ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「星を掬う」

2022年03月14日 | 書籍関連

************************************************
小学1年の時の夏休み、母と2人で旅をした。其の後、私は、母に捨てられた。

ラジオ番組の賞金欲しさに、或る夏の思い出を投稿した芳野千鶴(よしの ちづる)。其れを聞いて連絡して来たのは、自分を捨てた母の“娘”だと名乗る芹沢恵真(せりざわ えま)だった。此の後、母・内田聖子(うちだ せいこ)と再会し、同居する事になった千鶴だが、記憶と全く違う母の姿を見る事になって・・・。
************************************************

町田そのこさんの小説星を掬う」を読了。彼女の作品を読むのは、第18回(2021年)本屋大賞を受賞した「52ヘルツのクジラたち」以来。

************************************************
若年性認知症:65歳未満発症する認知症。 

毒親:“になる親”の略で、毒と比喩される様な悪影響を子供に及ぼす親、子供が厄介と感じる様な親を指す概念
************************************************

「小学1年の夏休みが終わる頃、30歳の母・聖子は千鶴を捨てた。其れから22年が経ち、生きる事に希望を持てなくなった彼女は、52歳となった母と再会する事になるが、其の母は若年性認知症を罹患していた。」というストーリー。

「娘を捨てる直前、其の娘だけを連れて、1ヶ月程の旅をした母。」には、どういう思いが在ったのか?其の真相が明らかとなった時、千鶴がどんなに衝撃を受けたかは想像するに難く無い。でも、其の真相に隠された“の理由”を知った時の千鶴の思いも又、大きな衝撃を受けた事だろう。前者が“マイナスの衝撃”ならば、後者は“プラスの衝撃”という違いは在るにせよ。

“毒親”というのも、「星を掬う」のテーマの1つだろう。「“真の毒親”に苦しめられている者。」が存在する一方で、「自身の不幸を慰撫したいがだけに、親を毒親と
事に見做している者。」も存在する。

又、第三者の身勝手さに憤りを感じるも、第三者から『自分も、全く同じ身勝手さをしている事。』を指摘され、気付く。というのも、良く在る話だ。人間とは、そういう生き物なのだろう。

人間の持つ“な部分”が、幾つも描かれている。特に「終盤で描かれる“2人の男性”の言動。」は、反吐が出る程に不快。結末で、少し救われた感は在るが。

総合評価は、星3.5個とする。


コメント    この記事についてブログを書く
« 生命保険 | トップ | 狸香 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。