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「全米を揺るがす“人工芝”問題~女子サッカー・ゴールキーパー34名が『癌』に!」(4月18日、HEALTH PRESS)
「人工芝」の3文字から連想される競技は、野球・サッカー・ラグビー等が筆頭で、次いでアメフトやフットサルを挙げる人も居るだろう。若い御母さんで在れば、保育園の廊下や百貨店の屋上広場、或いは自宅のヴェランダや庭園を思い浮かべる人も少なく無い。
実際、ネット上には、人工芝愛用歴ン年の主婦が綴る、其の活用やメリットorデメリットが投稿されている。其れ等は総じて「手入れが楽。」、「虫が付かない。」、「転んでも痛くない。」と好評価の一方、「夏場は暑い。」、「綺麗に掃除が出来ない。」という物だ。
だが、人工芝への認識や姿勢は、此の様な利便性優先の考え方で良いのだろうか?
「其れが何か!?」とキョトンとした人は今、米国、英国を揺るがせている「癌発症問題」は初耳だろう。今年に入り、米国消費者製品安全委員会、環境保護庁、疫病対策センターの三者が共同で、巷間求められて来た或る調査の開始を発表した。
人工芝の充填剤原料として使用されるゴム・チップ(=廃タイヤから作られる化学物質)の危険性に付いて、到頭とうとう重い腰を上げたのだ。
事実上、政府側が「癌との関連性」を認めた形となるが、此処迄の道程は長かった。
2009年、米ワシントン大学女子サッカー部所属の2人のゴールキーパー(以下、GK)が相次いで入院し、何れも 非ホジキンリンパ腫と診断されたのが端緒で在る。
此れは、腫瘤が出来るものの、初期症状が無痛性の為、誤診等で見逃され易い悪性リンパ腫の一種。
其れにしても何故、同じポジションの部員が揃って一緒の病に見舞われたのか!?
然も、同部のエイミー・グリフィン主将(兼准ヘッド・コーチ)は病院側から「今週だけでGK許りが、4人も入院して来た。」と不可解にして驚愕の事実を聞かされたのだ。
ペナルティ・エリア内では、“守護神”GKと相手選手との攻防は激しさを増す。練習時も人工芝のゴム屑はスパイクとぶつかり合い、埃諸共宙を舞う。
粉塵は、GKの髪やユニフォームに付着し、口腔摂取が日常だ。肌の露出部分の擦過傷にも付着する。
「彼の“黒い屑”が、屹度発癌性物質に違い無い!」、そう確信したエイミー主将は、他大学女子サッカー部も調査。すると38人が化学療法を受け、内34人がGKという深刻な結果が判明した。
然も、全員の診断が「癌」、其れも血液性の癌で在るリンパ腫や白血病が多い点で一致を見た。
以来、全米のメディアが騒ぎ始めて、科学者の見解や検証も開始。癌には到らない迄も、ゴム屑摂取による呼吸器疾患等、過去20年間で60件に及ぶ健康被害が報道された。
中でも、全米報道番組「USAトゥデイ」の追及は可成り積極的で、昨年3月には、次の様に報じた。
「人工芝使用の競技場は、全米各地で1万1,000ヶ所も在る。そして多くの学校、保育園や遊技場から健康被害を起こす鉛が高濃度検出されている。ところが、我が連邦政府機関が『人工芝は安全だ。』」と謳って使用を推奨しているのは、明らかにおかしい!」。
補足すれば、件のゴム・チップには、国際癌研究機関の発癌性リスク評価で3類(=発癌性が未分類)のベンゼン、2類(=発癌性の疑い在り)のカーボン・ブラックと鉛が含有されている。
そんな全米メディアの沸騰追及に対しても、政府機関は数年間も無視を決め込んで来たが、到頭今年2月の連携調査開始が発表された。
先日は、英国のアンドリュー・ワターソン教授(スコットランド・スターリング大学)等による人工芝調査の結果も公表され、「複数の発癌性物質が存在する。」事実が明かされた。
人工芝の上で無邪気に遊ぶ御子さんが居る家庭では、一考すべき知見かもしれない。
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松井秀喜選手がジャイアンツを離れ、メジャー・リーグに移籍したのには、メジャーに対する憧れも在ったろうけれど、「人工芝の下地はコンクリートやアスファルトといった硬い材質で、足腰に大きな負担が掛かり、結果的に選手生命を縮めてしまう。日本でプロ野球の試合を行う球場は人工芝が使われている所が主だが、メジャーは天然芝が主になっている。だから、選手生命を縮めない為にも、メジャーに移籍したい。」という気持ちが強かった事も確かだろう。
「人工芝の原料に有害な物質が含有しており、癌になる可能性が低くは無い。」という話は、以前聞いた事が在った。選手生命どころか、本当の生命すらも脅かされるとしたら、決して看過出来る問題では無い。今回、健康被害の具体的な数字が報道された事で、日本でも人工芝から天然芝への移行が進むかもしれない。