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清掃、点検、管理、補修に、爆弾処理!?此のマンション「リバーサイドシャトウ」なら、何でも在り。規約さえ守れば、ヤクザでも刑事でも戦車でも、不測の訪問者は、全てシャットアウト。だが、其処は悪人達のオリンピック会場だった。俺・望月拓馬(もちづき たくま)は、そんな最凶最悪マンションの管理人助手。ゴリラに似た管理人・白旗(しろはた)との1年間の不思議な共同生活が始まった。
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大沢在昌氏の小説「極悪専用」は、或る理由からマンションの管理人助手を務めさせられる事になった望月拓馬が主人公。マンションと言っても、彼が送り込まれた「リバーサイドシャトウ」は、普通のマンションでは無い。「反社会的勢力による、反社会勢力に属する者の為の、極悪人しか住めないマンション。」で、住人達のプライヴァシーは徹底的に守られている。少しでも気を許せば、外部の人間からだけでは無く、住人達や白旗からも殺害される可能性が高い中(実際、前の管理人助手は、就任から4ヶ月半で殺されたらしい。)、拓馬は1年間という期限付きで働く事になる。
大沢作品と言えば「新宿鮫シリーズ」の様に、ハードボイルドな作風の印象が強い。最後の章「緊急避難通路」で、ハードボイルドさを感じさせる描写が少しは見受けられるものの、此の「極悪専用」は全般的にコミカルなタッチで、意外と言えば意外。
“極悪人しか住めないマンション”、そして拓馬や白旗等のキャラクター等、設定は面白いと思う。ストーリー展開も悪くないのだが、最後の最後に“締りの無さ”を感じてしまったのは、非常に残念。
総合評価は、星3つとする。