ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「キングを探せ」

2012年12月21日 | 書籍関連

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カネゴン」、「イクル君」、「りさぴょん」、そして「夢の島」。或る切っ掛けで知り合い、奇妙なニックネームで呼び合う4人の男達。何のも無かった彼等の間に、1つの共通項が生まれる。其れは、「どうしても殺したい人間が居る。」という事。

 

「殺したい人間を自分が殺せば、直ぐに捕まってしまう。だったら、殺された人間と全く無関係な人間が、殺しを請け負えば良い。」と、彼等は交換殺人目論む

 

誰が誰のターゲットを殺すのか?其れを決めるのは、たった4枚のトランプのカード。粛々と進められる計画に、法月貞雄警視と息子の綸太郎挑む

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「2013本格ミステリ・ベスト10【国内編】」では1位、「2012週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」 では5位、そして「このミステリーがすごい!2013年版【国内編】」では8位と、自分が注目している3つの「ミステリーブック・ランキング」に全て入った小説「キングを探せ」を読了

 

著者の法月綸太郎氏の名前は以前より見知っていたが、実際に其の作品を読むのは初めてだった。大体、名前は「ほうづき・りんたろう」と読むのだとずっと思っていたのだから(実際は「のりづき・りんたろう」。)、ミステリー・ファンとして恥ずかしい許り

 

著者名と同じ「法月綸太郎」なる人物が探偵役を務める法月綸太郎シリーズ」は、1989年に刊行された「雪密室」という作品が第1弾というから、もう23年の歴史を刻むシリーズという事になる。「警視で在る父親と2人暮らししている息子の綸太郎が、謎を解いて行く。」というスタイルの様だけれど、親子間の関係がちょこちょこ描かれているという点では「浅見光彦シリーズ」に似た雰囲気も在るが、少なくとも今回読んだ「キングを探せ」に関して言えば、内容面では全く異なる。

 

浅見光彦シリーズが“文系テースト”ならば、「キングを探せ」は“理系テースト”全開という感じだから。「完全順列」や「モンモール数」といった用語が飛び出し、典型的な文系人間の自分としては理解するのに時間を要したが、意味合いが判れば「成る程。」と。チェス将棋の様に、理詰めで謎が解かれて行く展開も、理系の人ならば特にのめり込んでしまう事だろう。いい

 

・・・と書くと、「ミスが寸分も無い完璧な探偵」というイメージを持たれるかもしれないが、少なくとも今回の作品では、綸太郎は結構考え違いをしたりしていて、そういった意味では人間臭さを感じる。

 

「カードのスートと数字の関係」や「奇妙なニックネームの意味合い」等、終盤になって「そういう事だったのか!」と驚かされる。又、“探偵”と“犯人”との騙し合いも、見所の1つだろう。

 

冗長さが無く、スッキリとした味わい。を言えば、犯人達が“落ちる”に、もう少し粘りが欲しかったという事か。総合評価は、星4つ


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