昨日の記事「猫も杓子も」で、「猫も杓子もメジャー挑戦!」という昨今のNPB所属選手の風潮に疑問を呈した。制度として厳然と存在しているとは言え、個人的に「ポスティング・システムは“邪道”。」という思いが在る。其の一方で、「FAは“正道”。」と捉えているので、海外FA権を行使してメジャー移籍を考えている選手には、「誰に遠慮する事も無く、堂々と移籍すれば良い。」と思うし、そういう選手は応援したい。
唯、此れは飽く迄も“私見”だが、「メジャー移籍する選手には、相当な覚悟を持って欲しい。」とも思っている。「取り敢えずメジャー挑戦してみたが、駄目だったので日本球界に戻って来ました。」みたいな感じで、しらっと日本のチームに戻って来た“様な”選手も見受けられるが、こういうのは少なくとも自分の“美学”には合わない。「メジャーに挑戦するからには、“最低限の結果”を残せない限り、日本球界には戻らない!」という強い思いを持って欲しい物。
「猫も杓子も」で在ったとしても、敢えて“メジャー挑戦を口にする選手達”に理解を示すならば、「日本球界の体質に息苦しさを感じ、そういうのを嫌ってメジャーに移籍する。」というのも在るのかなあと。昔より“薄れた”とは言え、「チームの“組閣”では個々の能力よりも、“学閥”や“御友達”が優先される。」等、悪い意味での“体育会体質”、もっと言ってしまうと“縦社会体質”が幅を利かせており、「其れならば、自由にプレー出来るメジャーに行きたい。」と成るのかも知れない。(メジャーでも、アジア人選手への差別等、プレー以外の部分で“障害”も在る様だが。)
又、御金の面も在るだろう。昨日、メジャー挑戦を明らかにした菅野智之投手を例に挙げると、彼の今季の年俸は「4億円」と推定されているが、今季の大活躍によって、ジャイアンツに残留したとしても、大幅な年俸アップは間違い無いだろう。恐らくは、「5億円」位に成るのではないだろうか?其れは其れで凄いけれど、「メジャー移籍と成ったら、『2年総額3,000万ドル(約43億5,000万円)プラス出来高払い』等、好条件を提示する球団も在るのでは?」という話も在り、其れには到底敵わない。
そして、大きいのは“目先の御金”だけでは無い。“メジャーの年金制度”の存在は、メジャー挑戦を促す (「大きな」とは言わないが。)要因に成っているのかも。昔、「日本球界には『プロ野球年金制度』というのが在り。15年以上の加入者は、毎年142万円が終身で支給される。」という話を読んだ。「15年以上加入していれば、誰でも終身で毎年142万円が支給される。」というのは或る意味“平等”では在るのだけれど、「ONの様なスーパー・スターでも、年間で142万円“しか”支給されないのか。少ないなあ・・・。」と思った物。
そんなプロ野球年金制度ですら、「運営難から2011年に廃止に成っていた。」事を、此方の情報で初めて知った。「選手達は代わりに国民民年金基金に加入する形と成り、国民年金基金に年額53万5,000円以上を拠出している選手に対して、年俸とは別に『53万5,000円』をNPBから補助して貰える。」事に成っているとか。
とは言え、そう多くの年金額は期待出来ないだろう。「退団金共済制度」(1口「10万円」で、最大50口迄加入出来、毎年10ヶ月分積み立て、引退時に利息を付けて返して貰える制度。)や「退団選手一時金制度」(支配下選手が引退する際、NPBから100万円支払われる制度。)等、引退後の金銭面のサポートは在る様だが、終身という訳では無い。
一方、メジャーの場合、此方の情報によると「10年在籍すると、満額の年21万ドル(約3,123万円)が、(受給開始年齢の62歳から)終身で貰える。」と言う。既に廃止と成ってしまっているが、日本の「プロ野球年金制度」と比べると、在籍年数は「5年」も短く、又、年額は満額で「約22倍」も在る。(家族が居るいる場合、選手が死亡したら相続され、受給が続く。未亡人の給付金は、扶養家族1人に付き、月200ドル増額して支給。)
「現時点では、10年以上メジャーに在籍に達した日本人選手は『イチロー氏(19年)、野茂英雄氏(12年)、松井秀喜氏&大家友和氏(其れ其れ10年)、そしてダルビッシュ有投手(12年)の5人だけ。」と、「10年以上、メジャー在籍。」という条件は決して容易い物では無いけれど、条件を満たせば「金銭面では、豊かな老後を送れる。」と成ると、メジャー挑戦を目指す選手達のモチヴェーションには成りそう。