ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ガラスの殺意」

2020年01月31日 | 書籍関連

*********************************************************
20年前に起きた通り魔事件の犯人・閤田幹成(ごうだ みきなり)が刺殺された。警察に「殺した。」と通報したのは、其の通り魔に愛する両親を殺された柏原麻由子(かしはら まゆこ)。だが、麻由子は当時、現場から逃げる途中で交通事故に遭いに障害を負っていた。警察の調べに対して麻由子は、「通り魔殺害の記憶は定かでない。」と訴える。果たして、復讐は成し遂げられたのか?
*********************************************************

秋吉理香子さんの小説ガラスの殺意」は、「交通事故で高次脳機能障害になってしまった女性・柏原麻由子が、自身の両親を殺害した通り魔・閤田幹成を刺し殺したのか?」というのがポイントとなっている。

高次脳機能障害は幾つかの症状が現れるけれど、彼女の場合は記憶障害が強く出ている。交通事故に遭う以前の記憶は問題無いのに、以降の記憶が“維持”出来ない。何かの切っ掛けで思い出したりはするものの、直ぐに忘れてしまう。刺殺犯として警察に捕まり、取り調べを受けるのだが、記憶が定かでは無く、何とか思い出しても直ぐに忘れてしまい、挙句に「自分が今居る場所は、何処なのか?」や「自分が話している相手(=刑事)は誰なのか?」等が判らなくなり、何度も確認する始末

去年7月の記事「認知症が憎い」の中で、認知症罹患した身内の事を書いた。彼女の状態は日によって異なる様で、酷い時は記憶が直ぐに失せてしまう。1分前に話した事を何度も何度も忘れてしまうという状態の時には、我が身に置き換えて怖さを感じた程。麻由子の状態に、彼女が重なってしまった。

そんな状態だから、捜査する警察のみならず、麻由子自身も戸惑う許りミステリーとしては中々面白い設定では在るのだけれど、こうも何度も何度も記憶が失せてしまうと、“同じ文章を執拗に読まされる感”が在って、読み進めるのがしんどくなる。又、“犯人当て”の面ではどんでん返しが設けられているものの、ミステリーを多く読み込んでいる者にとっては、そう驚きを感じる物では無いと思う。

全体として物足り無さを感じてしまい、総合評価は星2.5個とする。


コメント    この記事についてブログを書く
« 県庁所在地から初めて〇〇〇... | トップ | 二世タレント »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。