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1万人を超える社員を抱え、国内外に82の支局を構える全日本テレビ協会。此処に、三流部署ディレクターから名実共にNo.1プロデューサーに伸し上がった男が居た。湾岸戦争時に作った1本のドキュメンタリーを切っ掛けに、受賞歴多数の社会派ディレクターとして名を馳せ、プロデューサーとして手掛けた「チャレンジX」は視聴率20%超の国民的人気番組に。天皇と呼ばれる会長の庇護の下、「選ばれし者」の特別職(エグゼクティヴ・プロデューサー)に誰よりも早く抜擢され、更なる野望を滾らすのだが・・・。
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好きな番組の一つだった「プロジェクトX~挑戦者たち~」(動画)。「無名のリーダー達と、彼等を支えた矢張り無名の人々の挑戦と努力、挫折、そして成功。」が淡々と描かれ、「こういう市井の人達の頑張りの積み重ねが、今の日本の繁栄に結び付いたのだなあ。」と、毎回自分自身への励ましとしていた。大好きな歌手で在る中島みゆきさんが歌うOP曲「地上の星」(動画)とED曲「ヘッドライト・テールライト」(動画)も良かったし。それだけに番組の“晩年”に様々なトラブルが発生し、その事で“実質的な打ち切り”に追い込まれたのは非常に残念だった。
プロデュースした「タイス少佐の証言~湾岸戦争45日間の記録~」で文化庁芸術作品賞(1991年)を受賞する等、数多の受賞歴を誇るプロデューサー・ 今井彰氏。「プロジェクトX~挑戦者たち~」も彼がチーフ・プロデューサーを務めた番組で、同番組も菊池寛賞(2001年)等、幾つかの賞を受けている。そんな彼が著した小説が「ガラスの巨塔」だ。
全面ガラス張りの巨大なビル“ガラスの巨塔”を有する公共放送局「全日本テレビ協会」が特殊法人「日本放送協会(NHK)」を、そしてNo.1プロデューサーの西悟が今井氏自身をモデルにしているのは間違い無いだろう。あくまでも「小説」の形を取っているけれど、5年前に続々と発覚したNHKの不祥事を想わせる記述が登場する等、完全なフィクションでは無く、極めてノンフィクションに近い内容と言っても良いのではないだろうか。
予てよりNHKは「親方日の丸的体質が顕著な組織」と言われ続けて来た。「より質の高い番組作りにどれだけ貢献するかよりも、放送事業の免許の許認可や予算決定権を握る政治家達とどれだけ親密度が高いかが出世の鍵を握っている。」という話や、「民放各社に比べると、NHKの製作費には無駄が多過ぎる。“本質的な物作り”以外の部分に多額の費用が費やされ、コスト意識が非常に希薄。」という話は良く見聞きする。「政財界の実力者との親密さを背景に、自身に逆らう者達を徹底的に排除した事で、NHKの独裁者として君臨して来た。」とされる、“エビジョンイル”こと海老沢勝二元会長。彼をモデルとしたと思われる人物・藤堂竜太が此の小説に登場するけれど、藤堂の絶大な庇護の下に西は局内で存在感を増して行く。
1万人を超える社員を抱え、国内外に82の支局を構える全日本テレビ協会。此処に、三流部署ディレクターから名実共にNo.1プロデューサーに伸し上がった男が居た。湾岸戦争時に作った1本のドキュメンタリーを切っ掛けに、受賞歴多数の社会派ディレクターとして名を馳せ、プロデューサーとして手掛けた「チャレンジX」は視聴率20%超の国民的人気番組に。天皇と呼ばれる会長の庇護の下、「選ばれし者」の特別職(エグゼクティヴ・プロデューサー)に誰よりも早く抜擢され、更なる野望を滾らすのだが・・・。
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好きな番組の一つだった「プロジェクトX~挑戦者たち~」(動画)。「無名のリーダー達と、彼等を支えた矢張り無名の人々の挑戦と努力、挫折、そして成功。」が淡々と描かれ、「こういう市井の人達の頑張りの積み重ねが、今の日本の繁栄に結び付いたのだなあ。」と、毎回自分自身への励ましとしていた。大好きな歌手で在る中島みゆきさんが歌うOP曲「地上の星」(動画)とED曲「ヘッドライト・テールライト」(動画)も良かったし。それだけに番組の“晩年”に様々なトラブルが発生し、その事で“実質的な打ち切り”に追い込まれたのは非常に残念だった。
プロデュースした「タイス少佐の証言~湾岸戦争45日間の記録~」で文化庁芸術作品賞(1991年)を受賞する等、数多の受賞歴を誇るプロデューサー・ 今井彰氏。「プロジェクトX~挑戦者たち~」も彼がチーフ・プロデューサーを務めた番組で、同番組も菊池寛賞(2001年)等、幾つかの賞を受けている。そんな彼が著した小説が「ガラスの巨塔」だ。
全面ガラス張りの巨大なビル“ガラスの巨塔”を有する公共放送局「全日本テレビ協会」が特殊法人「日本放送協会(NHK)」を、そしてNo.1プロデューサーの西悟が今井氏自身をモデルにしているのは間違い無いだろう。あくまでも「小説」の形を取っているけれど、5年前に続々と発覚したNHKの不祥事を想わせる記述が登場する等、完全なフィクションでは無く、極めてノンフィクションに近い内容と言っても良いのではないだろうか。
予てよりNHKは「親方日の丸的体質が顕著な組織」と言われ続けて来た。「より質の高い番組作りにどれだけ貢献するかよりも、放送事業の免許の許認可や予算決定権を握る政治家達とどれだけ親密度が高いかが出世の鍵を握っている。」という話や、「民放各社に比べると、NHKの製作費には無駄が多過ぎる。“本質的な物作り”以外の部分に多額の費用が費やされ、コスト意識が非常に希薄。」という話は良く見聞きする。「政財界の実力者との親密さを背景に、自身に逆らう者達を徹底的に排除した事で、NHKの独裁者として君臨して来た。」とされる、“エビジョンイル”こと海老沢勝二元会長。彼をモデルとしたと思われる人物・藤堂竜太が此の小説に登場するけれど、藤堂の絶大な庇護の下に西は局内で存在感を増して行く。