日本のシンガーソングライターの草分け的存在として、1970年代を中心に音楽界で活躍した吉田拓郎氏。今年で76歳となった彼は、年内で音楽活動から引退する。2003年以降、体調不良を訴える事が多かったのも、引退に踏み切った要因だろう。
吉田氏のファンという訳では無いが、彼が手掛けた作品には思い出深い物が少なく無い。「学生時代、友人達と北海道に貧乏旅行をした際、宿泊したユース・ホステルでスタッフ達と一緒に歌った“或る歌”。」は、とても印象深い。流行ったのは旅行した時よりも遥か昔だが、此の歌を口遊むと当時の思い出がまざまざと蘇って来る。“我が青春の1曲”だ。
吉田氏が手掛けた歌(他の歌手に提供した物も含む。)の中から、ベスト10を選んでみた。
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[吉田拓郎作品ベスト10]
1位: 「夏休み」【動画】
2位: 「落陽」【動画】
3位: 「旅の宿」【動画】
4位: 「襟裳岬」【動画】
5位: 「我が良き友よ」【動画】
6位: 「やさしい悪魔」【動画】
7位: 「アン・ドゥ・トロワ」【動画】
8位; 「たどり着いたらいつも雨降り」【動画】
9位: 「結婚しようよ」【動画】
10位:「狼なんか怖くない」【歌】 / 「全部抱きしめて ~toropical~」【動画】
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風見慎吾氏のヒット曲「僕笑っちゃいます」【動画】も、吉田氏が作曲を手掛けた作品。吉田氏の生まれは鹿児島県だが、育ったのは風見氏と同じ広島県という縁も在り、作曲する事になったのだろう。
単なるフォーク歌手に留まらず、テレビに出ない事を宣言したり、多くの歌手に楽曲を提供したり、小室等、井上陽水、泉谷しげるらとフォーライフ・レコードを設立する等、常に日本の音楽界に新しい風を巻き起こして来た、素晴らしいミュージシャンだと思います。
giants-55さんが挙げられた拓郎ベストテン、どれも名曲ですね。納得です。「落陽」は私も大好きです。
で、私が一番好きな拓郎作品は、初期の頃の「今日までそして明日から」です。これは他の伴奏を一切入れず、本人のハーモニカとギターだけのシンプルな作品ですが、詩がとてもいいのです。
♪わたしは今日まで生きてみました/時には誰かの力を借りて/時には誰かにしがみついて(略)
そして今 私は思っています/明日からもこうして 生きて行くだろうと♪
生きるとは何か、人生とは何かというテーマを帯びた、深い哲学も感じられる素晴らしい詩だと思います。
これを始めて聴いたのは、斎藤耕一監督の「旅の重さ」(72)という映画のエンディングで流れていた時です。映画のテーマにもマッチしたいい選曲だったと思います。
丁度私が大学を卒業し社会人になったばかりで、何となく人生に不安を抱いていた時期という事もあって、とても心に沁みました。拓郎(当時はよしだたくろう)のファンになったのもその時からです。お奨めです。
その他、giants-55さんのベストテン以外で、私の好きな拓郎作品を挙げておきます。
「メランコリー」(梓みちよさんに提供)
「歌ってよ夕陽の歌を」(森山良子さんに提供)
「雪」(フォークグループ・猫に提供)
「シンシア」(かまやつひろしとデュエット)
「となりの町のお嬢さん」
「青春の詩」
「明日に向かって走れ」
こうして見ると、giants-55さんのベストテンも含めて、他人に提供した曲に名曲が多いですね。
感情を剥き出しにして歌うスタイルの方も居られますが、吉田拓郎氏の場合は淡々と、でも、自身の感情を深く漂わせた歌い方が凄く好きです。
「今日までそして明日から」も良い歌ですよね。又、Kei様が書かれた彼の歌の数々、全部では在りませんけれど、知っている物も少なく無いです。
「ザ・ビートルズは、世界の音楽界に多大な影響を与えた。」と良く言われますけれど、吉田氏の場合は間違い無く「日本の音楽界に多大な影響を与えた。」と言って良いでしょう。
引退は本当に残念ですが・・・長い間御疲れ様でした。