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「第一次世界大戦:不発弾1億発、処理に700年・・・フランス」(8月1日、毎日新聞)
第一次世界大戦の開戦から100年経った今も、主戦場のフランスには深い傷痕が残っている。国土に撃ち込まれた1億発を超える不発弾の処理には、今後更に700年を要すると言う。嘗ての激戦地だった仏北東部アルザスの山中では、内務省の爆発物処理隊員が、錆び付いた砲弾を一つ一つ背負い、回収に歩いていた。
アルザス地方を一望に収めるフランス北東部ハルトマンズビレルコプフ。標高900mの山中の小道を、処理隊コルマール支部の2人と案内役の地元住民が急いでいた。
2日前、山に不発弾が在るとの知らせが入った。此の地は、第一次世界大戦で仏独両軍が奪い合う激戦地だった。道の脇には、大戦中の塹壕跡がはっきりと残る。気温25度。汗が噴き出す。約40kmの装備を担いで行軍した、当時の兵士達の苦労を思った。
ターゲットは、山道脇の羊歯の中に埋もれていた。「仏軍の58T型。重量約20kg。爆薬量は6kgだ。」。支部のディディエ・シャール隊長(49歳)はそう言うと、セドリック・カナル隊員(39歳)と共に、錆び付いた全長約50cmの鉄の塊を抱え上げ、搬送用器具にロープで括り付けた。カナル隊員は事も無げに背負うと、2人は山道を戻り始めた。
内務省の爆発物処理隊は、仏国内に23の支部を持ち、不審物の処理や重要施設の警備等を担当する。だが、北部や東部の支部で最大の任務は、100年前の不発弾の処理だ。
内務省によると、対独戦線で両軍合わせて約14億発の砲弾が発射され、約1割が不発弾となった。隊員達が加盟する研究会の試算では、全国の不発弾を全て処理するには、約700年掛かると言う。
コルマール支部には、今も日常的に通報が入り、1日平均3~5発を回収する。此の後、2ヶ所で各1発の不発弾を回収した。
支部によると、不発弾の種類や状況から危険と判断すれば、其の場で爆破する事も在る。其の判断を支えるのは、砲弾の知識と経験だ。支部には100年前の仏独両軍のあらゆる砲弾のサンプル、構造図が並ぶ。
シャール隊長は「此の仕事は、危険を避ける事は出来ない。技術と知識で、如何にリスクを減らすかだ。」と言う。隊員は警察出身者が大半で、入隊すると15週間の訓練を受け、現場責任者になる迄に、約10年の経験を積む。
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日本でも未だに「自衛隊による不発弾処理のニュース」に触れる事が在るけれど、一般的に「不発弾処理」と言えば、カンボジアを思い浮かべる人が多いのではなかろうか?同国の推定地雷埋設数は「400万個~600万個」と言われ、埋設密度では世界一なのだとか。1979年から昨年迄、地雷及び不発弾事故の被害に遭ったのは64,314人に上り、其の約3分の1は子供。
第一次世界大戦時、フランスに撃ち込まれた砲弾数が約14億発というのも驚きの数だが、其の際の不発弾数が約1億発で、全てを処理するのに、更に700年も要するという試算も驚き。
憎悪と憎悪がぶつかり合って戦争が勃発し、敵を殺戮する為に、様々な武器が用いられる。殺戮は更なる憎悪を生み出し、新たな戦争を生じさせる。戦争が無い世の中になっても、不発弾による事故で少なからずの人間が死傷し、不発弾の処理に途轍も無い年数を必要とする。人間は、何と愚かな生き物よ。