此れで彼も“名球会”のメンバーとなる訳だが、改めて思うのは「名球会の入会資格が与えられる通算成績って、投手には厳しいよなあ。」という事。近年、名球会入りするのは野手許りで、投手にとって“入会の壁”は高い。3年前の記事で提案したが、「通算150勝、通算270セーヴ、通算2,100安打」といった感じに、入会資格を変えた方が良いのではないだろうか。
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中学2年生の名倉祐一(なぐら・ゆういち)が部室の屋上から転落し、死亡した。屋上には、5人の足跡が残されていた。事故か?自殺か?それとも・・・。
軈て祐一が虐めを受けていた事が明らかになり、同級生2人が逮捕、2人が補導される。閑静な地方都市で起きた1人の中学生の死を巡り、静かな波紋が広がって行く。被害者家族や加害者とされる少年と其の親、学校、警察等、様々な視点から事実が明らかとなって行く。
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奥田英朗氏の「沈黙の町で」は、2011年から2012年に掛けて朝日新聞に連載された小説で、其の連載時から大反響を呼んでいたのだとか。
残念な事では在るが、「虐め」というのはどんな組織にも、大なり小なり存在する。虐めの加害者に関して言えば、「虐めているという意識を明確に持っている者」も居れば、「そういった意識が希薄な者」も居るだろうし、中には「全くそういった意識を持っていない者」も居る。「沈黙の町で」に登場する「虐めの加害者達」も、上記した3種類のパターンが存在し、中には「正義感が強い者」も居たりするのだから、誰しもが虐めの加害者に成り得るのだ。「虐め」を無くす事の難しさを、改めて感じてしまう。
此の小説を読んだ人の中でも、「加害者」と「被害者」に対する思いが分かれるかもしれない。「虐めの加害者は許せない。被害者は気の毒。」というのがメインとは思うが、「虐めを肯定する事は出来ないけれど、被害者にも問題が在る様に感じる。」という人も居そう。
「『最後に明らかにされた事実』が、本当に事実なのだろうか?」という思いも在ったりと、「読後には皆、もやもやとした不快感が残る内容。」という感じで、其れが「連載時に大反響を呼んだ。」という要因なのだろう。
総合評価は星3つ。