日本SF界の巨匠・小松左京氏が、33年前に書き下ろしたSF小説「日本沈没」。巨大な地殻変動によって日本列島の殆どが海面下に沈んでしまうという奇抜なストーリーが話題となり、上下巻合わせて385万部という大ベストセラーとなった。同年にこの作品は映画化されたが、こちらも約880万人の観客動員を記録する大ヒットとなり、日本沈没ブームが巻き起こった。
1973年に公開された映画「日本沈没」を自分が実際に見たのは、確かTV放送の時だったと思う。主役を演じていたのは仮面ライダー1号・本郷猛こと藤岡弘、氏。当時は幼く、科学的な裏付け等も判り様が無い自分だったが、日本が沈没してしまうというストーリーはとてもセンセーショナルに感じられ、食い入る様にこの作品を見た。今回、草剛氏を主演に据え、「日本沈没」がリメイクされたという事で、”藤岡版”との比較も兼ね早速映画館に足を運んだ。
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日本各地で大規模な地震が頻発する中、潜水艇「わだつみ6500」のパイロットの小野寺俊夫(草剛)は、同僚の結城慎司(及川光博)と共に地球科学博士・田所雄介(豊川悦司)の指揮の下、深海調査に参加する。その結果、大地震と噴火活動によって日本が1年以内に沈没するという驚愕の事実を知る事となる。
総理大臣・山本尚之(石坂浩二)は諸外国に日本国民の受け入れを要請し、文部科学兼危機管理担当大臣の鷹森沙織(大地真央)は日本を救う方法を求めて、嘗ての夫でも在る田所の元を訪ねる。
そんな中、小野寺は被災現場でハイパーレスキュー隊員の阿部玲子(柴咲コウ)と出遭う。御互いに心惹かれ合いながらも、心から小野寺に感情を表せない玲子。阪神・淡路大震災で肉親を全て失い孤児となった彼女は、愛する者を失った辛さがトラウマとなっており、もうあの辛さを味わいたくないという思いが人を愛せなくさせていたのだった。
そして、刻一刻と沈没して行く日本列島。未曾有の危機を救う手立ては・・・。
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この映画製作にはTBSも関わっている。それ故なのか、出演している俳優がTBSのドラマに縁の深い人物がチラホラ見受けられる。ニュースを伝えるアナウンサー2人が、共にTBS所属というのは未だしも、居酒屋の端っこで映っているTV放送がベイスターズ(TBSが親会社)戦というのは、幾らなんでも遣り過ぎではなかったか。これではベイスターズ戦中継時にたまに顔を出しては、訳の判らない言動に終始している石橋貴明エグゼクティブ・アドバイザー並みの、鼻に付く自己(自社)アピールの様に思えてしまう。
CGを駆使した映像は迫力満点。当時としては特撮技術の粋を集めて描かれた”藤岡版”も、今回の”草版”を前にしては映像的に劣ってしまうのは致し方無い事だろう。
SMAPの中では演技が上手いと思っていた草氏も、長山藍子さんや石坂浩二氏、柄本明氏、國村隼氏等、ベテラン俳優に囲まれた中では演技が上滑りしている様に感じられた。(前代未聞の危機が迫っているにしては、緊張感に乏し過ぎる気が。)大好きな大地真央さんはさて置いて、玲子の叔母役を演じていた吉田日出子さんの演技力の高さも再認識させられ(問わず語りの演技をさせたら、表情や口調でこの人の右に出る人は居ないのではないだろうか。)、全般的なキャスティングは良かったと思う。*1
原作及び”藤岡版”と異なった結末には、賛否両論在るだろう。個人的には、”帳尻合わせ”的な今回の結末は、どうも戴けなかった。それに、映像的には稚拙だったが、作品全体に流れる重みは”藤岡版”の方が在った様に思う。(今程情報が溢れていなかった時代に見たものなので、余計に思い入れが強くなっているかもしれないが。)
日本列島が沈み行く中、小野寺が飛び立つヘリポートの場所にバイクで向かう玲子。インフラや情報網が壊滅状態なのに、どうやって彼の居場所を突き止め、そして寸断された道路をどうやってバイクで移動したのだろうか?作品の冒頭に小野寺が玲子に救出されるシーンが在るのだが、あれは一体何時の出来事だったのだろうか?(話の流れからすると阪神・淡路大震災の後、そして日本列島が沈没する前の話だと思うのだが、そうなるとあれだけの震災が本格的に大騒ぎになる前に起こっていたというのだろうか?それも一寸無理が在る様に思うのだが。)皆が逃げ惑う中、常に綺麗な服装とビシッと決めた髪形で居続けた小野寺って一体?(やはりジャニーズのタレントには、汚れ役は御法度という事なのか?)等々、突っ込み所は「M:i:Ⅲ」並みに在るのだが、面白い作品だったとは思う。”藤岡版”を未見の方ならば、それなりに満足の行く内容だろう。唯、”藤岡版”を知っている身からすると、総合的な評価は星3つとしたい。*2
*1 この映画には和久井映見さんも出演している。その役どころは小野寺の姉役で、実家の造り酒屋で杜氏をしているという設定の様だ。これって、彼女が以前主演を務めていたTVドラマ「夏子の酒」を意識したキャスティングなのだろうか?
*2 「日本沈没」のパロディー小説でも在る「日本以外全部沈没」。筒井康隆氏がやはり33年前に発表したこの作品が、今秋にも映画公開されるという。こちらも是非観てみたいと思っている。
1973年に公開された映画「日本沈没」を自分が実際に見たのは、確かTV放送の時だったと思う。主役を演じていたのは仮面ライダー1号・本郷猛こと藤岡弘、氏。当時は幼く、科学的な裏付け等も判り様が無い自分だったが、日本が沈没してしまうというストーリーはとてもセンセーショナルに感じられ、食い入る様にこの作品を見た。今回、草剛氏を主演に据え、「日本沈没」がリメイクされたという事で、”藤岡版”との比較も兼ね早速映画館に足を運んだ。
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日本各地で大規模な地震が頻発する中、潜水艇「わだつみ6500」のパイロットの小野寺俊夫(草剛)は、同僚の結城慎司(及川光博)と共に地球科学博士・田所雄介(豊川悦司)の指揮の下、深海調査に参加する。その結果、大地震と噴火活動によって日本が1年以内に沈没するという驚愕の事実を知る事となる。
総理大臣・山本尚之(石坂浩二)は諸外国に日本国民の受け入れを要請し、文部科学兼危機管理担当大臣の鷹森沙織(大地真央)は日本を救う方法を求めて、嘗ての夫でも在る田所の元を訪ねる。
そんな中、小野寺は被災現場でハイパーレスキュー隊員の阿部玲子(柴咲コウ)と出遭う。御互いに心惹かれ合いながらも、心から小野寺に感情を表せない玲子。阪神・淡路大震災で肉親を全て失い孤児となった彼女は、愛する者を失った辛さがトラウマとなっており、もうあの辛さを味わいたくないという思いが人を愛せなくさせていたのだった。
そして、刻一刻と沈没して行く日本列島。未曾有の危機を救う手立ては・・・。
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この映画製作にはTBSも関わっている。それ故なのか、出演している俳優がTBSのドラマに縁の深い人物がチラホラ見受けられる。ニュースを伝えるアナウンサー2人が、共にTBS所属というのは未だしも、居酒屋の端っこで映っているTV放送がベイスターズ(TBSが親会社)戦というのは、幾らなんでも遣り過ぎではなかったか。これではベイスターズ戦中継時にたまに顔を出しては、訳の判らない言動に終始している石橋貴明エグゼクティブ・アドバイザー並みの、鼻に付く自己(自社)アピールの様に思えてしまう。

CGを駆使した映像は迫力満点。当時としては特撮技術の粋を集めて描かれた”藤岡版”も、今回の”草版”を前にしては映像的に劣ってしまうのは致し方無い事だろう。
SMAPの中では演技が上手いと思っていた草氏も、長山藍子さんや石坂浩二氏、柄本明氏、國村隼氏等、ベテラン俳優に囲まれた中では演技が上滑りしている様に感じられた。(前代未聞の危機が迫っているにしては、緊張感に乏し過ぎる気が。)大好きな大地真央さんはさて置いて、玲子の叔母役を演じていた吉田日出子さんの演技力の高さも再認識させられ(問わず語りの演技をさせたら、表情や口調でこの人の右に出る人は居ないのではないだろうか。)、全般的なキャスティングは良かったと思う。*1
原作及び”藤岡版”と異なった結末には、賛否両論在るだろう。個人的には、”帳尻合わせ”的な今回の結末は、どうも戴けなかった。それに、映像的には稚拙だったが、作品全体に流れる重みは”藤岡版”の方が在った様に思う。(今程情報が溢れていなかった時代に見たものなので、余計に思い入れが強くなっているかもしれないが。)
日本列島が沈み行く中、小野寺が飛び立つヘリポートの場所にバイクで向かう玲子。インフラや情報網が壊滅状態なのに、どうやって彼の居場所を突き止め、そして寸断された道路をどうやってバイクで移動したのだろうか?作品の冒頭に小野寺が玲子に救出されるシーンが在るのだが、あれは一体何時の出来事だったのだろうか?(話の流れからすると阪神・淡路大震災の後、そして日本列島が沈没する前の話だと思うのだが、そうなるとあれだけの震災が本格的に大騒ぎになる前に起こっていたというのだろうか?それも一寸無理が在る様に思うのだが。)皆が逃げ惑う中、常に綺麗な服装とビシッと決めた髪形で居続けた小野寺って一体?(やはりジャニーズのタレントには、汚れ役は御法度という事なのか?)等々、突っ込み所は「M:i:Ⅲ」並みに在るのだが、面白い作品だったとは思う。”藤岡版”を未見の方ならば、それなりに満足の行く内容だろう。唯、”藤岡版”を知っている身からすると、総合的な評価は星3つとしたい。*2

*1 この映画には和久井映見さんも出演している。その役どころは小野寺の姉役で、実家の造り酒屋で杜氏をしているという設定の様だ。これって、彼女が以前主演を務めていたTVドラマ「夏子の酒」を意識したキャスティングなのだろうか?
*2 「日本沈没」のパロディー小説でも在る「日本以外全部沈没」。筒井康隆氏がやはり33年前に発表したこの作品が、今秋にも映画公開されるという。こちらも是非観てみたいと思っている。
筋書きが読めそうだね。
TBS系で、地上波初!って日も予想できそうだ。
幼少時の、映画館で見た思いでは未だに残ってるな、まさにジャイアン55さんのとおりだなぁ。
初回版を見た後、小松左京の本を読みあさった思い出のほうを、とっておくことにしよう。
が・・・。
ハイパーレスキューだよなぁ。
草氏のイメージにあわない・・・。
大地震で両親を失って、って、ハイパーレスキューなんかに、入るかなぁ?(玲子)
文面で2個くらい、気がついたことが、
←この字が出ることに、びっくりした。
ほう知名度上がったんだなぁ。
阪神の大震災は、あの頃はなかったんだな。
だとすると、その後の筋書きが、気になる・・。
見に行っちゃおうかな。
草なぎ剛の、なぎという漢字の事なんだ。
緊張感も悲壮感もどこにも感じられませんでした。
二度と戻らない滅びゆく祖国を脱出する時ってあんなものでしょうか? (そこは敢えて淡々と流した?)
ほとんどの登場人物に感情移入が出来ませんでした。
玲子と小野寺の恋愛ももっと違う形で表現できたのではないでしょうか。
面白いと思ったのは韓国と北朝鮮が受け入れをしてくれないとか、ライフライン結構保たれているとか、大地大臣なりふり構って綺麗だな、とか。
CGは迫力満点ですばらしかったです。
今まで原作を読む機会が無かった人が、この映画を見て読もうと思ってくれるでしょうか?
小説と今回の映画とはテーマやメッセージが随分異なると思いました。
映画に満足出来なかった人にこそ読んで欲しいなあと思うのですが。
CGを駆使した迫力満点の映像は、殆どの観客が評価する所でしょうね。でも、仰る様に未曾有の危機を迎えている割には、緊張感や悲壮感が自分も希薄な様に感じました。それに、原作や”藤岡版”を読んで(観て)いた人達にとっては、あの先の見えない不安を漂わせた結末とは異なり、完全なハッピー・エンドでは無いにせよ希望が感じられる今回の結末には、しっくり来ないものが残ったでしょう。
原作を映像化する際、「原作に忠実に製作すべきか?はたまた原作と映像化したものは別物と割り切って、製作しても構わないものか?」といった議論がしばしば起こります。私見としては、必ずしも原作ズバリの形で製作する必要は無いものの、その作品のメイン・テーマはいじるべきでは無いと考えています。その点から言えば、小説の「日本沈没」のテーマが「日本人が彷徨える民となったらどうなるか?」というもので在ったと思っていますので、その辺が全く触れられていなかった(改竄されていた)今回の作品には、不満を覚えないではないですね。
大地真央さんは相変わらず御綺麗で、暫し見惚れておりました。
れーこさんがええとこのお嬢だからこそ、小野寺との恋愛が燃え上がったのだと、幼心に記憶鮮明なもんですからー。ハイパーレスキューでは「め組の大吾」になっちゃうよ・・。
これが私の「直感とイマジネーション」です。
おりがみ姐さんのところから転がり込んできました
よろしくお願いします
ひょんな事から10年以上ぶりに見た劇場映画がこの日本沈没
無理矢理2時間チョイに詰め込んだ感はありますが、最後は固まってました(引きずり込まれてしまって(^^ゞ)
一緒に行った子には『固まるなよー』と茶化されるし
柄本明と吉田日出子は私も好きです
この人たちにはセリフなんて無くてもいいですね
しかし、柴咲コウってエエ女やわー
20年も年下では犯罪になってしまいますが
ツッコミどころと笑うか、演出だと受け止めるか。
自分は後者にしておきました。
ただ、そう考えると、SFじゃなくてファンタジーっぽくなっちゃうんですけどね(笑)。
てなわけで、TBありがとうございました。
トラックバックありがとうございます。
やっぱオリジナルへの想いがありますよね。本作を観たいと思った動員力でもあります。普通は嫌がるものなんだけど。ただ今描くなら...という点に着目しました。でもイマイチなところが多かったです。映像を除いては。もったいないですね(^^ゞ
本作を見る数日前に旧作を(きちんと)見ました。あの何とも言えない緊張感、そして田所博士や山本総理、小野寺の悲壮感、迫力の映像・・・圧倒されました。そして本作への期待は余計に高まり鑑賞すればあの始末で。残念です。「映像が凄い」とおっしゃるかたが結構いらっしゃいますが、私にはそうでもなかったです。あの名作『ガメラ3』から7年たったとは到底思えない進歩のなさです。
とはいううものの、ストーリーと芝居がしっかりしていればそんな事気にならなかったと思います。最近見直した旧作がいい例です。
ということで、長くなりましたが愛あるが故の叱咤激励のつもりで書いた私のブログ、よかったら見にきてください。長文失礼しました。