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琵琶湖近くの介護療養施設で、100歳の男が殺された。捜査で出会った男と女‐謎が広がり深まる中、刑事と容疑者だった2人は、離れられなくなって行く。一方、事件を取材する記者は、死亡した男の過去に興味を抱き、旧満州を訪ねるが・・・。
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吉田修一氏の小説「湖の女たち」を読了。「100歳の男が殺害された事件を調べて行く中で、“現在”と“過去”に発生した別の殺人事件との関係性が浮かび上がって行く。」というストーリー展開なのだが、過去の殺人事件に関して言えば、悪名高き「731部隊」の影がちらつく。こう書くと、「非常に入り組んだ、壮大な事件性。」を感じる事だろう。
でも、読み進んで行くと、「吉田氏は一体、何を書きたかったの?」と思ってしまう。互いに関係している様に盛り上げておいて、結局は関係性が良く判らない。「“保身”や“嗜虐性”等、人の持つ醜悪な部分を描き、そして731部隊等、色々な事柄を持ち出して来たものの、収拾が付かなくなってしまい、最後は訳の判らない形で終わってしまった。」という感じだ。
3年前に読んだ彼の「国宝」は、総合評価「星5つ」を付けた程、素晴らしい内容だった。でも、今回読んだ「湖の女たち」は、同じ人間が書いたとは思えない程、余りに駄目な作品。全く評価出来る所が無い。
総合評価は、星2つとする。