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1人の熱き警察官の軌跡。東京湾臨海署刑事課強行犯第1係、通称「安積班」。其の“ハンチョウ”で在る安積剛志(あずみ つよし)警部補の、警察学校時代から現在の刑事課強行犯第1係長に到る迄を描いた10の短編小説。
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今野敏氏の「安積班シリーズ」は「ハンチョウ~神南署安積班~」及び「ハンチョウ~警視庁安積班~」と、2度TVドラマ化された人気シリーズ。此れ迄20作品近く上梓されているが、今回読んだ「道標 東京湾臨海署安積班」は昨年12月に上梓された最新作で、安積剛志若き時代を中心に描かれている。
「最優先」及び「視野」という作品は、“同じ出来事”を違う人間の視点で描いている。1話完結型での連載小説としては、面白い形だと思う。
「他人から見ると非常に優秀な人間なのだけれど、当人は自分にコンプレックスを抱えており、『人から悪く思われているのではないか?』と常に気にしている。」というのが、今野作品のキャラクターに目立つ特徴だが、安積班シリーズも同様で、安積自身や其の部下達等の“心の揺れ”が興味深い。
一番心に残った作品は「捕り物」で、本人が意識していないのに周りから信頼&慕われる安積剛志という人物の“原点”が垣間見られる。今回の「道標 東京湾臨海署安積班」で初めて安積班シリーズを知った方は、最初の作品から読まれると、更に此のシリーズの魅力に引き込まれるだろう。
総合評価は、星3.5個とする。