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「TBS番組で紹介の身元不明の男性、29年前失踪の男児か DNA鑑定へ」(2月2日、MBSニュース)
31日、JNN系列で放送された番組【動画】で身元不明者として紹介された男性が、29年前に徳島県で失踪した男の子ではないかとして、徳島県警が来週にもDNA鑑定を行う事が判りました。*1
1989年、茨城県牛久市の松岡伸矢ちゃん(当時4歳)は家族と徳島県つるぎ町の親戚の家に行った際、父親が目を離した僅か数十秒の間に姿を消し、今も消息は判っていません。31日に放送されたTBSの番組で紹介された男性は3年前、愛知県弥富市で意識不明の状態で保護され、「其れ迄長い間、知らない男性に軟禁され、両親の記憶も無い。」と話していました。
放送終了後、男性に付いて「伸矢ちゃんに似ている。」という情報が徳島県警に相次ぎ、県警は1日に伸矢ちゃんの両親からDNAを提供する承諾を得ていて、来週にも男性のDNA型と一致するかどうか鑑定を行う方針です。
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31日に放送された番組、自分も見ていた。簡単に纏めると、以下の通り。
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・4年前の2014年7月29日、愛知県弥富市のショッピング・センター内に在る障害者用トイレで、1人の男性が倒れているのが発見された。身元を示す所持品は一切無かった此の男性、病院に運ばれて熱中症と意識障害と診断された。
・意識を取り戻した彼は警察の聴取に対し、自分の名前を筆談で「アイダ リュウト」と答えた。(其の後、「何故、苗字を“アイダ”と書いたのか、覚えていない。」と彼は語っている。)警察は彼の身元確認を行うも、当該する捜索願いは出されておらず、DNA鑑定でも身元を特定する手掛かりは得られなかった。
・仮の名前を「和田竜人(わだりゅうと)」、推定年齢「25歳」とされる彼。最も古い記憶は4歳位の物で、「恐らく両親と思われる人物の車に乗って燥ぎ、疲れて眠ってしまった。気が付いたら見ず知らずの男性(年齢50~60歳代で、身長は180cm程、厳つい人物。)が住む一軒家に居て、「リュウト、御前は今日から此処で暮らすんだ。」と言われたそうだ。
・デイ・トレードをしていたと思われる其の人物を、竜人氏は“伯父さん”と呼ぶ事になる。推定年齢「25歳」は、「或る日、伯父さんが『今日が、御前の5歳の誕生日だ。』と言われた。」事を根拠に算出。
・一軒家の2階の部屋に閉じ込められ、家から出る事を禁じられた竜人氏。部屋に在る本は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」だけで、簡単な勉強は伯父さんが教えてくれるも、学校には一切通わせて貰えなかった。伯父さんは家を出る事が余り無く、来客が在った際には1階に降りて来る事をきつく禁じられていた。
・そういう異常な状況を竜人氏はおかしいと思っていなかったが、見るのを禁じられていたTV番組を夜中にこっそり見ている内に、自分が軟禁という異常な状況に置かれている事を知り、以後、少しずつ伯父さんの御金を取り集め、脱走する事に。軟禁されてから、17年後の事だった。此の間、外出出来たのは、歯の治療で伯父さんと歯科に行った数日のみだったとか。
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頭の良さを感じさせる竜人氏の話振り。でも、「社会から完全に隔絶されていたのに、御金という概念が在ったのだろうか?又、脱出後に御金を使ったそうだが、使い方が良く判ったなあ。」、「『歴史が好き。』という事で、脱出した後に彷徨っていた場所で『桶狭間の戦い』という看板が在ったと言っていたが、1冊の本しか無い様な環境下で、どうやって歴史の知識を蓄えたのだろう?」、「軟禁されていたならば、竜人氏の健康保険証は無かった筈。となると、伯父さんは全額自己負担で支払ったのだろうか?」等々、自分の中には幾つかの疑問が残った。
で、放送後、「彼は、29年前に徳島県で失踪した男の子・松岡伸矢ちゃんではないか?」という情報が寄せられたそうだが、写真を見比べると確かに似ている。
【左:松岡伸矢ちゃん、右:“和田竜人”氏】
「両親と車に乗って眠ってしまい、目覚めたら見知らぬ男性の家に居た。」という竜人氏の証言から、「何等かの理由で彼を育てられなくなった両親が、彼を男性に預けたのではないだろうか?」と想像していたのだが、若し「松岡伸矢ちゃん=和田竜人氏」という事になると、伯父さんなる人物は彼を誘拐&軟禁していた可能性が高くなる。そうだとしたら「新潟少女監禁事件」同様、許し難い犯罪だ。
推定年齢と8歳異なる等、合わない点も在るが、DNA鑑定で一致が認められたら、一日も早く両親に会わせて上げたい。
*1 「警察は29年前に徳島県で失踪した松岡伸矢ちゃんの御両親と“和田竜人”氏とのDNA鑑定を行う方針だったが、一転して両親のDNAの採取を見送った。御両親が警察から受けた説明によると、『別の有力情報が入った為。』との事。」という続報が入った。(2月3日時点)
警察番組でも、こうした地味な事件はあまり扱われないですし、本人の証言だけが頼りで、捜査が進展するかどうか分かりませんが、メディアを最大限に生かして、情報を精査する必要がありますね。
叔父は本来、子供を扶養するもの。自分の支配欲の発散か、ゆがんでいる事は間違いがなさそうですね。監禁の月日は長く、当人に青春とか、人生の思い出がなくても、人は生きて行けますが、当人の社会復帰が大きな課題でしょう。それまで、面倒を見るべきだと思います。良心ある親類の申し出もあって欲しいですが、周囲はそっとしておいて欲しいと思います。
本人の説明によると、軟禁状態は17年に及んだとか。社会から隔絶され、学校にも通えなかった日々。肉体的な生育にも多大なダメージが在ったろうし、何よりも精神的なダメージが懸念される所ですが、画面から伝わって来る感じでは、“確りした若者”という感じなのが救い。現在は便利屋として働き、他者とのコミュニケーション能力も問題無さそうで、行く行くは「自分の様な人間を救いたい。」という事で、弁護士を目指しているとか。何とか夢を叶えて欲しいもの。
若し彼が松岡伸矢ちゃんならば、失った29年は余りに大きく、彼と其の御両親には心から同情してしまう。又、同時に彼を誘拐&軟禁したと思われる男には、法に則って厳罰を処して貰いたいです。