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事件の最後に「貴方の犯罪計画は、どうしてそんなに杜撰なの?」という決め台詞が炸裂する「赤ずきんシリーズ」の第3弾。
今作では「アラビアン・ナイト」の世界で、赤ずきんが大活躍。王妃が王様に語る「アラジン」、「アリババ」、「シンドバッド」といった物語の中で起きる殺人事件を、赤ずきんが名推理で解決。空飛ぶ絨毯やランプの魔人といった小道具も盛り込まれた、摩訶不思議な事件の数々。
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青柳碧人氏には「日本の昔話(「一寸法師」、「花咲か爺さん」、「鶴の恩返し」、「浦島太郎」、「桃太郎」)を基にしたミステリーの『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(総合評価:星3つ)」、「同じく日本の昔話(「竹取物語」、「おむすびころりん」、「わらしべ長者」、「さるかに合戦」、「かちかち山」、「分福茶釜」)を基にしたミステリーの『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』(総合評価:星3つ)」、そして「同じく日本の昔話(「こぶ取り爺さん」、「耳無し芳一」、「舌切り雀」、「三年寝太郎」、「金太郎」)を基にしたミステリーの『むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。』(総合評価:星3つ)」という「昔ばなしシリーズ」と、「西洋の童話(「赤ずきん」、「シンデレラ」、「ヘンゼルとグレーテル」、「眠れる森の美女」、「マッチ売りの少女」)を基にしたミステリーの『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(総合評価:星3つ)」、そして「同じく西洋の童話(「赤ずきん」、「ピノッキオの冒険」、「親指姫」、「白雪姫」、「ハーメルンの笛吹き男」、「ブレーメンの音楽隊」、「ほら男爵の冒険」、「三匹の子豚」)を基にしたミステリーの『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』(総合評価:星3.5個)。」という「赤ずきんシリーズ」が在る。
今回読んだ「赤ずきん、アラビアンナイトで死体と出会う。」は「赤ずきんシリーズ」の第3弾で、アラビアン・ナイトの世界で名探偵・赤ずきんが難事件を解決する、4つの短編小説で構成されている。
「赤ずきんシリーズ」は"西洋の童話"を題材にしているので、元々"現実離れした世界観"では在るのだが、今回はアラビアン・ナイトの世界という事で、空飛ぶ絨毯やランプの魔人、包むと物を大きくしたり小さくしたり出来る布等、魔法の要素がふんだんに盛り込まれた"現実離れし過ぎた世界観"。そんな世界で発生する殺人事件なのだから、「トリックも糞も無い、何でも可能な状況だろう。」と思われる事だろう。だが然し、「魔法が当たり前の様に存在する世界だけれど、其の魔法にも"一定の縛り"が存在するので、其の一定の縛りを"完全に"クリアした上での推理で無ければ成らない。」のだ。なので、「彼の魔法を、こういう形で利用したのか!」という意外性は感じられるし、そういう着眼点は見事。
最後の作品で、赤ずきんが"死から免れる場面"が出て来るのだが、其の手段が非常に強烈だし、「彼の"品物"を登場させたのには、1回限りの意味合いだけでは無かったんだ!」という驚きが。「普通、其処迄するか?」という思いが無い訳でも無いけれど・・・。
総合評価は、星3つとする。