9年前の記事「趣味の主役も今や・・・」で記した様に、子供だった時分、切手収集は“趣味の王道”と言って良く、同級生の大多数が切手を収集していた。斯く言う自分も夢中になって収集していた口だったが、特殊切手が余りに多く発行された事で、全てをシート買いするのがしんどくなったのと、何よりも“図柄の質の低下”を感じた事から、収集を止めてしまった。其れからもう、四半世紀近く経つだろう。
当ブログを屡々いて下さる悠々遊様は、天体観測が御趣味の1つだが、嘗ては切手収集をされていた。「されていた」と過去時制なのは、3年前に“引退”を表明されたからだ。悠々遊様の様な“純粋な愛好家”すらも離れてしまう程、切手収集という趣味が廃れてしまった事は、嘗て夢中になった身としては寂しい物が在った。
そんな訳で、切手関連の情報に自ら触れなくなって可成りになるのだが、先達て「寄付して貰った使用済み切手を売り、得た利益を世界中の恵まれない人々に寄付するというヴォランティア活動。」がTV番組で取り上げられていて、其の中で切手の展示&販売会の様子が映し出されていた。中高齢者が目立つも、若い客もちらほら見受けられ、「此れ、可愛い!」と切手の図柄を指差す若い女性の姿が印象に残った。
「そんなに可愛い図柄の切手が発行されているのか。最近の特殊切手って、どんな感じなんだろう?」と興味を惹かれ、此処数年のラインナップを調べる事に。
「切手趣味週間」や「ふみの日にちなむ郵便切手」、「国際文通週間にちなむ切手」といった昔から発行されている特殊切手が在る一方、「アニメ・ヒーロー・ヒロイン・シリーズ」(2005年~)や「星座シリーズ」(2011年~)、「季節のおもいでシリーズ」(2012年~)等、女性や子供に人気が出そうな物が在ったりする。
【アニメ・ヒーロー・ヒロイン・シリーズ】
【星座シリーズ】
【季節の思いでシリーズ】
個人的には「自然との共生シリーズ ~日本の希少野生動植物~」(2011年~)や「日本の城シリーズ」(2013年~)、「海外の世界遺産シリーズ」(2013年~)なんかは、「良いなあ。」と感じた。
【自然との共生シリーズ ~日本の希少野生動植物~】
【日本の城シリーズ】
【海外の世界遺産シリーズ】
(記事「人と全く同じ事をしていては」でも触れた様に)「何じゃこりゃ?」と絶句してしまう図柄や、「こんなの発行する意味在るの!?」と思ってしまう切手は昔から在ったが、「ほっとする動物シリーズ」(2013年~)や「野菜とくだものシリーズ」(2013年~)、「おもてなしの花シリーズ」(2014年~)なんぞは、「苦し紛れのネーミングだなあ。」と苦笑。
「ほっとする動物」と思いっきり主張しているが、シャチやアムールトラの図柄を見ても“ほっと出来ない人”も居そうで、人生幸朗師匠が御存命ならば「こんなの見てほっとするかっ!責任者出て来~いっ!!」【動画】と一喝されそう。
【ほっとする動物シリーズ】
【野菜とくだものシリーズ】
【おもてなしの花シリーズ】
既に発行されているかもしれないが、「戦国大名シリーズ」とか「真田十勇士シリーズ」、「赤穂浪士シリーズ」といった特殊切手が発行されたら、“歴女”は飛び付きそう。
昔は1枚の記念切手に込められていた情熱が、2種類になり5種類になり現在では一度に10種類も、となるとデザインにしてもやっつけ仕事になってしまうのでしょう。
かつては小さな美術館と評された切手ですが、今はまるっきりシール・ラベルの世界です。これではお金を出してまでコレクションしたいとは思わなくなるのも当たり前ですね。
郵政が目先の金儲けに走って、自ら価値を下げていくのを寂しい気持ちで見ています。
紙質は良く無かったし、色もそんなに多色では無かったけれど、昔、そう昭和50年代前半辺り迄の特殊切手には、“品”の在る物が少なく無かった。
特殊切手が“投機対象”となった事で、切手ブームはドンドン広がって行ったけれど、其の事で郵政省による“粗製乱造”に拍車が掛かり、結果的には趣味としての切手収集が廃れてしまった。全く皮肉な話です。
記事でも書きましたが、「日本の城シリーズ」等の様に「良いな。」と思う物も在るけれど、「野菜とくだものシリーズ」等の様に、「年間○○種類の特殊切手を発行しなければいけない。」と、“ノルマ”を熟すだけの為に発行される様な特殊切手にはゲンナリさせられます。質を落として迄ノルマに拘るのでは無く、少数精鋭で在って欲しい。