「多重人格的憑依症状を発症したと思われる若き妊婦を、その夫と元産婦人科医の精神科医が何とか元の人格に戻すべく治療を試みる。」そんな惹句に惹かれ、高野和明氏の「K・Nの悲劇」を読んだのは昨年の事だった。精神疾患に関する記述も然る事乍ら、或る文章が自分にとっては非常にショックで、それをメモして残している。
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日本では1年間に150万人の女性が妊娠し、その内の34万人が中絶手術を受ける。妊婦の5人に1人が中絶。中絶胎児が人間だと認められれば、日本人の死亡原因のトップは癌では無く、人工妊娠中絶という事になる。
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妊婦の5人に1人が中絶をしているという事実も驚きだったが、中絶された胎児が人間と見做されるならば(通説で言えば、民法上は「胎児=人。」と、刑法上は「胎児=人では無い。」と見做される。但し「胎児=人。」と見做す民法でも、死産の場合は遡及して「人で無い。」と見做される。)、日本人の死亡原因のトップが人工妊娠中絶になるという事実が何よりも愕然とさせられた。今回の記事を書く上で具体的なデータを当たってみた所、2003年時の人工妊娠中絶数は319,831件で在り、1994年時迄はずっと36万件以上で在った事が判った。あくまでも然る可き報告(届け出)が為された数字で在り、一説には「”闇に葬られた”(未報告)数を入れると100万件を超えるのでは。」という話も。この作品の中でも「1年間に全国で殺処分される犬猫はそれぞれ30万頭(こちらの統計を見る限りでは、1998年迄が併せて62万頭以上の殺処分数となっている。)で、つまり犬猫の殺処分数よりも多くの胎児が人工妊娠中絶により、親の胸に抱かれる事無く闇に葬られている。」といった記述が在ったが、どちらの数字も遣り切れない思いが在る。
以前「育児責任放棄ボックス」という記事を書いた。意図して刺激的なタイトルとした為、反論も多く頂戴した記事なのだが、何故こういったタイトルにしたかを件の記事のコメント欄で書かせて貰った。若いカップルが交わしていた会話で、多分に冗談めかして言っていたとは思うのだが、どうしても聞き逃せない内容だったのだ。
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女性: 「なんか~、子供出来ちゃったかもしれないんだけど~。」
男性: 「マジかよ~。だったら、下ろせば良いじゃん。」
女性: 「まあね~。最悪産んでも、赤ちゃんポストに入れちゃえば良いし。な~んてね、ハハハ。」
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人工的な手段(手術又は薬品)を用い、意図的に妊娠を中絶させる「人工妊娠中絶」。我が国では母体保護法第2条2項により、人工妊娠中絶を行う時期の基準を「胎児が母体外に於いて、生命を保続する事の出来ない時期」定めている。即ち「胎児が母体外に於いて、生命を保続する事が”出来る”時期」ならばこの処置は採ってならない事になる。具体的な指標として厚生労働省事務次官通達が出されており、それによると「人工妊娠中絶が行えるのは、妊娠22週未満。」と現在はなっているとの事。
上記した「育児責任放棄ボックス」でも書いたが、「強姦され身篭ってしまった。」とか、「産み育てたい気持ちは充分在るものの、経済的な理由等からどうしても産めない。」といった理由が在った上での中絶ならば未だしも、「産み育てる覚悟も無いのに避妊行為を行わず、妊娠してしまったら下ろせば良い。」的な発想ならば、これは言語道断。
我が身を振り返れば、若い頃の性衝動が抑え難いのは理解している。唯、それで突っ走ってしまったら、単なる野獣に過ぎない。理性を持った人間ならばきちんと先を見据え、産み育てる覚悟が出来ていないなら避妊は絶対にす可き。*1同性だからこそ敢えて言うが、避妊は男性のマナーだと思う。好色な中年の自分だが、自らの経験を踏まえ、若い人達にこの事だけは訴えたい。
*1 避妊具を用いたからと言って、100%避妊出来る訳では無い。例えばコンドームの場合、正しく装着しても約3%は避妊に失敗する可能性が在るとか。現実問題としては誤った装着をしているケースも少なく無く、失敗する可能性は約14%という記載も。それに対してピル服用で避妊失敗する可能性はかなり低い様だが、それでも副作用の問題等も指摘されており、その選択には迷う所も正直在るだろう。
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日本では1年間に150万人の女性が妊娠し、その内の34万人が中絶手術を受ける。妊婦の5人に1人が中絶。中絶胎児が人間だと認められれば、日本人の死亡原因のトップは癌では無く、人工妊娠中絶という事になる。
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妊婦の5人に1人が中絶をしているという事実も驚きだったが、中絶された胎児が人間と見做されるならば(通説で言えば、民法上は「胎児=人。」と、刑法上は「胎児=人では無い。」と見做される。但し「胎児=人。」と見做す民法でも、死産の場合は遡及して「人で無い。」と見做される。)、日本人の死亡原因のトップが人工妊娠中絶になるという事実が何よりも愕然とさせられた。今回の記事を書く上で具体的なデータを当たってみた所、2003年時の人工妊娠中絶数は319,831件で在り、1994年時迄はずっと36万件以上で在った事が判った。あくまでも然る可き報告(届け出)が為された数字で在り、一説には「”闇に葬られた”(未報告)数を入れると100万件を超えるのでは。」という話も。この作品の中でも「1年間に全国で殺処分される犬猫はそれぞれ30万頭(こちらの統計を見る限りでは、1998年迄が併せて62万頭以上の殺処分数となっている。)で、つまり犬猫の殺処分数よりも多くの胎児が人工妊娠中絶により、親の胸に抱かれる事無く闇に葬られている。」といった記述が在ったが、どちらの数字も遣り切れない思いが在る。
以前「育児責任放棄ボックス」という記事を書いた。意図して刺激的なタイトルとした為、反論も多く頂戴した記事なのだが、何故こういったタイトルにしたかを件の記事のコメント欄で書かせて貰った。若いカップルが交わしていた会話で、多分に冗談めかして言っていたとは思うのだが、どうしても聞き逃せない内容だったのだ。
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女性: 「なんか~、子供出来ちゃったかもしれないんだけど~。」
男性: 「マジかよ~。だったら、下ろせば良いじゃん。」
女性: 「まあね~。最悪産んでも、赤ちゃんポストに入れちゃえば良いし。な~んてね、ハハハ。」
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人工的な手段(手術又は薬品)を用い、意図的に妊娠を中絶させる「人工妊娠中絶」。我が国では母体保護法第2条2項により、人工妊娠中絶を行う時期の基準を「胎児が母体外に於いて、生命を保続する事の出来ない時期」定めている。即ち「胎児が母体外に於いて、生命を保続する事が”出来る”時期」ならばこの処置は採ってならない事になる。具体的な指標として厚生労働省事務次官通達が出されており、それによると「人工妊娠中絶が行えるのは、妊娠22週未満。」と現在はなっているとの事。
上記した「育児責任放棄ボックス」でも書いたが、「強姦され身篭ってしまった。」とか、「産み育てたい気持ちは充分在るものの、経済的な理由等からどうしても産めない。」といった理由が在った上での中絶ならば未だしも、「産み育てる覚悟も無いのに避妊行為を行わず、妊娠してしまったら下ろせば良い。」的な発想ならば、これは言語道断。
我が身を振り返れば、若い頃の性衝動が抑え難いのは理解している。唯、それで突っ走ってしまったら、単なる野獣に過ぎない。理性を持った人間ならばきちんと先を見据え、産み育てる覚悟が出来ていないなら避妊は絶対にす可き。*1同性だからこそ敢えて言うが、避妊は男性のマナーだと思う。好色な中年の自分だが、自らの経験を踏まえ、若い人達にこの事だけは訴えたい。
*1 避妊具を用いたからと言って、100%避妊出来る訳では無い。例えばコンドームの場合、正しく装着しても約3%は避妊に失敗する可能性が在るとか。現実問題としては誤った装着をしているケースも少なく無く、失敗する可能性は約14%という記載も。それに対してピル服用で避妊失敗する可能性はかなり低い様だが、それでも副作用の問題等も指摘されており、その選択には迷う所も正直在るだろう。
2003年時の人工妊娠中絶数(http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/130/2003/toukeihyou/0004704/t0099787/FH0060_001.html)を見ると、「30~34歳が63,923件、35~39歳が48,687件、40~44歳が20,950件、45~49歳が1,853件」となっていました。つまり30~49歳の所謂中年層では135,413件という事になり、これは全体の42.3%にも当たるんですね。御指摘の通り、人工妊娠中絶数は若年層がダントツに多いというイメージを持っていましたのでこれは驚きでしたし、誤ったイメージを持っていた事を恥じております。失礼致しました。
唯、29歳以下を若年層と定義した場合、この層の人工妊娠中絶数は184,241件(57.6%)と多くを占めている事も事実で、又、一説には「この層(特に10代)で未報告分が多いのでは。」という話も在りますので、「未成年者」という区分は不適切かもしれませんが、若年層での中絶数”も”少なく無いのではなかろうかという気がします。
老若男女を問わず、「産み育てたくても、経済的な理由等からどうしても中絶せざるを得ない。」という状況には同情を覚えつつ、「でも極貧に喘ぐ国家なら未だしも、そこ迄には無い我が国に於いて、そういう状況下(経済的な困窮)で避妊を考えなかった(避妊具を用いていたのに妊娠してしまったというのは別ですが。)というのは、”先の哀しみ”を考えなかったのかなあ?」とどうしても思ってしまうんです。「望まれない形で産まれて来る事」と「望まれないから産まれて来なかった事」のどちらがベターなのかは凡人の時分には判断出来無いのですが、少なくとも法律的な解釈は別にして、一つの生命体として世の中に存していた胎児が、これだけ多くも産まれて来れなかった現実が哀しいです・・・。
自分が想定していたのは35歳以上。
驚きました。
例えば米国のように養子縁組が多くなるのが良いのかもしれません。
簡単に言うと、ですが…。ただ日本では養子の場合、赤の他人よりも「親類の次男や娘」だったり、縁故ある人の子をもらう、というのが多く(今の世の中ではそれすらも一部の旧家にしか見られないでしょうが)、意識的に難しいと思う面もあります。
一般的なイメージと実態が乖離している事は結構在りますが、「中絶数の多い層」というのもそんな一つなのでしょうね。中年層以上に付いては、「分別の在る(筈の)大人なのだから、中絶という結論も考え抜いた結果の事だろうし、他人が口を挟む問題では無い。」という意見も在ろうかと思います。貧富の差が拡大傾向に在ると言われている御時世ですので、この層でもその例外では無いだろうし、経済的な面から中絶という処置を採らざるを得ないので在れば、自分は何も言えません。唯、胎児が本当に可哀想という思いは残りますが・・・。
子供が欲しくて堪らないのに恵まれない夫婦が少なくないのですから、Spa supernova様の書かれている様に「養子縁組」という手段も在って良いと思います。命が闇に葬られるよりは、望まれた先で育つ方が幸せではないかと。勿論、妙な意図を持って養子縁組をする不届き者も居る様ですから、その辺は国がきちんと監視して欲しいものですが。
医療、老人介護の公的な保障が段々薄くなってるので、中高年で「こどもなんか」産んでる場合ではない・・ということでしょうか。しかし、ここまでわかってるのに・・・。避妊しないのは「知性」が「痴性」に負けてる?はいいすぎですかしらね。
上でSpa supernova様宛てに書かせて戴いた事、今回マヌケ様が仰っている事と通じる部分が結構在ると思います。大人としての分別が充分備わっているで在ろう中年以上の人間が、悩みに悩んだ末で中絶という結論に到ったと”信じたい”し、そもそもこの手の問題は他者がどうこう言える事柄でも無いのかもしれません。それに記事でも触れましたが、相手の身勝手さ(若しくは暴力的に)によって妊娠してしまったケースも当然在りましょうし、そういうケースでは余計に他者がどうこう言う可き問題では無いでしょうしね。
唯、それは理解していても、どれ程を占めているかは判らないのですが、「先を全く考えずに妊娠してしまい(させてしまい)、仕方ないから中絶する。」といった安直と思えてしまうケースに付いては、世の中に子供が欲しくて堪らないのに恵まれない人達を考えると、どうなのかなあと正直思ってしまいます。そして第一に、そんな思いから闇に葬られてしまった胎児達を思うと心が痛んでしまうんですよね。勿論、諸般の事情からそれしか選択肢が無く、泣く泣く中絶に踏み切らざるを得なかった方々には同情を覚えるし、非難する気持ちは毛頭無いのですが・・・。
どこか、おおきな矛盾を感じてしまうのは僕だけでしょうか。
なにか、よい手は無いのかと思います。
高校で、コンドームが配られるといったことが話題になったのはもう、10年以上も昔の話。
いまでは、一部の都会の高校の話ではなく、田舎の高校でもそういった話をききます。
この国の、倫理観というのは、どうなってしまったのかおおきな疑問を感じる事もあります。
こんなの一部の人の話だと思う反面、その一部が自分が考えているよりずっと多いという事実に驚きです。