週刊新潮(12月12日号)に、「玩具市場が1兆円超 牽引役は大人という事情」という記事が載っていた。物価上昇が止まらない日本では、概して庶民の財布の紐は締められた状態に在る。「商品が売れない。→物価高で、商品の値段を上げざるを得ない。→更に商品が売れなくなる。」という悪循環が世の中を覆っている中、例外的に活況を呈しているのが玩具市場なのだとか。「少子化が進んでいるのに何故、玩具市場が活況を呈しているの?」と疑問を感じる人も居る事だろう。
一般社団法人「日本玩具協会」等の調べによると、国内の玩具市場の規模は2000年度から20年間は7,000億円~8,000億円台前半で推移。其れが2021年度に8,900億円超、2022年度に9,500億円超、そして2023年度には1兆193億円と大台を突破。0~14歳人口が2004年度の1,773万人から2023年度の1,417万人迄、一貫して減少している状況なのにだ(19年間で約20.0%の減少率。)。
日本玩具協会見本市委員会の藤井大祐専門委員は、「成人人口の結構な割合が、玩具を買って楽しんでいると推測されます。」として、「玩具市場が活況を呈しているのは、大人が牽引役を担っている。」と分析。業界誌「トイジャーナル」によると、2023年、成人1万4千人を対象に行ったアンケートで41%が「自分が楽しむ為の玩具を買った事が在る。」と回答。
玩具業界では、こうした「子供心を持つ大人層」を「キダルト層(「キッズ」と「アダルト」の語を足した造語)」と呼び、メーカーはキダルト層をターゲットにした商品開発に注力しているそうだ。
アラ還の自分は、幼少期よりアニメやゲームに触れて来た世代だ。だから、自分より下の世代の大人なら、余計に玩具への抵抗は無い筈。そんな大人が増えた事で、玩具市場が活況を呈する様に成った訳だ。1996年に登場した「たまごっち」には多くの大人も夢中に成ったし、最近では数十台がずらっと並ぶ「カプセルトイ(ガチャガチャ)」の店舗で大人が興じている姿を見掛ける事は珍しく無くなった。
自分の場合、たもごっちには全く嵌まらなかったし、幼少期は何度か興じた事が在るガチャガチャも、大人になってからは全くした事が無い。でも、「『ドラゴンクエスト』シリーズ」や「『桃太郎電鉄』シリーズ」の新作が発売されると購入してしまうのだから、キダルト層の一員だ。
コロナ禍によって長い在宅時間を過ごした事を切っ掛けに、「家の中で、玩具で遊ぶ事に目覚めた。」という層も多いとか。
元々、子供向けだった「リカちゃん人形」(タカラトミー)にも、大人向け商品「フォトジェニックリカ」が登場。関節を曲げ、多様なポーズを取らせて、SNSにアップするのがブームと成った。又、栗鼠や兎等の愛らしい動物人形で有名な「シルバニアファミリー」(エポック社)では、動物達の「赤ちゃんコレクション」が発売されたが、中身の判らないブラインド・パッケージ形式の為、纏め買いする大人迄居ると言う。
ひところ「大人買い」という言葉がはやりましたね。
最初人身売買の事かと思いましたが(苦笑)。
子供のころ満たされなかった分、大人になってから子供のころに欲しかったもの(食玩など)を、資金力に任せて大量に買う事だったと思います。
「キダルト」もそういった心理の延長線上にあるのでしょう。
かくいう私も「童心を捨てきれないおとな」のひとりなので、キダルト物に誘惑されがち(笑)。
我が家は決して裕福では無く、かと言って滅茶苦茶貧乏という訳でも無く、まあまあ一般家庭だったと思います。でも、"小遣い"に関しては、非常にシヴィアでしたね。
読みたい本は比較的購入してくれたし、「〇年の科学」及び「〇年の学習」は両誌購入し続けてくれたので、其の手の"身に成る物"は良く購入してくれましたが、小遣いに関しては非常にシヴィアだったので、同級生が学校帰りに、近所のハムカツ屋でハムカツを買い食いしているのを、羨ましく眺めていた口でした。
でも、今に成ってみると、其れは其れで良かったと思っています。欲しい物が何でも手に入る・・・では、とんでもなく我が儘な子供に成っていたろうから。
大人に成って、子供の頃に食べたくても食べられたなかった物、例えばボンカレーやハムカツ等を自分の御金で買いましたが、「何でこんな物を、そんなに食べたかったのかなあ。」と不思議だったし、"大人買い"する事は在りませんでしたが。
悠々遊様の記事、特に天文に関する物を読ませて戴いて毎回感じるのは、良い意味で"童心を持ち続けておられる方"なのだなあ・・・という事。長じるに連れ、どうしても悪い意味で染まってしまい勝ちですが、そういう童心は持ち続けたい物です。