ミステリー関連の年間ブック・ランキングで、自分が注目しているのは「本格ミステリ・ベスト10」(発行元:原書房)、「週刊文春ミステリーベスト10」(発行元:文藝春秋)、そして「このミステリーがすごい!」(発行元:宝島社)の3つ。「2021週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」及び「このミステリーがすごい! 2022年版【国内編】」の2つを既に紹介したが、今日は残る1つ「2022本格ミステリ・ベスト10【国内編】」を紹介する。
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「2022本格ミステリ・ベスト10【国内編】」
1位: 「黒牢城」(著者:米澤穂信氏)
2位: 「蒼海館の殺人」(著者:阿津川辰海氏)
3位: 「兇人邸の殺人」(著者:今村昌弘氏)
4位: 「六人の嘘つきな大学生」(著者:浅倉秋成氏)
5位: 「硝子の塔の殺人」(著者:知念実希人氏)
6位: 「大鞠家殺人事件」(著者:芦辺拓氏)
7位: 「孤島の来訪者」(著者:方丈貴恵さん)
8位: 「忌名の如き贄るもの」(著者:三津田信三氏)
9位: 「invert 城塚翡翠倒叙集」(著者:相沢紗呼氏)
10位:「あと十五秒で死ぬ」(著者:榊林銘氏)
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結果として今年は、「黒牢城」が三冠を達成。「星4つ」という総合評価を付けた作品だけれど、個人的には「星4.5個の総合評価を付け、今年は三冠を取るのではないかと予想していた『硝子の塔の殺人』。」が、そんなに高い評価で無かった事が意外。
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「有吉弘行『穴場』の減少を嘆く『携帯で調べちゃうから駄目、今はネットで直ぐ判る。』」(12月3日、スポニチ)
御笑いタレント、有吉弘行(47歳)が、3日放送のテレビ朝日「マツコ&有吉 かりそめ天国」(金曜20時)に出演。スマホの普及で「穴場」が無くなったと訴え、寂しそうな表情を見せた。
「地方に行ったら、何をする?」に付いて語る中で、「携帯で調べちゃうから駄目なんだよね、穴場とか中々無くなった。」と話した有吉。共演のマツコ・デラックス(49歳)も「無い、無くなった。」と賛同した。調べれば多くの情報が手に入るネット社会。地方のゲイ・バーを例えに出したマツコは、「其処のママが、閉店した後に連れて行ってくれる御店が在るのよ。そういう所に人が来ちゃうから、(心が)擽られなくなった。店を開ける時の魔窟に行くんじゃないかみたいのがさ、噂で聞いた彼の角を曲がると、みたいなのがさ(無くなった)。」とした。
有吉は旅行ガイドブック「地球の歩き方」に触れ、「彼見てドキドキしていた物よ。『此の辺は危ないです。』みたいなの書いて在って、『危ない=一寸エロイのかな。』って想像を膨らませて。注意って事は、エロイぞって。」とニンマリ。「今はネットで直ぐ判って、でも、其れが安全なんだけど。」と続けた。納得顔のマツコは、「探検家みたいな気持ちは無くなったよね。」と零していた。
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以前の記事で書いたと思うけれど、「インターネットの普及により、我々は様々な面で便利さを得た。」のは間違い無い。例えば「判らない事柄を調べる。」という時、インターネットが普及する以前は、「色んな人に聞いて回ったり、辞書等の文献に当たって情報を得る。」のが当たり前だった。「散々手を尽くして調べるも、情報が得られなかった。」なんて事も、決して珍しくは無かったし。
でも、今は「ネットで調べれば、あっと言う間に多くの情報が得られる。」という時代。とは言え、「其れ等が、正しい情報なのか?」というのは別の問題で、経験則から言えば、「明らかなデマや疑わしさの在る情報だったりする。」事が結構在る。「ネット上で様々な情報に当たった上、自身の頭で確りと考え、正しい情報を取捨選択する。」という“当たり前の作業”をすれば良いのだが、「“自分が好ましい方向からの情報源”だけに当たり、全く内容を検証しないで妄信する。」という人が少なく無いのだから、本当に困った物。「インターネットの普及により便利さを得たけれど、其の代償として『様々な情報源に当たった上、自分の頭で確りと考え、正しい情報を取捨選択する。』という能力を失った。」とも言える。
今回、有吉氏達が主張している事、「そうだよなあ。」と頷ける。もう随分昔の話になるが、冬に徳島県を旅した際、偶通り掛かった川の脇の道路に車を止めて休憩していたら、普段ならば見落としてしまいそうな川の奥に滝を発見。「降り積もった雪と、水が流れ落ちる滝とのコントラスト。」が素晴らしく、ついつい近くに行って眺めてしまった。事前にネット等で知らされていなかったからこその“穴場感”が在り、凄く感動したし、今でも忘れられない光景。「何でも彼んでも、事前にネットで調べる。」という癖が在ると、こういう感覚は薄れて行くだろう。