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「月面探査機の打ち上げ成功 国産H2Aロケット47号機」(9月7日、東京新聞)
三菱重工業は7日午前8時42分、日本初の月面着陸を目指す探査機「SLIM」とX線観測衛星「XRISM」を載せたH2Aロケット47号機を、種子島宇宙センターから打ち上げた。2機は午前9時半頃迄に、投入する軌道に向けて分離され、打ち上げは成功した。
国産の大型ロケット打ち上げは、今年3月に新型H3ロケット1号機が失敗し、中断されて以降は初めて。H2Aでの成功は、2005年の7号機から41回連続となった。
JAXAが開発したSLIMは、月の狙った場所にピンポイントで着陸させる技術実証が目的。地球を周回してから、月の周回軌道に到着し、来年1~3月頃に月面着陸に挑戦する見通し。成功すれば、旧ソ連、米国、中国、インドに続き、世界で5ヶ国目となる。
SLIMはカメラで撮影する画像から、月の赤道付近に在るクレーターを識別し、着陸地点の情報と照合して、誤差を100m以内に抑える。
JAXAがNASA等と共同開発したXRISMは、天体や高温瓦斯が出すX線を捉えて、銀河や星の構造を探る。
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今年3月、新型H3ロケット1号機が打ち上げ失敗した際には非常に残念に思ったので、今回のH2Aロケット47号機の打ち上げ成功は嬉しい限りだ。莫大な血税を投入する以上、採算性を全く無視する事は許されないけれど、同時に「目先の採算性だけで判断するのでは無く、長期的なヴィジョンに基づき、試み続けなければならない事柄“も”存在する。」のも事実。過去の失敗を重要な糧とした上で、失敗を恐れずに、広大な宇宙を目指して欲しい。
「国産のH2Aロケット47号機が無事に、月面着陸してくれると良いな。」と思う一方、「月面着陸って、本当に大変なんだなあ。」という思いも在る。
結構勘違いされている事だが、月面着陸自体に成功した最初の国は旧ソ連で在る。1966年2月3日、同国の“無人月探査機”「ルナ9号」による“軟着陸”がそうだ。(1969年7月20日に月面着陸したアメリカの「アポロ11号」が“最初の月面着陸”と勘違いしている人が多い様だが、飽く迄も“人類が月面に降り立った最初”という事。)
1966年に月探査機が初めて月面に着陸してから、今年で57年経った。そんなにも長期間が過ぎ去ったというのに、「月面着陸に成功した国は、僅か4ヶ国しか無い。」のだから、如何に月面着陸が難しいかという事の証左だろう。
あとは月面着陸が無事行われることと、観測衛星が所期の目的を果たすことを願います。
ただ打ち上げ成功率が高いH2Aロケットはコストが高いため、すでに引退が決まっているらしく、後継のH3やイプシロン型ロケットの失敗が続いているので、日本のロケット産業は決して明るいわけではないようです。
月面軟着陸は技術力の高い国にとっては以前ほど難しいことではないと思います。
むしろ経済的側面から手を上げない国の方が多いのではないでしょうか。
月面に基地を築いたり、惑星へのアプローチの拠点にする、と言った壮大な計画を持つ国ならともかく、ただ月面に探査船を着陸させるためだけに、莫大な予算を割くことは国内事情が許さない、とか。
宇宙開発に莫大な費用が掛かる事は理解していましたけれど、「H2Aロケットは打ち上げ成功率が高いものの、コストが高い。比較すると安く済む後継機は、打ち上げ失敗が続いている。」という事情(特にコスト面の違い)は知らず、勉強になりました。「帯に短し、襷に長し。」といった感じで、難しいですね。
先日、宇宙ビジネスを手掛ける(手掛け様としている)ヴェンチャー企業の若き社長がビジネス番組に登場し、具体的な年数は忘れましたが、個人的には「そんなに早く!?」と驚いてしまう程の未来に、「宇宙で、一般人が住める場所を構築出来る。」と語っていました。宇宙飛行士とかでは無く、一般人が・・・という所に驚いてしまった訳ですが、酸素供給や宇宙塵の回避対策、宇宙放射能への対策等々、素人考えでも問題山積なのに、「本当に可能なの?」と困惑。