手いのは当然なのだが、下手過ぎる歌手が少なくないから。)
紅白をウン十年見続けて来たが、印象に残るシーンは結構在る。「ギターに火を点ける等、遣りたい放題した吉川晃司氏。」、「歌っている最中、頭上から半端じゃない量の紙吹雪が降り、口の中に入ってしまった儘歌い切った“サブちゃん”。」、「髪を振り乱し、絶叫し乍ら歌ったちあきなおみさん。」、「ブリーフ一丁で歌ったとんねるず。」(動画)、「桑田佳祐氏が三波春夫大先生に扮して歌ったサザンオールスターズ。」、「コンドームをネックレスの様に掛け、尻を半分出した状態で歌った本木雅弘氏。」等々がそうだが、打ち震える様な感動を覚えたのは「黒部川第四発電所に隣接する関西電力黒部専用鉄道の駅構内のトンネルで、『地上の星』を歌い上げた中島みゆきさん。」(動画)だ。空気が凍り付きそうな、そして静寂さが支配するトンネル内で、ワイン・レッドのロング・ドレスに身を包んだ中島さんが、朗々とした歌声を響かせ乍ら、静々と歩む姿は幻想的だったから。
そして今回の紅白で、中島さんと匹敵する様な、打ち震える感動をさせてくれたのが、「ヨイトマケの唄」(動画)を歌った美輪明宏氏。「母親が日雇い労働者という事で、虐めや差別を受け続けた男性の半生を描いた歌。」で、美輪氏自身が作詞&作曲を行い、1964年に発表された。美輪氏が幼少時、一緒に育った友人の亡き母を回顧した歌だとか。貧しさに負ける事無く、立派な社会人となった男性が、「苦労苦労で死んでった母ちゃん」への尽きぬ愛情を吐露する歌詞が、何度聞いてもぐっと来る。
真っ暗なステージ上から「父ちゃんの為ならエンヤーコーラー。」と、振り絞る様な美輪氏の声が響き渡る。そして舞台中央にスポットライトが浴びせられ、黒尽くめのスーツ(何時もの黄色い髪では無く、黒髪の鬘を着用。)を着た美輪氏の姿が浮かび上がる過程は、言い様の無い感動。魂の叫びを感じる約6分間、自分はTV画面から一時たりとも目を離す事が出来ず、我に返った時には落涙していた。(舞台を見詰める木村拓哉氏の姿が映し出されていたけれど、彼の目にも光る物が在ったし。)
【美輪明宏氏】
歌によって、何かを訴える。表現者として素晴らしい、圧巻の舞台。彼が登場した事により、他の歌手達の存在が全て吹き飛んでしまった感すら在った。