ドキュメンタリー番組が好きで良く見ている。定番で見ているのは、フジテレビ系列で放送されている「ザ・ノンフィクション」(日曜日の14:00~14:55)と日本テレビ系列で放送されている「NNNドキュメント’06」(月曜日の0時25~0:55)。その「NNNドキュメント’06」で先週放送されたのが、「楽園は何処に・・・ ~祖国を訴えた日本人~」だった。
第二次世界大戦に敗れ、荒廃し切った日本。戦地からの引き揚げ者に加えて、国内には失業者が溢れ返っていた。空前のベビーブームによる人口増加も在り、政府は社会不安が増す事を懸念。その解決策として、戦火を交えなかった国々への移民政策を積極的に推し進めて行く事となる。
1956年から始まったのがドミニカへの移民政策では、「彼の地に移民すれば、肥沃な土地300タレア(東京ドーム4つ分)を無償譲渡する。夢の様な世界が待っている。」といった政府のアピールに、全国から約1,300人の人間が海を渡る決意を固める。先の見えない不安を抱えた彼等には、政府の提示した条件は夢の世界への誘いに思えたからだ。彼等は未だ見ぬドミニカを、”カリブの楽園”と呼んだ。
しかし、待ち受けていた現実は非常に過酷なもので在った。無償譲渡された土地は、政府が約束した広さの3分の1に過ぎないばかりか、その殆どが不毛の荒地や塩が噴いた砂漠という、農地には不適なもの。それだけでは無く、慢性的な水不足に加え、土地の所有権も認められていないという地獄の有り様。「約束が違う!」と詰め寄る移民達に、政府は冷たい対応をするばかり。「石が多い土地ならば、石を取り除けば良いではないか。石も3年経てば肥料になる。」と言い放った外務省職員も居たのだとか。
現地人が移民を見る目も冷ややかで、死ぬ思いで育てた僅かばかりの収穫物を強奪される移民達も居た。劣悪な状況に、土地を捨てて逃げ出す人間や、世を儚んで自殺する人間が続出したそうだ。そんな悲惨な半生をドミニカ移民の女性達は、「浦島太郎」の替え歌として、今も歌い続けているという。
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昔、昔、母ちゃんは
ぶらじる丸に乗せられて
ドミニカ移住をして来たら
難儀、苦労が待っていた
オヤジ殿が移住等
考え付いたばっかりに
若き時代は夢の間に
今は白髪の御婆さん
*****************************
実際に歌っている姿が流れていたが、彼女の歩んで来た過酷な運命が切々と伝わって来て、直視するのが辛かった。
2000年7月、移住者177人は、半世紀に及ぶドミニカ移民の窮状に何ら有効な対策を採らなかったとして、祖国日本を相手に総額32億円の損害賠償と謝罪を求め提訴した。今春にもその判決が下るという。
此処にも政府によって見捨てられた”棄民”が居たという事か。「政府が何と言おうと、自らの決断&意思で赴いたのだから自己責任だ!」とする意見も在ろうが、それだけで片付けられない現実だと思う。
それにしても、番組内で当時のニュース映像が流れていたのだが、「空前のベビーブームで、我が国は人口増加が止まらない。このままでは、増え過ぎた人間によって、足の踏み場も無くなってしまうだろう。」といったナレーションが印象に残った。そんな国が、半世紀後には少子化&人口減の現状に在る事に、時代の皮肉を感じずにはいられなかったからだ。
第二次世界大戦に敗れ、荒廃し切った日本。戦地からの引き揚げ者に加えて、国内には失業者が溢れ返っていた。空前のベビーブームによる人口増加も在り、政府は社会不安が増す事を懸念。その解決策として、戦火を交えなかった国々への移民政策を積極的に推し進めて行く事となる。
1956年から始まったのがドミニカへの移民政策では、「彼の地に移民すれば、肥沃な土地300タレア(東京ドーム4つ分)を無償譲渡する。夢の様な世界が待っている。」といった政府のアピールに、全国から約1,300人の人間が海を渡る決意を固める。先の見えない不安を抱えた彼等には、政府の提示した条件は夢の世界への誘いに思えたからだ。彼等は未だ見ぬドミニカを、”カリブの楽園”と呼んだ。
しかし、待ち受けていた現実は非常に過酷なもので在った。無償譲渡された土地は、政府が約束した広さの3分の1に過ぎないばかりか、その殆どが不毛の荒地や塩が噴いた砂漠という、農地には不適なもの。それだけでは無く、慢性的な水不足に加え、土地の所有権も認められていないという地獄の有り様。「約束が違う!」と詰め寄る移民達に、政府は冷たい対応をするばかり。「石が多い土地ならば、石を取り除けば良いではないか。石も3年経てば肥料になる。」と言い放った外務省職員も居たのだとか。
現地人が移民を見る目も冷ややかで、死ぬ思いで育てた僅かばかりの収穫物を強奪される移民達も居た。劣悪な状況に、土地を捨てて逃げ出す人間や、世を儚んで自殺する人間が続出したそうだ。そんな悲惨な半生をドミニカ移民の女性達は、「浦島太郎」の替え歌として、今も歌い続けているという。
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昔、昔、母ちゃんは
ぶらじる丸に乗せられて
ドミニカ移住をして来たら
難儀、苦労が待っていた
オヤジ殿が移住等
考え付いたばっかりに
若き時代は夢の間に
今は白髪の御婆さん
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実際に歌っている姿が流れていたが、彼女の歩んで来た過酷な運命が切々と伝わって来て、直視するのが辛かった。
2000年7月、移住者177人は、半世紀に及ぶドミニカ移民の窮状に何ら有効な対策を採らなかったとして、祖国日本を相手に総額32億円の損害賠償と謝罪を求め提訴した。今春にもその判決が下るという。
此処にも政府によって見捨てられた”棄民”が居たという事か。「政府が何と言おうと、自らの決断&意思で赴いたのだから自己責任だ!」とする意見も在ろうが、それだけで片付けられない現実だと思う。
それにしても、番組内で当時のニュース映像が流れていたのだが、「空前のベビーブームで、我が国は人口増加が止まらない。このままでは、増え過ぎた人間によって、足の踏み場も無くなってしまうだろう。」といったナレーションが印象に残った。そんな国が、半世紀後には少子化&人口減の現状に在る事に、時代の皮肉を感じずにはいられなかったからだ。
ドミニカ移民に関して東京地裁において「棄却」という判断が出ました。。。
残念で残念でなりません。
国(自分)にとって都合の悪いことに他国(他者)の方に蓋をしたい気持ちは、解らなくはないのですが自国民にも隠してしまっているような感じがしています。
「信用・信頼を裏切ることは許せない感」がなんとなく・・・
先だっての東京地裁の判決は、「国は農地を備えた移住先の確保に、配慮する義務が在った。」として国の責任は認めたものの、20年の除斥期間が過ぎているという事で賠償請求権は消滅しているとして、原告側の請求を棄却するという結果になりました。国の責任を認めたというのは評価しますが、又しても”時の壁”が立ちはだかってしまったというのが原告の方々に気の毒でなりません。
「拉致被害者とは異なり、自らの意思で行ったのだから移民達の自己責任。」という意見も在るとは思いますが、国の都合、そしてそれに乗っかって”プロパガンダ”の役割を果たしてしまった当時のマスメディアの責任は大きいと思いますし、だからこそ自己責任で全てを片付けてしまうのは非常に酷だと感じますね。
原告側はこの判決を不服として東京高裁に控訴したという事ですが、より原告側の気持ちに沿った判決が下される事を望みます。
これからも宜しく御願い致します。