*********************************
娘を失った凸貝二美男(とつかい ふみお)と、亡くなった兄の娘で在り、義理の母親に捨てられた汐子(しおこ)は、貧乏アパートで其の日暮らしの生活を送っている。此のアパートの住人は、訳在りな人間許りだ。
二美男は或る人物から、「公園の池に沈む死体を探して欲しい。」と頼まれる。二美男は大金に目が眩み、無謀な企てを実行するが、実際、池からとんでもない物が見付かった。其の結果、二美男達は、不可解な事件に巻き込まれて行く事になるが・・・。
*********************************
道尾秀介氏の小説「満月の泥枕」を読了。2016年一杯、毎日新聞に連載された作品を、単行本化した物だ。
「設定が突拍子も無い。」、「無関係と思われた多くの事柄が、最後には次々と関係性が明らかとなる。」、「シーンが、パパっと切り替わる。」、「格言めいた物が、多用されている。」等、道尾作品には伊坂幸太郎氏の作風と似たテーストを以前より感じていたが、今回の「満月の泥枕」ではより強く感じる事になった。伊坂作品のファンが著者名を確認せず、此の作品を読んだら、伊坂作品と思い込んでしまうかもしれない。
余りにも突拍子の無い設定に加え、御都合主義と思える展開が、読み進めるスピードを遅らせた。此の位の長さの作品ならば2~3日も在れば読了するのだけれど、1週間も掛かってしまった程。スラップスティック・コメディの様な記述も、自分には余り合わない。
そんな感じで内容的には今一つだったけれど、結末は悪く無いし、此処ずっと出来の良く無かった道尾作品と比べれば、「まあまあの出来。」と言えるかもしれない。
総合評価は、星3つとする。