************************************************
「泥酔、土下座の要求・・・『迷惑客』の宿泊拒否 国が指針叩き台」(9月5日、朝日新聞)
旅館業法の改正により、旅館やホテルが「迷惑客」の宿泊を拒める様になる事を受け、厚生労働省は5日、宿泊拒否に当たる具体例等を盛り込んだ指針案の叩き台を示した。宿泊料の不当な割引や土下座での謝罪等を繰り返し求める行為が例示された。
同日の厚労省の検討会で示された。12月迄の法施行に向け、指針を取り纏める。
旅館業法では、客の宿泊拒否は「原則禁止」だが、6月に成立した改正法により例外として、従業員の負担が過重となる様な要求を繰り返す「迷惑客」の宿泊を拒める様になった。
叩き台は、宿泊拒否の具体例として、「対面や電話、メール等で長時間に亘り叱責。」、「不当な割引やアップグレード等、他の客に比べて過剰なサーヴィスを求める。」、「従業員に土下座等、社会的相当性を欠く方法で謝罪を求める。」、「泥酔し、宿泊を求める。」等の行為を繰り返した場合を挙げた。
一方で、障害者への配慮が、「過重な負担」と受け止められる事が無い様に、「障害が在る事を理由に、宿泊を拒否出来ない。」と明記した。
又、改正法では、エボラ出血熱や結核等、感染症法の1、2類の感染症や、新型インフルエンザ等の「特定感染症」の患者等の宿泊を拒む事が出来る。感染症法の5類に移行した新型コロナは対象外。流行期には、症状が在る客等に、診断結果の報告や客室での待機等の感染対策への協力も求める事が出来る様になる。正当な理由が無い限り応じなければいけないが、叩き台は「事実上の強制となる様な求めをするべきでは無い。」とした。
旅館業法改正を巡っては、過去にハンセン病の元患者等が宿泊を拒否される問題が起きた事から、元患者等が「差別を助長する。」と反対。感染対策に応じ無い客の宿泊拒否を認める内容が、改正案から削除された。こうした経緯を踏まえ、叩き台は「特定感染症の患者等や障害者に対する不当な差別的取り扱いが行われない様、充分に注意しなければならない。」とした。
************************************************
宿泊拒否の具体例として挙げられた輩、「こんなのは客でも何でも無く、単なる馬鹿。」で在り、旅館等は“客”として扱う必要は全く無いと思う。旅館業法改正により、旅館等によって“不当な排除”が行われる事になっては絶対に駄目だが、今回の様な具体例が示される事で、そういう事態は避けられるだろう。
以前にも書いた事だけれど、「大昔、歌手の三波春夫氏が『御客様は神様です。』【動画】と発言し、此のフレーズが余りに有名に成り過ぎた結果、此のフレーズを拡大解釈した“一部の馬鹿”が『客だったら、何をしても許される。』と勘違いし、店等に対して傍若無人な言動をする様になってしまった。」と自分は思っている。勿論、三波氏は全く悪く無いし、彼が「お客様は神様です。」と発言した真意は違う所に在るのだが、一部の馬鹿による不当な言動は、無関係な人にとっても不快でしか無いし、そういう連中が1人でも減って欲しい。
宿泊業の場合は客を拒否したことにより野宿せざるを得なくなり、場合によっては病気や死に至ることもあり得るので、宿泊拒否ができない縛りがあったのかもしれませんね。
しかし、一部の客の増長と横暴により、店側(宿泊業に限らず、接客業全般)が一方的な負担を強いられるのであれば、客を拒否するのは当たり前のことだと思います。
客側に店を選ぶ権利があるように、店側にも(不当な差別でなければ)客を選ぶ権利がある、という事を義務教育のあいだに教える必要があるのでは?
少し前ですが、或る清掃業者が書かれた文章を目にしました。清掃活動を行っていた際、目の前に塵を放り投げられたそうで、「そういう行為をされるのは残念です。私達清掃員も、同じ人間なのですから。」という趣旨の文章でした。そういう行為を行った人には、清掃業者に対する“見下しの思い”が在ったのでしょうね。「自分が逆の立場だったら、どう感じるか?」という想像力が、致命的に欠落している。
義務教育期間中に学校で教えるべき事は、少なからず在ると思います。「客側に店を選ぶ権利が在る様に、店側にも(不当な差別で無ければ)客を選ぶ権利が在る。」という事も含め、教えるべき事では在ると思うのですが、其の一方で「そういう大事な想像力が欠落しているのは、彼等を育てている親も又、想像力が欠落しているからではないか。」という思いが強く在り、家庭教育の在り方(と言っても、戦時中の様に“国家が家庭教育に強く介在”というのは宜しく在りませんけれど。)の重要さを感じます。