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「被災地、容疑者の釈放計61人に 宮城でも30人」(3月29日、朝日新聞)
東日本大震災で、福島県内の警察署に勾留されていた容疑者の内31人が釈放されていた事案で、宮城県内でも勾留中の容疑者等30人を震災翌日の12日から16日迄に釈放していた事が判った。仙台地検が29日発表した。田辺泰弘・次席検事は「震災でライフラインが止まり、警察署に勾留し続けて安全が確保出来るかどうかや、事件毎の内容等を総合的に考慮した。」と説明した。
地検によると、27人は起訴前の容疑者で、起訴後の勾留が3人。大半が窃盗容疑で逮捕されており、強制猥褻等性犯罪の容疑者は居ない。27人の中には釈放する予定だった人も含まれると言う。地検は今後、早急に捜査を再開して事件を処理するとしている。
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福島県のケースでは福島地検いわき支部が今回の決定を下したのだが、今回当該するいわき市内の3つの警察署を含め、市の殆どが福島第1原発から30キロ以上離れているとか。詰まり警察署に関しては、「屋内待機」のレベルですら無かったという事になる。其れで「安全確保を考慮して。」というのには賛否両論在るだろうが、個人的には今回の決定は誤ってはいなかったと思う。其の判断理由は幾つか在るが、最も大きいのは「彼等が『容疑者』で在る。」という事実。容疑者とは「犯罪を犯したという嫌疑を受けて捜査対象にはなったが、裁判で最終的な白黒を付けられてはいない状態の者。」で、「犯罪者」という訳では無いから。地検の上層部が「安全確保に問題在り。」と判断したので在れば、釈放も致し方無いだろう。
唯、両県の釈放者の中に殺人や強盗等の容疑者は居なかったと言うが、福島県の場合には強制猥褻や覚醒剤取締り法違反の容疑者が含まれていたという話も在り、容疑段階とはいえそういった人間を釈放する事で、唯でさえ不安の最中に在る被災者達を、更に不安な状態にさせてしまうのは確かだろう。
「此れが容疑者では無く受刑者だったら、どうすべきだろうか?」となると、正直判断に迷う。「どんな悪人で在れ、人命の尊さに変わりは無い!」と言い切れる程、自分は人道主義者では無いから。軽微な犯罪での受刑者ならば“緊急避難措置としての釈放”は考えるだろうけれど、殺人や強盗等の凶悪犯罪での受刑者ならば、治安維持の観点からも釈放の判断は悩みに悩むに違い無い。