ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

総力戦研究所

2010年07月02日 | 歴史関連
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総力戦研究所: 昭和15年(1940年)9月30日付け施行勅令第648号(総力戦研究所官制)により開設された内閣総理大臣直轄の研究所。初代所長は、星野直樹企画院総裁この機関は国家総力戦に関する基本的な調査研究と「研究生」として各官庁・軍・民間等から選抜された若手エリート達に対し、総力戦体制に向けた教育と訓練を目的とした物で在った。昭和20年(1945年)4月1日付施行の勅令第115号により廃止。
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東京新聞連載されているコラム放射線」。6月25日付け(夕刊)は、作家にして東京都副都知事でも在る猪瀬直樹氏が「模擬内閣で議論を」というタイトルで、若い人達に対して「模擬内閣作り」を提案。若者を中心に政治に無関心な人が増えているけれど、これは「『もし自分が総理大臣乃至は国務大臣)ならば、懸案事項にどう対処するか?』等と本気で考えていないから。」としている。総理大臣役や各国務大臣役を担った者達が実際に“閣議”を開き、例えば「消費税を上げれば幾ら税収が増え、国民の生活がどう変化するか?」等を、無責任に発言するのでは無くデータに基づいて侃々諤々と議論を戦わせ、最重要政策を打ち出すというスタイル。「若い世代による模擬内閣があちこちに誕生したら、もっと真剣な議論が芽生えるだろう。」と猪瀬氏は主張しているが、年齢に関係無く、真剣に政治を論じるのは良い事だ。

この記事の中で猪瀬氏は、冒頭で紹介した「総力戦研究所」に付いて触れている。様々な分野から選抜された30~35歳の人間が太平洋戦争勃発の数ヶ月前に模擬内閣を作り、「アメリカと戦争をしたらどうなるか?」に付いて意見を戦わせ、そして8月に下記趣旨の結論を、時の近衛文麿内閣(第三次)に報告したのだとか。

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(開戦)当初は勝ち進むが、やがて生産力の差が拡がり、3~4年後、ソビエトも参戦し日本は敗れる。
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「日本とアメリカの戦いに於いて、『真珠湾攻撃』や『原爆投下』以外は、実際の戦局推移とほぼ一致していた。」とされる彼等の分析結果。「日本は神の国で在り、戦争に負ける訳が無い。窮地陥ったとしても、神風が吹くから大丈夫だ。」的な思考が一般市民のみならず、軍の上層部にも少なからず存在していたとされるあの時代に、バイアスが掛る事無く、冷静な分析をしていた人達も居た訳だ。結果的にはこの報告が活かされる事無く、約4ヶ月後に無謀な戦いへと突入してしまったのは非常に残念な事だけれど。

今から約30年前、猪瀬氏は「昭和16年夏の敗戦」という本を刊行。これは「総力戦研究所の若者達」に付いて記した本だが、この程中公文庫で復刊されたと言う。近い内に読んでみたいと思っている。

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6 コメント

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近未来予測 (悠々遊)
2010-07-03 18:02:42
現時点で得られる限りの情報を付き合わせ、比較し予断を交えずに結論を導き出す・・・言うのは簡単ですが、とても難しい作業ですね。それを軍部や極右が幅を利かす時代にやってのけたというのはすごいことだと思います。

今は情報も豊富で自由にものが言える時代だけれど、自分の思想信条に都合のいい情報だけを集めて、相手を批判しあうだけの風潮がはびこっているようで。

猪瀬さんについてほとんど何も知りませんが、ここに書かれている事柄から推測するに、暴走都知事に対し冷静な副都知事とは、絶妙なコンビのようですね。

ところで、このブログでさっきからずっと流れている曲は何と言う曲でしょうか? 軽快で決して嫌ではないんですが、記事を読んでいる間もコメントを書いている間もずっと流れていると、さすがちょっと・・・。
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>悠々遊様 (giants-55)
2010-07-04 01:40:45
書き込み有難う御座いました。今回はこちらにレスを付けさせて貰います。

先ず「曲」の件ですが、自分は普段PCの音声をOFFにしているので、悠々遊様から指摘される迄曲には気付きませんでした。煩わしい思いをさせてしまい、申し訳在りません。「100万本のクローバー」という運動の趣旨に賛意を覚えていますので、出来ればこのテンプレートを暫く使いたいと思っております。左上に「100万本のクローバー」というブログパーツが在りますが、その右下に「SOUND」というボタンを押すと、曲のON又はOFFの切り替えが出来ますので、御手数ですがそれでOFFに設定して戴けないでしょうか。一回切り替えれば、その後はずっと曲が流れない設定になる様ですので。申し訳無いです。

あの当時「聖戦」と称されていた戦いに異議を唱えるというのは、或る意味命懸けの行為だったと思います。自分の様な弱い人間だと、軍部に好ましい報告をしてしまい兼ねないし。

以前にも何度か書いている事ですが、一方向の情報しか載っていないサイトを専ら覗き、其処に書かれている情報“だけ”が正しいとばかりに、ネット上にコピーペーストを繰り返している様な人が居ますね。同じ事象で在っても、見る方向によって様々な捉え方が在って当然なのに、「これだけが正しく、それ以外を信じているのは馬鹿だ!」といった暴論を吐いている人を見ると、その狭量さに情けなさを感じてしまう。こういう人達が絶対多数だなんて思わないけれど、或る程度の数を満たすと社会は物言えぬ状態に成り、過去と同じ過ちを繰り返す事に成り兼ねない。自身が主張したいならば、他者の主張に対して最低限のリスペクトを持つのが当たり前と自分は思うのだけれど。(その主張を受け容れるか否かは、又別問題ですが。)

私見で言えば、嘗ての猪瀬氏の言動には結構納得出来る部分が在ったのだけれど、副都知事になって以降は良くも悪くも都知事に取り込まれてしまった感が。勿論「東京メトロと都営地下鉄の一元化」を訴える等、共感出来る部分が全く無くなった訳では無いけれど。
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OFF (悠々遊)
2010-07-04 07:15:13
教えていただいたとおり、早速OFFにしました。ありがとうございます。でもこのジメッとした時期、ときどきはONにして軽快な曲を聴くのも良いですね。

今参議院議員選挙の最大の関心事となった消費増税議論。本当に増税が必要なのか、なぜ消費税なのか、別の税の見直しはしなくて良いのか、支出の見直し洗い出しは徹底できるのか、等々、一市民として各候補者に聞いてまわりたい気はあります。が、テレビに露出する議員や候補者の演説を聞く限り、自分たちの主張を繰り返すばかりで、相手の話に聞く耳を持たないように見え、議論のかみ合わない虚しさが先に漂います。
テレビの「徹底討論」特番を、期待を込めて観ていた時期もありましたが、結局はマスコミも絡んでの茶番劇と分かってからは、見る気にもなりません。
言論のプロたちにしてこの有様ですから、一般人が政治に無関心になるのは仕方ないのかな・・・。本当は逆なんですけどね。
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>悠々遊様 (giants-55)
2010-07-04 12:00:08
書き込み有難う御座いました。今回はこちらにレスを付けさせて貰います。

先達ても書かせて貰いましたが、世論調査で「消費税の引き上げ賛成」とする声が少なくなかったからといって、それがイコール「盲目的に大賛成という訳では無い。」と思っております。「徹底的に無駄を省いた上で、それでも財源が足りないならば、消費税の引き上げも已むを得ない。」というのが多数の様に肌感覚として感じます。自分達の事に関しては敏感だけれど、国民の事関しては鈍感だった政治家達も、流石に此処に到ってはそういう思いに気付き始めた様で、「無駄を省いた上での消費税引き上げ」を口にする政治家が増えて来ましたが、それでも国民には余り知られていない「既得権益」、例えば当ブログでも何度か指摘している「政治資金管理団体を経由する事での相続税の“実質的な”脱税」等の解消に触れる者が居ない所に、政治家達の本気度の無さを感じてしまう今日この頃。一般庶民はカスカスの財産にごっそり相続税が掛けられるというのに・・・全く理不尽な話です。税金は国家の根幹の筈なのに、愛国を強く訴える政治家が実質的な脱税を平然と行い、だんまりを決め込んでいるのは如何な物か?「だって法律では許されているんだから、良いんだもん。ボクちゃん知らない。」とでも言う積りなのだろうか?

与野党を問わず、言葉遊びに終始する政治家の何と多い事か。人々の耳目を惹くフレーズを多用する事が、イコール中身の在る演説では無い事をもっと多くの国民が理解しなければいけないと思うし、そういった演説を面白おかしく垂れ流すマスメディアもどうかと思います。
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半島の話ですが (マヌケ)
2010-07-04 13:43:42
南北が全面衝突した場合、在韓米軍だけで100万人、ソウル市民に550万人の死者が出て最終的には米韓が勝利するというシミュレーションになるそうです。 装備を更新し、新たな北の情報が得られるたびに行われるシミュレーションで何度やっても同じ結論になるため韓国政府は大筋で絶対に全面対決はあり得ないとしているにも関わらず、何の根拠もなくタカ派は強硬論を譲らない、口で行っても、データを示しても、だそうです。 北が小型の核を使用すると日本は勿論、中国にまで影響が及ぶためそれはないのではないかとか、ミサイルの位置はほとんどわれているので先制攻撃でたたけば大丈夫だろうとか単なる憶測が強硬派の主張の柱、論拠らしいです。 あやういですね。 ミサイルは迎撃できても単なる弾でしかない、砲弾は迎撃不可能で、軍事ラインから70キロしか離れていないソウルまで届く砲は大小10万丁も配備されていることから数の理論で先制攻撃を免れた兵器の脅威は大きいのだそうです。 ネットの書き込みにはお互いを煽るような、そして自滅すればいいというような乱暴なものも多く見受けられますが、本当にあきれます。 対岸の火事ではないということを理解しないマヌケな人も多いですね。 教訓がいかされますように。
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>マヌケ様 (giants-55)
2010-07-05 01:19:56
書き込み有難う御座いました。

“美しい国”が好きな某政治家が、支援者しか居ない内輪の席で北朝鮮の話が出た際、「余り無茶を言うなら、ミサイルを撃ち込んじゃえば良いんですよ。」と言ったとか。臨席していた支援者の1人が「余りに呆れてしまったので。」という事で、週刊誌に暴露していた話ですが、これが事実だとしたら(この方の後援会に以前入っていた知人が居り、彼から“とんでも話”を何度か聞かされていますので、事実で在ってもおかしくない気はしています。)呆れるばかり。本人としては冗談で言ったのかもしれないけれど、とてもまともな冗談とは思えない。極右とか極左とか言われる人達の中には、こういう漫画チックな思考で暴論を振るう人が少なからず居る様に感じられ、薄気味悪さすら感じてしまいます・・・。
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