ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

忘れられないシーン

2011年12月22日 | 其の他

プロレスラー上田馬之助氏が昨日、71歳で亡くなられた。自分の中で「上田馬之助」というプロレスラーは1人しか存在し得ないのだが、リング・ネームを引き継いだ2代目が居られるそうなので、誤解を避ける意味で敢えて書くならば、亡くなられたのは初代・上田馬之助氏で在る。

 

6年前の記事「阿部四郎リターンズ」でも触れたが、嘗てプロレスの試合を夢中で見ていた。女子プロレスで言えばビューティ・ペアから始まり、クラッシュギャルズ極悪同盟等がリング躍動していた辺り、そして男子プロレスで言えばアブドーラ・ザ・ブッチャー氏やタイガー・ジェット・シン氏といったヒール達が暴れ回っていた辺り迄を夢中で見ていたのだから、プロレスの試合を見なくなって可成りになる。

 

役所で言えばヒールの上田馬之助氏は、自分が好きなプロレスラーの1人だった。(過去の記事では何度か、彼を喩えとして使わせて貰っている程。)190cmの長身で、に染めた金髪がトレードマーク。タイガー・ジェット・シン氏と“凶悪タッグ”を結成し、リングで竹刀を振り回していた姿が忘れられない。

 

15年前、東北自動車道で交通事故に巻き込まれ、命は取り留めたものの脊椎損傷で、以降は車椅子生活を余儀無くされてしまった上田馬之助氏。福祉施設慰問したり、リハビリに励んでいたりする姿をTV番組で何度か拝見したが、リング上では考えられない程の柔和な表情も、見るに身体が小さくなって行く感じがして、堪らなく寂しかった。

 

ヒールとして暴れる彼も好きだったが、リング外で見せる御茶目な彼の姿はもっと好きだった。1984年に公開された映画「パンツの穴」は“良い意味で”「此れ際物!」という作品だったが、全く意味不明に登場し、男の胸倉を取って持ち上げる「謎の大男」役の彼は、「際物作品の中で最も光る際物」。今でも忘れられないシーンだ。

 

今でも忘れられないシーンと言えば、映画「家族ゲーム」内での食事シーンも其の1つ。松田優作氏が演じる“型破りな家庭教師”が、様々な問題を抱えた(家庭教師先の)家族4人と共に食事をしているシーンなのだが、「横並びの食卓に5人が1列となって、黙々と食べ続ける映像。」は衝撃的ですら在った。此の作品の監督を務めた森田芳光氏が20日に、急性肝不全にて61歳で亡くなられたと言う。

 

彼が監督を務めた作品で、自分が最初に見たのは「の・ようなもの」。そして次に見たのが「家族ゲーム」で、以降は「メイン・テーマ」、「ときめきに死す」、「それから」を見て来た。雰囲気の在る作風が嫌いでは無かったのだが、とんねるずを主役に起用した「そろばんずく」が駄作中の駄作(「パンツの穴」が“良い意味での際物”ならば、「そろばんずく」は悪い意味での際物”。)で、非常に落胆させられたもの。

 

「そろばんずく」以降、森田作品を見る意欲が減じられてしまった。御付き合いで数作見たけれど、何れもピンと来ず、自分の中では「森田作品の最高峰は『家族ゲーム』で、彼の才能は『そろばんずく』にて駄目にされてしまった。」という印象だ。

 

「森田監督の撮った『間宮兄弟』は良いよ。」という評価を、此れ迄何度か見聞している。しかし「そろばんずく」の酷さが余りだった事から、ついつい見ないで来てしまった・・・。

 

上田馬之助氏と森田芳光氏の御霊合掌


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2 コメント

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「そろばんずく」ですね。 (あみーご長嶋)
2011-12-22 11:42:16
「そろばんずく」は、憲さん夫婦が結婚するきっかけになった作品。
名作もあれば同じ数だけ駄作もあるのが森田さんですね。確かにそれ以降は微妙・・・
「ハル」も今となっては微妙な気がします。

今年は本当に、亡くなられた方が多いですね。

上田馬之助、2代目がいるとは検索して初めて知りました。タイガーマスクが4代目までいるのも、今日知りました。
窒息死と聞いたとき、山城新伍さんや江利チエミさんの死因と同じだな、と思いました。





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>あみーご長嶋様 (giants-55)
2011-12-22 14:50:02
書き込み及びトラックバック有り難う御座いました。

「家族ゲーム」を初めて来た際の衝撃は、今も忘れられない。其れだけに森田監督には大きな期待をしていたのだけれど、「そろばんずく」で大きく躓いてしまった感が在るのは残念。「旬な芸能人のキャスティング先ず在りき。」という作品は此れ迄にも多く在るし、其の殆どが駄作という感じなのですが、其の中でも「そろばんずく」は余りにも酷過ぎました。

上田馬之助氏の死は、非常にショックです。健康さしか感じられなかったスポーツ選手の死というのは概してショックな物だけれど、「偉丈夫」という言葉がぴったりな彼だっただけに余計にです。「プロレスラーは概して他者より肉体的に大柄だったりする訳で、選手達の中には其れをコンプレックスと感じている人も少なくない。自身に大きなコンプレックスを持ち、他者から奇異な目で見られたりする事での辛さを知り尽くしているからこそ、プロレスラーには(リングを離れると)半端無く優しい人が多かった。」といった趣旨の言葉を吐いていたのは、嘗てプロレスの試合で実況もしていた徳光和夫氏。馬之助氏も、そんな一人だった様に感じています。

江利チエミさんの死も、非常にショックでした。彼女の歌う「テネシーワルツ」も良かったけれど、一番好きだったのは「酒場にて」(http://www.youtube.com/watch?v=nH_dz3n9ywA&feature=related)。「信じていた異父姉からの酷い裏切り」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E5%88%A9%E3%83%81%E3%82%A8%E3%83%9F#.E6.B3.A2.E7.80.BE.E4.B8.87.E4.B8.88.E3.81.AE.E4.BA.BA.E7.94.9F)、「大好きだった高倉健氏との別れ」等々、晩年は辛い出来事が多かった彼女。画面上から感じられる明るさとは余りにギャップが在る私生活も在って、孤独死した事が可哀想でならなかった。
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