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「選挙で決めるべきだった・・・首相の総裁再選に野党」(9月8日、読売新聞)
安倍首相が無投票で自民党総裁の再選を決めた事に付いて、野党からは「選挙で決めるべきだった。」との声が相次いだ。
民主党の細野政調会長は8日午前の記者会見で、「安全保障法制が(国会審議に)懸っている事を盾に取る形で、首相官邸が締め付けた。今の自民党の非常に息苦しい現状を、端的に示した現象ではないか。」と述べ、批判した。
維新の党の松野代表は同日、国会内で記者団に「(自民党の国会議員が)400人も居て、(首相以外に)20人の推薦人が集まらなかった。自民党は、多様な意見が言えない政党になったと感じる。」と述べた。社民党の又市幹事長も「派閥が締め付け、対立候補が出られなかった。独裁政権、独裁政党に映る。」と語った。
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「自民党総裁選に安倍首相の対立候補として、野田聖子前総務会長が立候補するのではないか?」との話が在ったけれど、蓋を開けてみれば安倍首相以外に立候補者は出ず、無投票で安倍首相の総裁再選が決まった。「大山鳴動して鼠一匹」とは、正に此の事か。
自民党が圧倒的多数を占める国会で、「自民党総裁=首相」という構図が在るにせよ、余所の政党の人事に付いて他の政党の人間がああだこうだ言うのも、妙な気がしないでは無い。与党時代の民主党は屡々、“親小沢”or“反小沢”で人事が揉めていたし、他の政党の人事をどうこう言えない。「今回の総裁選を他山の石として、今後はより開かれた政党として活動して行く。」のが、民主党の最優先行為だろう。
野田前総務会長の推薦人、当初は「立候補に必要な20人を超えそう。」と言われていたが、安倍首相から「総裁選は絶対、無投票での再選にしろ!」との命令により、此処数日、自民党所属議員への切り崩し&引き締め工作が凄まじかったと言う。派閥のみならず、(自民党の)支持団体をも使っての切り崩し工作が在ったとも。
其処迄させておき乍ら、記者から無投票で再選された理由を聞かれた安倍首相は、「衆院選の公約を進めている中、一致団結して行こうという多くの議員の考えた方の結果だ。」と、然も全ての議員達が“自由意志”で決めたかの様に、平然と答えたのだから呆れ返ってしまう。
各種世論調査の結果を見ると、概して一時期より内閣支持率が上がってはいるが、其れでも支持と不支持が拮抗していたり、中には未だ不支持が支持を上回っている所も。不支持の理由の多くは、「特定秘密保護法案の強行採決等に代表される、民意を無視した強引な手法。」への嫌悪感だろう。「自分の“趣味”だけで、国形を変え様としている。」事に、多くの国民が疑問を感じている。そんな状況下でも、自民党所属の議員達“殆ど”全ては「唯々諾々として、安倍首相の命令に服する。」事にした訳だ。
今回の結果を受け、国民が気付かなければいけない事が在る。各種世論調査の結果では、「安倍首相の支持率は下がり、不支持率は上がっても、概して自民党の支持率は高止まり状態で、2番手の政党を大きく引き離している。」のだけれど、此れには「民主党を始めとした野党がだらしない。」という思いに加え、「安倍首相の手法は気に食わないけれど、自民党内から他の人間が首相になれば、悪しき部分は変わる筈。」という“期待感”も在るのだと思う。
でも、今回の無投票による再選が平然と決まった事から考えると、自民党所属の議員の誰が首相になったとしても、結局は“安倍二世”や“安倍三世”で在り、民意を無視した強引な手法は変わらない証左ではないか?
又、「『自由』が在るのが『“自由”民主党』。『自由』が無いのが『民主党』。同じ問題が自民党で起こったら、新人でも『説明してくれ。』と言うと思いますよ。」等と得意気に言い乍ら、自民党内の“自由さ”を排除する行為に付いて、一切黙りを決め込むのが常な小泉進次郎議員だが、今回の総裁選での異常な締め付けに関して“も”、特に発言していない様だ。
御姉ちゃんと何処かにしけ込むのに忙しいのかどうかは扨措き、都合の良い時には前面に出て来るけれど、不都合な時には黙りを決め込むというのでは、彼の人間的な薄さを感じずには居られない。「未来の首相には誰が良い?」なんてアンケートを行うと、彼の名前が断トツで1位になったりするけれど、(橋下徹市長同様に)“人間的な薄さ”を好い加減気付くべきだ。
「今の自由民主党は“不”自由民主党。」というのを満天下に知らしめた事が、今回の総裁選に於ける“唯一の功績”かもしれない。