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民間の有識者等で作る日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)が2014年5月、「2040年に消滅する可能性が在る。」(消滅可能性都市)と指摘した全国896市区町村の内、約8割の自治体で人口減がより加速する事が読売新聞社の分析で判った。
想定以上の速さで行政サーヴィス等の維持が困難な自治体が現れる可能性が高まっており、政府等による抜本的な対策が求められる。
創成会議は、国立社会保障・人口問題研究所が2013年に公表した地域別将来推計人口のデータを基に、消滅可能性都市という考えを提唱した。今回は、其れから5年後の2018年に新たに公表された同推計人口を基に、2040年時点の消滅可能性都市の人口の変化を比較した。
此の結果、北海道や東北・九州地方等、過疎地域の713自治体で、2040年時点の人口が減少していた。東京等、3大都市圏を中心に181自治体では逆に増加した。減少した自治体の平均減少率は11.3%で、最も大きかったのは奈良県上北山村の48.9%、市では北海道歌志内市の32.9%で529人減少した。
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「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」という本には、「2040年、自治体の半数が消滅する。」という予測がされていたけれど、其の消滅すると予測された自治体内での人口減スピードが加速しているというのは、考えさせられる話だ。
「人口減少率が最も大きい。」と予測される自治体の上北山村は、奈良県で2番目に面積の広い村。(最も広いのは、知る人ぞ知る十津川村。)22年後には村の人口が約半分になってしまう予測されているのだから、元記事に記されている様に、政府等による抜本的な対策が急務だろう。
2000年問題を乗り切ってインターネットの急速な普及があり、ネットショッピングでどこに住んでいても欲しいものが簡単に手に入る便利な時代が到来しても、やはり人口の大都会集中は止まらない。
大都会に人口が集中するから、仕事も魅力的なものも便利なもの、大衆が欲しいものが全て大都会に集中する、これが資本主義の原理であれば、もう手の打ちようがないのでは?
これが社会主義や独裁国家であれば、政府の権限で「本社機能は大都会でも、工場は地方に作り、都会の便利施設・機能は稼働率に関わらず全国に等しく設ける」などと決めてしまえば、否応なく人口は分散するのでしょうが。
あるいはある一定の条件の元、強制移住をさせたうえ、「その都道府県で出生した者は満年齢50歳まではその都道府県を離れて暮らしてはならない*1」などと決めてしまえば、人口の定着を図ることは可能でしょうが。
いずれにしても民主国家では出来ない話です。
便利さに慣れそれを当たり前のものとしている都会暮らしの人たちから、それを取り上げて地方に行きなさいと言っても、猛反発があるだけでしょう。
劇薬ですが、首都圏の真ん中、名古屋、大阪など地方の大都会の真ん中に、原発と核廃棄物の処分場を持って来て「地産地消」でやってください、となれば事情も変わるのかな(苦笑)。
*1 江戸時代の幕藩体制下では、士農工商とも正当な理由なくその土地を離れることが出来なかったようです。
それもしばらくすると仕官している武士、土地に縛られる農民以外には無し崩しになっていますが。
仰る様に社会主義国家や独裁国家と異なり、民主主義国家では行える事柄も制約されますね。でも、此処迄危機的な状況になる事が予期されている以上、抜本的な対策を国家として打たないと、先細りして行くだけ。
人口減の根幹に在るのは少子化で在り、多くの人が憂い無く子育てを出来る環境作りというのが、最も大事だと思います。「国民全員で子供達を育てる。」というコンセプトの下、或る程度の所得を持つ人達から“子育て税”(実質的には所得税のアップという事になりましょうが。)を取り、散撒きでは無い、真に意味を持つ子育て対策に回す。
と同時に、過疎化という形での人口減に関しては、以前より指摘されている様に、「司法」や「行政」、「政治」、「経済」、「天皇家」等の中心を地方に分散させる事も、真剣に考えて良いのではないかと。
又、ヴェンチャー企業の中には、「インターネットによりインフラ面で問題が無くなった事や、税金面等での優遇により、地方に拠点を置く。」所が出始めており、こういうのを何とか推進させる事で、地方の労働環境を向上させるというのも大事なのではないかと。
まあ、口で言うのは易いけれど、実際に行うのは難しという面は在りますが。