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「後継者不足で関西の中小廃業加速、4兆円消失へ」(11月4日、読売新聞)
後継者不足から中小企業の廃業が進み、関西では2025年頃迄の約10年間で約118万人の雇用と約4兆円の域内総生産(GRP)が失われるとの試算を、近畿経済産業局が纏めた。
後継ぎが居なくても対策を先送りする経営者が多いと言い、「会社を第三者に売却する等、早めに事業承継の手を打つべきだ。」としている。
近畿経産局は、中小企業庁の試算を元に、近畿2府4県と福井県を関西として影響を調べた。2014年度実績と比較すると、2025年頃に関西のGRPの約5%、雇用の約15%が失われる計算で、経済成長の抑制要因となる事が懸念される。
経営者の高齢化は、中小企業では常態化する見通しだ。平均的な「引退年齢」の70歳を超える中小企業の経営者は、2025年に約43万人と、全体の約6割を占める様になる。其の約半数が後継者が未定となる見通しで、多くの廃業が生じる恐れが在ると言う。
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古くから親しまれて来た近場の飲食店が、近年、次々と閉店している。「そこそこ人が入っているのに、何でだろう?」と思うのだが、伝わって来る話を聞くと「高齢となり、自分が店を続けるのは厳しい。子供は店を継ぎたくないと言うし、物凄く流行っている訳では無い店を子供に継がせるのも、親としては忍びない。」という事らしい。
「後継者不足から中小企業の廃業が進み、関西では2025年頃迄の約10年間で約118万人の雇用と約4兆円の域内総生産(GRP)が失われる。」という試算、後継者不足が齎す損失の大きさには驚く許りだが、厳しい環境に置かれている中小企業では、経営者の子供は跡を継ぎたがらないだろうし、他から後継者を捜すというのも厳しいのだろう。
「全ての中小企業を救うべきだ。」なんて言う気は無い。努力を怠っている所も在るだろうし、時代の趨勢に合わなくなった事業も在るだろうから。でも、「時代の趨勢に合わなくなった訳では無く、又、皆が必死で努力しているのに、資金面等で大企業の様なバックアップを受けられない。」という理由“だけ”で会社を畳まなければならなくなったり、後継者が不在となってしまっている現実が在るのだとしたら、非常に残念な事だと思う。
我が国は中小企業の“高い技術力”という下支えが在ったからこそ、今の繁栄が在るのだし、そういった中小企業を切り捨てて行くならば、我が国の未来は決して明るく無いだろう。くどい様だが、「全ての中小企業を救うべきだ。」なんて言う気は無いし、救うべき中小企業が在ったとしても、必要以上に守る必要も無い。きちんとした中小企業ならば、普通に生き残って行ける様な“最低限の対策”を、国は行う必要が在るという事。