一杯聞けて、一杯赤字♪

英会話学校・ＮＯＶＡの本年３月期の連結当期損益が、これ迄の２億円の黒字予想から一転して、３０億円の赤字に転落する見込みなのだとか。同社は１９８１年に大阪・心斎橋に１号教室を開いて以降、全国１，０００ヶ所の教室設置を目標に掲げ、２００４年１０月から１年余りで約３００ヶ所を増設していた。目標の全国１，０００ヶ所設置は達成出来た様なのだが、教室を増やすペースが早過ぎた為、隣接する教室で生徒の奪い合いが起きたり、教室を仕切るマネージャーの質が低下する等、多店舗戦略の歪みが此処に来て一気に表面化した形。当面は教室の統廃合に注力するという。

１年位前だったと思うが、パソコン教室を展開するアビバが多額の赤字を出し、産業再生機構の支援を受けるというニュースが報じられた。ベネッセコーポレーションが支援スポンサーとなり、建て直しを図るという事だったが、アビバが急激に業績を悪化させた要因は「教育訓練給付金制度の見直しによる新規受講者の減少」と「状況改善を目論んで、莫大な広告宣伝費を注ぎ込んだ事」と言われている。何事も一気に事を推し進めようとすると、あちこちに歪が生じ、最後は取り返しの付かない事態に陥ってしまうというのは世の常と言えるだろう。

自分の様な貧乏性の人間からすると、「そんな一気に手を広げないで、地道に少しずつ足場を固めて行きながら、ビジネス展開して行けば良いのに。」と思ってしまうのだが、某ビジネス評論家に言わせると、「もたもたしていると、”旨味”に気付いた大手が一気にビジネス展開をしてしまう。そうなった時、新参者は太刀打ち出来ない。”或る程度”の急激な拡大路線は必要不可欠。拡大路線を敷く事でコストダウンを図れる面も在り、その事が更なる利益を生み出して行くのだ。」と。そう言われてしまうと「そんなものなのかなあ。」と思いもするが、まあ自分には到底出来ない芸当だ。

ところで、英会話学校に付いては嫌な思い出が在る。一昔前の話になるのだが、必要に迫られ自腹で某大手英会話学校に通っていた。授業料は、「現金での一括払い」と「カードでの月々払い」の二択。借金が死ぬ程嫌いな人間なので通常はカード払いを選ばないのだが、何しろ結構な値段だった為に已む無くカード決済を選択したのだった。

授業期間を１年としていた為、終了が間近に迫った１１ヶ月過ぎの事だった。その英会話学校が突如倒産してしまったのだ。慌てて通っていた教室を訪れるも、ドアは堅く閉ざされたまま。御詫びの文章が書かれた紙が、虚しくドアに貼られていた。

その後、被害者（＝受講者）救済の為の組織が結成され、自分も出席する事となった。結果的に自分の場合は、カード決済を選択していた為、残りの授業は他の英会話学校で引き続き受けられる事となったのだが、悲惨だったのは現金一括払いを選択した知人。現金一括払いの場合は他の英会話学校での振り替え授業は認められず、裁判を起こして被害請求を求めるしかないという説明だった。結構な額では在ったのだが、裁判に関わるのは面倒という事で、結局彼は泣き寝入りする道を選んだ。

現在はどういうシステムになっているのか判らないが（此処を見る限りでは、余り変わっていない様だが。）、当時は「支払い方法の選択によって、これ程迄に”天国と地獄”に分かれてしまうものなのか・・・。」と呆然としたものだった。