松井秀喜選手がメジャー・リーグ行きを決めた本当の理由、否、彼がジャイアンツから抜け出したかった理由の一端に触れた気がした。「Gファイル 長嶋茂雄と黒衣の参謀」を読みえ終えて最初に感じた事で在る。
ジャイアンツ・ファン歴30年余を越える自分は、これ迄ジャイアンツに纏る”疑問”に幾つも直面して来た。上記した松井選手に関する件の他に、「何故ジャイアンツで一時代を築いた山倉和博氏や松本匡史氏は、このチームに在って疎外された様な扱いを受けているのだろうか?」、「ジャイアンツは本当にこれ迄、全く改革を行なおうとして来なかったのだろうか?」、そして「第二次長嶋政権下の前半、週刊誌等で報じられていた”謎の人物”の役割は一体何だったのか?」等。この本を読み進めて行く中で、これ等の”謎のジグソー・パズル”の一片一片が少しずつ埋まって行き、その実態が見えて来た。
河田弘道氏は1978年から1983年にかけて、堤義明氏の下でライオンズ立ち上げ等の特命的任務を陰で行なって来た人物とされている。そして1994年から1997年にかけては、「編成本部付アドバイザー兼監督補佐」なる肩書きで長嶋監督を支えて来た人物でも在る。しかし、この人物の名前はそれ程知られてはいないと思う。何故ならばジャイアンツ”でも”彼は、陰の存在として表に出る事無く動いて来たからだ。その彼の名前が取り沙汰されたのは1997年の事。上記した様に「長嶋監督を陰で操る謎の人物!」とか、「長嶋ジャイアンツのラスプーチン!」といった論調で、週刊誌にてバッシングされた際。
この本のプロローグに、「球技の中で最も運動量が少ないこの野球というスポーツは、躍動する肉体を朗らかに表現する事はその極一部に過ぎない。闊達を装いながら、実は隠微に、時間を掛けて沈黙の対話を繰り返し、あれこれ策を凝らす政治ゲームなのだ。真の覇権を握るチームには、鋭い目をした策謀家が、必ず何処かに居る。」と記されている。V9時代の牧野茂氏の様にベンチで策謀する者、又、”球界の寝業師”と称され、カープやライオンズ、ホークスの強固な土台を築き上げた根本陸夫氏の様に専ら裏方として策謀する者と、そのスタイルは様々なれど、強いチームには確かに策謀家と称される人物は存在して来た。河田氏の場合は明らかに根本氏タイプに属し、1994年に長嶋監督直々の依頼でジャイアンツに乗り込んで来た人物とされている。
4年間のジャイアンツ生活で彼が行なおうとして来たのはジャイアンツ再建の為の体制刷新で、このチームに沈殿している”悪しき澱”を全て取り除く事に在った。その過程でどの様な事が起こっていたかは、当時彼が記していた膨大なレポートとして残っており、それを元にこの本は成立している。
ジャイアンツを統べて来た読売グループの暴君達もそうだが、フロントの上層部にもこのチームを単に権力掌握の為の具としてしか捉えていない者ばかり。「権力掌握に絡む男の嫉妬は、女性のそれよりも遥かに陰湿だ。」というのは、自分が社会人になって暫くした頃に先輩から聞かされた言葉だが、ジャイアンツに於ける彼等の嫉妬心や足の引っ張り合いは正にそれ。どんなに内部抗争が激しくてもいざ党が危機に陥れば、権力の中枢に居る事での”旨み”を知る尽くしているが故に、それを手放すまいと一致団結出来る自民党とは異なり、ジャイアンツの場合はその殆どがチームの勝利よりも、私利私欲だけを優先させてしまっている様に感じ取れた。大体、本来は好素材を獲得すべく外を走り回っている筈のスカウト達が、球団事務所に毎日顔を出さないと「御前達は外で遊んでいるんだろう。」と球団代表から叱責され、外に出てもスカウト部のトップから理不尽な締め付けをされるという事で、周りの顔色ばかりを窺って事務所に居続けなければならないなんていうのは、異常としか思えない。
ジャイアンツ・ファン歴30年余を越える自分は、これ迄ジャイアンツに纏る”疑問”に幾つも直面して来た。上記した松井選手に関する件の他に、「何故ジャイアンツで一時代を築いた山倉和博氏や松本匡史氏は、このチームに在って疎外された様な扱いを受けているのだろうか?」、「ジャイアンツは本当にこれ迄、全く改革を行なおうとして来なかったのだろうか?」、そして「第二次長嶋政権下の前半、週刊誌等で報じられていた”謎の人物”の役割は一体何だったのか?」等。この本を読み進めて行く中で、これ等の”謎のジグソー・パズル”の一片一片が少しずつ埋まって行き、その実態が見えて来た。
河田弘道氏は1978年から1983年にかけて、堤義明氏の下でライオンズ立ち上げ等の特命的任務を陰で行なって来た人物とされている。そして1994年から1997年にかけては、「編成本部付アドバイザー兼監督補佐」なる肩書きで長嶋監督を支えて来た人物でも在る。しかし、この人物の名前はそれ程知られてはいないと思う。何故ならばジャイアンツ”でも”彼は、陰の存在として表に出る事無く動いて来たからだ。その彼の名前が取り沙汰されたのは1997年の事。上記した様に「長嶋監督を陰で操る謎の人物!」とか、「長嶋ジャイアンツのラスプーチン!」といった論調で、週刊誌にてバッシングされた際。
この本のプロローグに、「球技の中で最も運動量が少ないこの野球というスポーツは、躍動する肉体を朗らかに表現する事はその極一部に過ぎない。闊達を装いながら、実は隠微に、時間を掛けて沈黙の対話を繰り返し、あれこれ策を凝らす政治ゲームなのだ。真の覇権を握るチームには、鋭い目をした策謀家が、必ず何処かに居る。」と記されている。V9時代の牧野茂氏の様にベンチで策謀する者、又、”球界の寝業師”と称され、カープやライオンズ、ホークスの強固な土台を築き上げた根本陸夫氏の様に専ら裏方として策謀する者と、そのスタイルは様々なれど、強いチームには確かに策謀家と称される人物は存在して来た。河田氏の場合は明らかに根本氏タイプに属し、1994年に長嶋監督直々の依頼でジャイアンツに乗り込んで来た人物とされている。
4年間のジャイアンツ生活で彼が行なおうとして来たのはジャイアンツ再建の為の体制刷新で、このチームに沈殿している”悪しき澱”を全て取り除く事に在った。その過程でどの様な事が起こっていたかは、当時彼が記していた膨大なレポートとして残っており、それを元にこの本は成立している。
ジャイアンツを統べて来た読売グループの暴君達もそうだが、フロントの上層部にもこのチームを単に権力掌握の為の具としてしか捉えていない者ばかり。「権力掌握に絡む男の嫉妬は、女性のそれよりも遥かに陰湿だ。」というのは、自分が社会人になって暫くした頃に先輩から聞かされた言葉だが、ジャイアンツに於ける彼等の嫉妬心や足の引っ張り合いは正にそれ。どんなに内部抗争が激しくてもいざ党が危機に陥れば、権力の中枢に居る事での”旨み”を知る尽くしているが故に、それを手放すまいと一致団結出来る自民党とは異なり、ジャイアンツの場合はその殆どがチームの勝利よりも、私利私欲だけを優先させてしまっている様に感じ取れた。大体、本来は好素材を獲得すべく外を走り回っている筈のスカウト達が、球団事務所に毎日顔を出さないと「御前達は外で遊んでいるんだろう。」と球団代表から叱責され、外に出てもスカウト部のトップから理不尽な締め付けをされるという事で、周りの顔色ばかりを窺って事務所に居続けなければならないなんていうのは、異常としか思えない。