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・虐待を受ける子供と其の親を救済する奇蹟の法律「マザー法」。でも、救い切れない物は在る。(「母の法律」)
・孤独な老人の日常に迫る侵略者の影。覚醒の時が来た。(「戦闘員」)
・45歳の“わたし”の前に、中学生の“ワタシ”が現れた。「矢っ張り、タイムスリップしちゃってる! 」。(「わたしとワタシ」)
・長年一緒に暮らして来たロボットと若い娘の、最後の挨拶。(「さよならの儀式」)
・妹が体調を崩したのも、駅の無差別殺傷事件も、皆「御友達」の所為?(「星に願いを」)
・調査事務所を訪れた依頼人の話によれば―ネット上で元<少年A>は、人間を超えた存在になっていた。(「聖痕」)
・小さな漁村に、海の向こうから「屍者」のトムさんが遣って来た。(「海神の裔」)
・パトロール中、保安官の無線が鳴った。「誘拐事件発生です。」。何故、何時も道を間違ってしまうのか・・・。(「保安官の明日」)
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宮部みゆきさんの「さよならの儀式」は、上記8つの短編小説から構成されている。「母の法律」以外は、SFチックな内容。
各作品を個人的に評価すると、次の通り。
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[印象に残った作品]
「さよならの儀式」
[凡庸な作品]
「母の法律」、「戦闘員」、「わたしとワタシ」、「星に願いを」、「保安官の明日」
[駄作]
「聖痕」、「海神の裔」
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「さよならの儀式」は、“ロボットに対する思い”を描いた作品。「日本と他国では“概して”、ロボットに対する思いが大きく異なる。」というのを、以前読んだ事が在る。「日本の場合、『鉄腕アトム』等の影響から、『ロボット=人型で、“家族”や“仲間”の様な存在。』という思いを持つ人が多いが、他国の場合『ロボット=ベルト・コンヴェアで稼働するロボット・アームの様な無機的機械。』という思い強い。」という内容だった。
詰まり、日本ではアニミズムの影響も加わって、「人型や動物型のロボットを、古くなったからといって簡単に捨て難い人が少なく無い。」という傾向が在ると思う。そういう面を描いた「さよならの儀式」は、自分の心に深く響いた。
全体的に言えば、凡庸感の強い作品集。総合評価は、星2.5個とする。