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「『地球を冷やす』分子発見 『掃除』効果も 英グループ」(1月15日、朝日新聞)
英マンチェスター大等のグループが、地球を冷やす効果を齎す分子の直接検出に成功した。車や工場等から出る二酸化窒素や二酸化硫黄等大気汚染物質を効率良く除く性質が在り、13日付の米科学誌サイエンスに発表した。
検出されたのは、1950年代から存在が予想されていたが、直接見付かっていなかった小さな有機分子。汚染物質から、大気を冷やす効果が在る硫酸塩等浮遊粒子(エーロゾル)を作る能力を持つ。チームは、放射光と呼ばれる強い光を使う実験で特定した。
大気中のエーロゾルは日射を遮る他、雲の出来方を左右する。今回の成果は、地球温暖化予測の精度向上に役立つ他、人工的に気温を下げる「ジオエンジニアリング」と呼ばれる技術に繋がる可能性も指摘されている。
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随分前から「地球温暖化が人類に与える悪影響」が叫ばれているが、「地球を冷やす分子が発見された。」という今回のニュース、悪影響を取り除くという意味では喜ばしい事なのかもしれない。しかし理数系の知識に乏しい自分からすれば、「今回の発見って、もしかしたら諸刃の剣ではないのかな?」という不安を抱いたりもする。
「人為的に気象を操作する事により、敵対する国家や地域に損害を与える事を目的とした兵器。」を気象兵器と呼ぶ。「人工的に雨を降らせて、農作物等に大きなダメージを与える。」という人工降雨兵器や、「(実際に使われたかどうかは別にして)地震を作り上げたり、誘発させたりする。」という地震兵器等が有名だけれど、今回のニュースで気になるのは「人工的に気温を下げられる可能性」という点。本当に「地球を冷やす効果を齎すレヴェル」で在るならば、悪意を持った人間によって気象兵器に利用される危険性も考えられるのではないか?
アルフレッド・ノーベル氏が発明したダイナマイトは、「工事現場での岩盤の破壊等、作業の効率化を大幅に進めた。」という素晴らしさが在る一方で、「戦争に爆薬として使用される事で、大勢の人命を奪う事になった。」という哀しい現実も在る。素晴らしい発明&発見も、用いる人間によっては“災いの元”にも成り得るのは、多くが知る所だろう。