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「中国でチベット犬バブルが崩壊 捨てられた野犬が大量発生」(9月17日、ハフポスト)
中国北西部の青海省等で、野犬の被害が相次いでいる。価格が下落した事により、ブリーダーが数千匹に及ぶチベット犬の飼育を放棄。地元の動物保護グループが対応に当たっているが、数が多過ぎて追い付かず、寺院を徘徊したり、家畜や人を襲ったりする野犬が増えているのだと言う。9月14日、中国の環球時報等が報じた。
野犬化しているのは、「チベタン・マスティフ」と呼ばれる大型犬で、体高約70cm、体重約70kgに達する。元々はチベットで狼やユキヒョウといった外敵から羊の群れを守る犬として飼育されて来ており、「強くて大きい国産犬」として人気を得た。
2005年4月28日付けの朝日新聞によると、其れ迄金持ちの間では高価な外国犬が人気だったが、「国産」という事でチベタン・マスティフの人気が上昇した。当時は1匹の価格は百数十万円等と報道されていたが、2008年には50万ドル(当時約4,800万円)、2014年には200万ドル(当時約2億円)と高値が付く犬が続々登場した。中国各地の都市部では、養犬場が作られた。
ところが其の後、価格が暴落してバブルが崩壊。2016年には、価格が数千元(数万円)程になり、困った業者が肉食用に転売するケースも報じられた。
飼育を放棄するブリーダーも増え、環球時報によると、チベット自治区ラサでは、2015年に野犬の総数は1万3,000匹に達したと言う。又、チベット自治区1ヶ月平均で、180人が野犬に襲われたとする記録も在る。
地元自治体や寺院は、保護施設の為に約20万元(約330万円)を拠出して約1,200匹を収容したが、未だ600匹以上の野犬が収容出来ていないと言う。
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「チベット自治区では、1ヶ月平均で180人が野犬に襲われた。」との事で、1日平均で約6人が野犬に襲われている計算になる。「発症すると、100%死に到る。」とされる狂犬病では、世界中で毎年約5万人の死者が出ているそうで、野犬の総数が増えれば増える程、狂犬病による死者数も増える事だろう。
ブランド志向から闇雲にチベタン・マスティフを“増産”し、バブルが弾けると肉食用に転売したり、捨てたりする。此処迄露骨では無いけれど、「我が国でも流行りで特定の犬種をバンバン産ませ、バブルが去ると捨てたり殺したりしていた。」なんて話は日本スピッツやシベリアン・ハスキー等を中心に、何度か見聞した事が。「人間のエゴにより、大量に不幸な動物達が生まれてしまう。」というのは、本当に遣り切れない。
ペットに愛が持てなくなることは、確かに大したことではないかも知れません。ですが、そうならば最初から命を預かる飼い主になる選択肢を取らない事、結婚しない事、交わらない事などは、それを決心して孤高に生きる人のほうが、よほどか諦観した大人に見えるのです。孤高はつらいですが、むしろ、飼わない権利を行使する決意が欠けてきているのではないでしょうか。人間関係で、冷たくあしらわれたとか、恋愛や夫婦の悩みもあるでしょうが、ペットを愛し切るとは、家族に接するのと同じことだと思います。
タイには仕事で何度か長期滞在しましたが、野良犬は確かに多かったですね。プライヴェートで短期滞在したインドも同様。国によって野犬が多い事情は異なりましょうが、人間のエゴによって野犬が増えているのだとしたら、本当に遣り切れません。
犬をペット・ショップで飼ったものの、時を置かずにペット・ショップに返しに来たり、捨ててしまう飼い主が少なからず居る。「吠えて煩いから。」、「糞尿の始末が大変だから。」、「大きくなって、世話が大変だから。」といった、「飼う前から、そんな事も判らなかったの!?」と呆れ返ってしまう様な幼稚な理由で、生き物を玩具の様に捉えている連中。自分が逆の立場だったら・・・そんな事すら、彼等には想像出来ないのでしょうね。