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今や人口12億1,000万人、世界2位の大国で在る。しかし、<逆境が在るからこそ、私は走れるのだ。>と言ったマハトマ・ガンディーの精神は、変わらず多くのインド国民に受け継がれている様だ。
3月13日、2011年版インドの国勢調査結果が公表された。都市部から農村迄隈無く全国民を対象に、10年振りに行われた調査では、新たな質問項目に携帯電話所有の有無が加えられた。其の結果発覚したのは、意外にも、経済成長著しい国にしては余りに御粗末な“トイレ事情”だった。
今、トイレを所有するのは1億1,500万世帯で、携帯電話を所有するのは1億3,100万世帯。
あれ?携帯電話の方が多い!特派員によれば、「昨年4月に、携帯契約数は8億件を突破し、台数は世帯数の数倍に膨れ上がる。ノキア、サムスン電子等外国メーカーが進出し、通信会社は十数社と競争も強烈ですから、通話料も安い。」
しかし、普通、トイレの方が優先順位は高い筈、とも言いたくなる。国勢調査担当の長官は、弁明した。「衛生設備部門への投資云々という問題では無く、文化的、伝統的な理由から生まれた非衛生的な習慣を変える必要が在る。」
下水設備に接続された水洗トイレを所有するのは1,000万世帯に過ぎず、1億3,000万世帯が戸外で用を済ませる。世帯数から人口換算すれば、国民の約半数が青空トイレの利用者だ。環境への悪影響も懸念され、社会学者は英紙のインタヴューに「社会が消費主義的になった事を表している。基本サーヴィス(インフラ整備)に御金を出さないなら、政府と社会双方による大失敗だ。」と批判する。トイレが整備されたら何を逆境に?
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先達て、中国の僻地を取り上げたドキュメンタリー番組が放送されていた。他民族と交流する機会が余り無さそうな場所に住む人々だったが、子供達の衣服が日本の其れとそんなに変わらない様なデザインだったのが、結構意外だった。多民族と交流する機会が余り無いとしても、様々な情報に触れる機会が在るのだろう。情報統制されている彼の国でも、インターネットやテレビ等の情報を当局が100%抑えられる訳も無く、昔に比べると格段と様々な情報に触れられる事で、日本の子供達が着ているのと余り差異が無い格好の子供達が出て来ているのかもしれない。
何処の国に行っても余り変わらない面がチラホラ見受けられるのは寂しくも在るのだが、今回のインドの記事を読んで、「変えるのが容易じゃない習慣も在るのだなあ。」と感じさせられた。インドには過去1度しか行った事が無く、其れも相当前の話なので、大分状況は変わっているとは思うが、良くも悪くも「人間も動物の一種として、自然と一体化している。」という印象を受けた。だから「青空トイレ利用者が、国民の約半数。」というのも驚きでは無くて、「そうだろうなあ。」と納得出来てしまったりもする。
例)
私の町の葬儀…1990年代前半までは葬儀屋が入らず町内で出していた。しかしそういった葬儀は一気に廃れ、今では都会にあるような無宗教の家族葬もチラホラあるのだという
洋式トイレ…介護老人の増加でこの10年で一気に主流に。
電化住宅…1980年代まではガス釜で米を炊いていた家も多かった。ガス釜、節電の昨今に受けると思うのだが、まるで売られていない。生産してないのか?
以前にも書いたのですが、20年程前に初めて香港を訪れた際、街中で人々が普通に携帯電話を使っているのを目にして、「凄いなあ。」と思うと共に、「日本でこういう光景を目にする事が出来るのは、可成り先の事だろうな。」と感じたもの。当時の日本では、馬鹿でかい箱に入った携帯電話を持ち歩く人が、本当に時たま見受けられるという状態でした。しかし・・・。
其れから携帯電話が日本で普及する迄、あっと言う間でしたね。詳しい数字は忘れましたが、一定割合の人が其れを所有した時点で、其の商品は一気に普及するという法則が在るのだとか。ですので仰る様に、インドでもそうならないとは言えないのかもしれません。