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「高齢者虐待隠し撮りが決め手・・・介護職員3人逮捕」(2月14日、読売新聞)
兵庫県警は13日、介護付き有料老人ホーム「はぴね神戸学園都市」(神戸市西区)に勤務していた介護福祉士等3人を、入所者女性(73歳)への暴行容疑で逮捕した。
女性が3人からの暴行を訴えたのを受け、家族が居室に設置したビデオ・カメラに其の模様が映っており、被害届を出していた。
逮捕されたのは何れも同施設の元職員で、介護福祉士の無職A(40歳)【神戸市須磨区】、同B(39歳)【同】、無職C)(24歳)【兵庫県加古川市】の3容疑者(何れも懲戒解雇)。
発表によると、3容疑者は1月2日、施設内の居室のベッドに居た女性の頬や右腕を叩く等の暴行を加えた疑い。A容疑者は容疑を認め、B、C両容疑者は否認していると言う。
女性が昨年末、「(職員から)叩かれる。」と訴えた為、家族が今年1月、部屋にビデオ・カメラを設置して、録画を始めた。其の映像には、A容疑者が女性の歯を磨き乍ら顔を何度も叩き、「殺すぞ。」と暴言を吐いた様子が映っていた。又、B容疑者が脚が不自由な女性にベッドから食み出た脚を自力で戻す様強要し、出来ないと、「ええと思ってるの。日本語判る?」と罵声を浴びせる場面や、C容疑者は携帯を操作し乍ら片手で女性の服を荒っぽく脱がせていた様子も在ったと言う。
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同施設は、「認知症の高齢者を介護する。」というのが売りの様だ。「認知症の高齢者を手荒く扱った所で、もし其の高齢者が暴行されている事を外部の人間に話したとしても、『惚けている人間の戯言。』という事で誤魔化せるだろう。」、「施設で介護して貰っているという弱みが在るから、暴行の可能性を思い浮かべたとしても、預けた家族が騒ぐ事は無いだろう。」といった思いから、今回の3人が暴行していたとしたら、悪質極まり無い。自分の身内が今回の被害女性と同じ立場だったならば、3容疑者を絶対に許す事は出来ない。
唯、気になるのは、「今回、同施設から逮捕されたのが3人も居る。」という事実。一部報道によれば、「他にも暴行していたスタッフが居る可能性」を報じていたし、そうなると「個人の問題」に加えて、「構造的な問題」も在りそうな気がする。同施設内の「構造的な問題」というだけでは無く、介護業界全体に同種の「構造的な問題」が在るのかもしれないと。
一昔前、「3K」という言葉が流行ったけれど、介護福祉士という仕事も「3K」に属する大変さだと思っている。「きつい」、「汚い」、そして「給料が安い」という話を良く見聞するので。強い使命感が無ければ、従事するのは厳しい仕事だろう。本当に頭が下がる。
彼等に伸し掛かるストレスは相当な物だろうし、其の捌け口が介護される側に向いてしまった可能性は考えられる。しかし介護に従事している人達の多くは、そんなストレスと闘い乍らも、必死で介護に頑張っているに違いない。今回の事件が、そういった人達に対するイメージをも下げてしまわないかと懸念する。
財源等、色々問題が在るのは判っているが、「介護を生業に人達の労働環境を、もっと上げて貰えれば。」と願う。「介護する人達の使命感」だけに依存するのでは、余りに気の毒だから。
最近は余り見聞しなくなりましたが、所謂「体育会の世界」では単なる憂さ晴らしをも“愛の鞭”と称して認める様な雰囲気が在りました。「何とか一人前になって欲しいから、止むに已まれず殴ったりしてしまう。」というケースも在るのでしょうが、バットやら竹刀やらと、自らの肉体が全く痛みを負わない形で叩いたりするは愛の鞭でも何でも無く、単なる暴行に過ぎないと思っています。
以前に親から聞いた話ですが、小学校の頃の先生で質問に間違えた答えをすると、窓際に生徒を立たたせ、其の頭上に虫眼鏡を翳して、太陽光で髪の毛を燃やす罰を加える者が居たそうです。生徒が「熱い、熱い!!」と真剣に泣き叫んでも、薄ら笑いを浮かべて中々止めなかった其の教師の姿を、教室の子供達は震え乍ら見ていたとか。こんなのは熱血教師でも何でも無く、単に精神を来した人間としか思えない。
高齢者に対する虐待問題が続いていますが、明らかな暴行が論外なのは言う迄も無い。唯、スキンシップの積りで軽く叩いたり、冗談めかして「此の婆は仕方無いなあ。」と言ったりするケースだと、其れが直ちに「虐待」と言えるのかどうなのか、非常に悩ましい所が在りそうな気がしています。例は適切じゃないけれど、毒蝮三太夫氏が良く口にする「此の糞婆は~。」的な発言も、其の根底に高齢者への深い思いが感じられ、言葉は汚いけれど其れが「失礼」とは少なからずの人は思わないだろうし。
祖母が癌に罹患して病院に入院していたのですが、「どうしても家に帰りたい。」と希望した事から、暫くの間家に帰しました。祖父との2人暮らしだったので、親達が交代で面倒を看に行ったものの、祖父も親達も常時家に居れる訳でも無く、窮余の策として家政婦さんを雇う事に。しかし此の家政婦さんが「可成り問題在りな人物」で、祖母が寝たきりなのを幸いに、家事や看病を殆どせずにTVを見て許だったとか。其の事実は後になって祖母の口から知らされたのですが、参ったのは家から金銭がちょこちょこ無くなる様になった事。家政婦さんが関与しているという確固たる証拠も無い為、祖父も困り果てていましたが、結局辞めて貰う事に。其れ以降、当然乍ら金銭が無くなる事は無くなったのですが、こういう事態が発生すると、相互の信頼関係は破綻してしまいますね。
勿論、多くの家政婦さんは真面目に従事しているとは思っていますが、一部とはいえ酷い輩が居る事で、全ての同業者が白い目で見られてしまうというのは気の毒な事です。
今回の施設、報道では「入居時に取り敢えず、1千万円を支払わなければいけない。」と言っていた様な・・・。一般庶民が気軽に払える金額では無いだけに、「其れだけ支払っても、酷い扱いを受けてしまうのか。」と暗澹たる思いが在ります。
このように「信用していませんよ」というクライアント側の視線と軽蔑、低賃金低待遇が重なれば悪循環でしょうね。ところで「介護付有料ホーム」って結構金かかるはず。金出してこれでは困るなあ~。