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「本人そっくり 合成音声自在に ~三波春夫さん コンピューターで再現~」(11月2日付け東京新聞【夕刊】)
コンピューター合成音声技術を駆使して再現した国民的歌手の故・三波春夫さんの歌声が、注目を集めている。大学の研究グループが民間企業と共同で開発。「ハルオロイド・ミナミ」として楽曲配信を始めた所、インターネット上で「本物そっくり。」と話題になった。将来は医療等、様々な分野への応用が期待される。
「♪オリンピックの顔と顔~」。半世紀前に日本中を沸かせた三波さんの代表曲「東京五輪音頭」(1963年)【動画】が、名古屋工業大(名古屋市)の研究室に響き渡る。コンピューターで再現されたとは思えない歌声。研究グループのリーダー徳田恵一教授(55歳)は、「合成音声技術を使えば、どんな曲でも歌わせる事が出来る。」と胸を張る。
従来は、原理的には録音した歌や会話の音声を切り貼りし、新たな音声を作り出す方法が主流だった。然し、此の方法では、声の繋ぎ目が不自然になる上、録音していない音声パターンは再現出来ず、多様な感情に合わせた声の再現が困難だった。
徳田教授等のグループは、人間の声の波形を決定付ける口や喉の形、声の高さを特殊な数式を使って解析。会話や歌声のデータを、此の数式に当て嵌めて統計処理する事で、喜怒哀楽も表現出来る自然な合成システムを作り上げた。1時間程の会話や歌のデータが在れば、感情豊かな会話や楽譜通りの歌声を再現出来ると言う。
新手法で蘇った三波さんの歌声は、10月下旬から楽曲配信サイト等で無料公開が始まっている。ツイッターの呟き等で「小節が凄い。」、「再現性が高くて驚いた。」等と称賛された。
新たな技術は、喉頭癌で声帯を摘出した患者等の為、失った声を自然に再現する等、医療や福祉分野への応用も検討されている。徳田教授によると、理想はロボットなのに人間の様に話す「ドラえもん」。「のび太君と喧嘩したり、泣いたり、笑ったり・・・。彼位、喜怒哀楽が在る声を自由自在に出せるシステムを作りたい。」と意気込んでいる。
ネットで「ハルオロイド・ミナミ」で検索すると、音声が公開されているサイトを見付ける事が出来る。
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今思うと、“歌謡曲全盛の時代”に大御所として君臨していた歌手の1人が三波春夫さんだった。陽性で朗々とした歌声は心にずしんと突き刺さり、「チャンチキおけさ」【動画】や「東京五輪音頭」、「世界の国からこんにちは」【動画】は大好きな歌だ。
合成音声による歌声と言えば、元記事でも書いている様に、声の繋ぎ目が不自然な物が常だった。然し、今回、ハルオロイド・ミナミによって再現された歌声は、稍金属的な響きは感じるものの、想像していた以上に自然で、「凄いな!」と唸ってしまった。
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[ハルオロイド・ミナミによる歌]
「東京五輪音頭」【歌】
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此れだけ自然な再現が出来るならば、元記事にも在る様に医療や福祉等の分野で、困っている人達を助ける為の応用が可能だろう。