ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「新月譚」

2012年07月20日 | 書籍関連

貫井徳郎氏は、好きな作家の1人。人間の中に潜むドロドロとした部分を浮かび上がらせる筆力は、相当な物と評価している。過去、直木賞に2度ノミネートされるも、受賞に到らなかった彼。先達ては3度目のノミネートとなるも、結局は又、落選となってしまった。3度目のノミネート作品となった「新月譚」を、此の程読了

 

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8年前に突然絶筆した作家・咲良怜花(さくら れいか)は、若い編集者・渡部敏明(わたべ としあき)の熱心な復活のアプローチに、自らの半生を語り始める。其処で明かされたのは、或る男性との凄絶な恋愛の顛末だった。

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「あんなにしっかりした彼女(乃至は彼)が、何故あんなどうしようもない男(乃至は女)に入れ揚げてしまっているのか?」、そう不思議に思ってしまう事が、世の中には間々見受けられたりする。著名人ゴシップ沙汰のみならず、自分の周りでもそういった関係を目にした事が在るし。「蓼食う虫も好き好き」と言えるのかもしれないし、しっかり者だからこそ、自分には無い“だらしなさ”に惹かれてしまうのかもしれないが、「こういう関係が壊れずに、ずっと続く。」というケースは余り無いのが現実だろう。

 

此の作品、「『女性に対してだらしなく、二股も三股も平気で出来てしまう男性。』と、『自分を何度も裏切り、其の度に平然と嘘を付く男性に呆れ乍らも、どうしても彼から離れられず、ずっと付き合い続ける女性。』との恋愛沙汰。」が描かれている。「あんなどうしようもない男に、何故入れ揚げるのか?」と思ってしまうのだが、此の女性は男性に嫌われたくない一心で、整形手術を受けてしまったりするのだから凄い。

 

自分には理解出来ない話では在るのだけれど、まあ其れ扨措き、「そんな2人の恋愛沙汰を描く中で、もっと深みの或るストーリーが展開されるのだろうな。」と思って読み続けたのだが、結局は深みが無い終わってしまった。終わり方も“生煮え状態”なのが否めないし、「此れが、本当に貫井作品なの!?」と首を捻ってしまう御粗末さ。直木賞にノミネートされたというのが、全く信じられない。

 

総合評価は、星2.5個


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