「ポケットメイト・シリーズが、ミスタードーナツの御負けとして手に入る。」という記事をネット上で目にしたのは、一昨日の事だった。「ポケットメイト・シリーズ」という単語を見聞するだけで、堪らなく懐かしくなってしまう。“ファミコン”が世に出る8年前の1975年、トミーからポケットメイトは発売となった。「縦115mmx横70mmx厚さ17mmという服のポケットに入るサイズのプラスチック・ケースに、数々のギミックを組み込んだミニ・ゲームで、其の多くが仁丹大の金属球を用いて遊ぶスタイル。」で、当時は子供達の間で大ブームとなったもの。此方に幾つかが紹介されているが、懐かしさを感じられる中高年の方も少なくない事だろう。斯く言う自分も此のシリーズには夢中になり、「野球ゲーム」や「迷路ゲーム」、「ゴルフゲーム」、「ターゲットレンジゲーム」、「マーブルキャッチゲーム」、「フィールドアスレチックス」等々を購入&プレーした。ローテクと言えばローテクなゲームだが、其れだからこそどっぷり填まれたとも言える。
其のポケットメイト・シリーズが3月から毎月2種類ずつ(合計10種類)、ミスタードーナツの御負けとして供されるという事で、早速昨日、帰宅途中にミスタードーナツに行って来た。子供も居ない中年男が(御負けの付いた)「キッズセット」を注文するのは正直恥ずかしかったが、欲しい物は欲しいのだから仕方無い。「だいちのアドベンチャー」と「もりのベースボール」を手にした時は、懐かしさが込み上げてしまった。4月以降も買い続ける予定で、中高年の心をも揺さぶる御負けを考え付いたミスタードーナツの人間は凄いと思う。
話はガラッと変わるが、75歳で作家デビューした加藤廣の「安土城の幽霊 『信長の棺』異聞録」を読み終えた。デビュー作「信長の棺」はベスト・セラーとなり、其の後「秀吉の枷」及び「明智左馬助の恋」という所謂「本能寺三部作」を上梓して来た同氏が、「信長の棺」の異聞録として著した作品だ。藤吉(後の豊臣秀吉)を主人公とした「藤吉郎放浪記」、織田信長と徳川家康を主人公とした「安土城の幽霊」、そして徳川家康を主人公とした「つくもなす物語」という3つの短編小説から構成されているが、個人的には「つくもなす物語」が面白かった。
「つくもなす」は「九十九髪茄子」と書き、抑は室町幕府の3代将軍・足利義満が所有していた唐物の茶入れで在る。スミソニアン博物館の1つ「国立自然史博物館」には「ホープ・ダイヤモンド」という物が所蔵されているが、此のブルーのダイヤモンドは「呪いの宝石」として知る人ぞ知る有名な存在。「所有した人間に災いを齎す。」という事で、持ち主を転々と変えて来たダイヤモンドなのだ。「天下壺」とも呼ばれた「九十九髪茄子」は、「持ち主に栄光を齎す反面、長く持ち続けた者には必ず不運を齎す。」とされ、悪霊「付喪神」が取り憑いているとも噂されていたとか。織田信長や豊臣秀吉、そして徳川家康と持ち主を変えて来た此の茶入れは、明治に入って岩崎弥太郎の弟・岩崎弥之助が購入し、今は静嘉堂文庫美術館に所蔵されている。「日本に渡来してから600年以上経つとされる九十九髪茄子が、果たして足利義満が所有した物と同一なのか?」も興味深いが、「持ち主達に栄光と災いを齎して来た。」という具体的なストーリーに惹かれた。
「短編小説では無く、長編小説として仕上げて欲しかった。」という残念さは在るが、総合的には星3.5個の内容と判定。
今でも机の引き出しのどこかに
このシリーズの「将棋」が入っているはずです。
この将棋、駒が盤に「ささっている」ので
まあ指しにくかったこと。
囲碁は「打つ」、将棋は「指す」ですが、
杭を「打つ」に近い感覚でした(笑)
自分と同世代と思われるハムぞー様ですから、「必ずやポケットメイト・シリーズで遊ばれた経験が在るだろうなあ。」と思っておりました。
自分は将棋をした事が無いのですが、ポケットメイト・シリーズの将棋は覚えております。ダイヤモンドゲームなんかも在りましたね。何処にでも持って行けるという「ポケット・サイズ」がメリットでしたが、将棋なんかの場合は其の小ささが逆に災いした感が。